ANALYSIS
OFM編集チームによるインサイト。事実の先にある意味を読み解き、オンチェーン金融の次の一手を示す考察と分析。
2026-09-17 · 10 MIN READ
オプションは世界の上場デリバティブ取引高の約4分の3を占める主役だが、オンチェーン化ではパーペチュアル先物に大きく遅れている。本稿は、オプションがブロックチェーンに乗る意義はどこにあり、なぜ普及が遅れているのかを問う。結論を先に言えば、意義は「証拠金と決済を常時・自動で実行し、担保資産と同じ台帳で組成できる」点にあり、遅れの原因は技術よりも流動性の所在にある。
BY 石田陽之
2026-09-10 · 11 MIN READ
「株式のトークン化」と一括りにされる案件は、投資家が最終的に何を持っているかで法的にまったく別物になる。米SECは2026年1月にこの区別を公式に整理し、日本のワーキング・グループは同年4月、原株そのもののトークン化を避ける結論を出した。本稿は乱立する方式を2つの軸で6類型に分解し、どれが制度として残るかを検討する。
2026-09-02 · 12 MIN READ
オンチェーンAML(ブロックチェーン上の取引を対象にしたマネロン対策)は2026年8月時点で、取引所側のアドレス審査と、ステーブルコイン発行体による凍結という二層で動いている。実際に不正資金を止めているのは後者であり、Tether一社の累計凍結額は44億ドル超に達する。だが2025年の不正流入は1,540億ドル、凍結はその数%にすぎず、犯罪資金は凍結できない資産へ逃げている。
2026-08-31 · 9 MIN READ
オンチェーン金融は、流行が去れば元に戻る類の変化なのか。本稿の見立ては、不可逆性の源泉は技術的優位でも市場の需要でもなく、各国の決済・証券インフラの更新計画にすでに組み込まれてしまったという一点にある、というものである。インフラの更新判断は数十年に一度しか訪れない。
2026-08-24 · 10 MIN READ
オンチェーン化で決済が「速く・安く」なるという言説は、エンドツーエンドで検証すると大部分が崩れる。送金レグのコストはもともと総コストのごく一部であり、オンチェーン化はそこを削る代わりに新しい仲介者を呼び込むからだ。それでも導入する理由があるとすれば、それは単価ではなく、決済リスク・流動性の時間価値・突合工数、そして「変更コスト」にある。
2026-08-19 · 11 MIN READ
パブリックチェーンは全公開であるがゆえに社会実装が進まず、ゼロ知識証明(ZK。データを開示せずに正しさだけを証明する技術)の成熟がその制約を外す——この見立ては、方向としては正しい。だがSSLの歴史が示すのは、暗号技術が実用水準に達した時点と、社会がそれを既定値として使い始めた時点との間に約20年の隔たりがあったという事実である。本稿は、その20年を埋めたものを分解し、オンチェーン金融の「SSLモーメント」が何によって訪れるのかを問う。
2026-08-18 · 9 MIN READ
DeFiの超過担保レンディングは、借り手を審査せずに貸す仕組みとして設計された。だがこの4年の事故を並べると、消えたのは審査という工程だけで、信用リスクは担保・価格情報・コード・法的ラッパーへ移動している。実務者が立てるべき問いは「誰を信用するか」ではなく、「信用がどこに埋め込まれ、それに値段がついているか」である。
オンチェーン金融のニュースは「開始」「稼働」「ローンチ」という同じ言葉で報じられるが、中身は模擬取引から商用サービスまで大きく幅がある。本稿は、なぜラベルが実態を表さないのかを国内外の実例で示したうえで、案件単位ではなく工程単位で実証と本番を分ける五つの問いを提示する。
2026-08-14 · 9 MIN READ
2026年、AIエージェント決済のインフラはほぼ出揃った。だが実際に動いている取引を見ると、対照的な2つの事実が並ぶ。機械がAPIを買うマシン間決済は年1億件規模まで到達した一方、消費者がチャット内で商品を買う仕組みは、最大の推進者であるOpenAI自身が3月に撤退している。この非対称は偶然ではなく、両者が解こうとしている問題の難易度の差を反映していると考えられる。
BY OFM Research
ステーブルコインの取引量がVisaを超えたという表現は、数字としては正しい。だが、その大半は決済ではない。実体経済の支払いに当たるのは全体の1%未満であり、規模はカードネットワークの数十分の一にとどまる。にもかかわらずこの領域を見る価値があるのは、成長率と、用途が特定の摩擦に強く偏っているという事実の側にある。
2026-08-14 · 8 MIN READ
BlackRockもMUFGも、パブリックチェーンを使いながら、必ずその上か外に別のレイヤーを重ねている。この共通したパターンは、金融機関にとって何が欠けているのかを逆算的に示している。足りないのは処理速度でもコストでもなく、秘匿性・法的ファイナリティ・責任主体の3つであり、突き詰めれば3つ目に集約されると考えられる。
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