NEWSグローバル実装⓪合意・表明のみ2026-09-17

Prometheum・HashKey・Velocity、DTCが発行するトークン化米国株の海外販売で拘束力あるMOU

海外で流通するトークン化米国株の多くは、株式そのものではなく発行体への債権だった。中央保管機関が発行する「本物」を国外に届ける経路が、初めて具体的に描かれた。

BY OFM Research · 4 MIN READ

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米Prometheum Capital、香港のHashKey、米Velocity Capitalは2026年9月16日、トークン化米国株の海外販売に関する拘束力ある覚書(MOU)を締結した。対象はDTCが保管する株式のデジタル版で、HashKeyが複数法域の認可取引所で販売し、米2社が保管・執行・清算を担う。日本の証券会社には、海外で流通する「ラップ型」トークン株との権利構造の違いが論点になる。最終契約、技術統合、各国当局の承認はいずれも未了で、開始時期は決まっていない。

何が起きたか

発表によると、トークン化米国株はDTCで保管される従来の株式の「デジタルツイン」となる。DTCCは、DTCがトークン化した資産は従来の証券と同じ投資家保護と権利を保つと説明しており、そのトークン化サービスは2026年10〜12月期に始まる予定である。対象はラッセル1000構成銘柄、主要指数に連動するETF、米国債である。

役割分担は、HashKeyが海外の販売を担い、SEC登録・FINRA会員のPrometheum Capitalが暗号資産の保管と清算を、同じくVelocity Capitalが従来型証券の執行と清算を担う形だ。三社は今後数か月で最終契約の交渉と技術統合を進め、将来的に実証から始める計画としている。開始は当局の承認と技術統合の完了が条件となる。

なぜ重要か

現在、海外で流通するトークン化米国株の多くは、株式を1対1で裏付けにした発行体の債務証書である。保有者が持つのは発行体への請求権で、株主ではない。DTCが発行するトークンはこの構造を変える可能性があり、発表文も合成型やSPV型との違いを前面に出している。日本の証券会社にとっては、外国株の取次ぎにトークンという形態が加わったとき、議決権や配当、発行体の破綻時の扱いを、ラップ型と区別して説明できるかが問われる。一方で、販売の窓口は香港など海外の認可取引所で、日本居住者が対象になるかは各法域の規制次第である。Ledger Insightsによれば、Velocityの親会社には韓国のハンファ生命が75%出資しており、アジアの金融グループが米国株トークン化の流通に関与する構図も見える。

注視点

最終契約の締結、DTCのトークン化サービスの稼働、HashKeyが販売する法域と対象投資家の範囲が次の焦点である。Ledger Insightsは、PrometheumとHashKeyの過去の資本関係に米議会から疑問が呈されてきた経緯を指摘しており、米当局の審査の行方も注視が必要となる。

進捗段階

実装トラック:⓪(拘束力あるMOUの段階。最終契約・当局承認・技術統合はいずれも未了)

用語解説

  • DTC:DTCC傘下の証券集中保管機関。米国の上場株の大半を保管し、株主名簿上の名義人となる。ここで保管される株式のトークンは、原株と同じ権利を持つよう設計される。
  • ラップ型トークン株:株式を裏付けに発行体が発行する債務証書をトークン化したもの。保有者は発行体への請求権を持つにとどまり、発行体の信用リスクを負う。
  • MOU(覚書):本契約の前に当事者の意図や大枠を確認する文書。「拘束力ある」とされても、取引条件の詳細は最終契約で決まる。
  • 清算ブローカー:売買成立後の決済を引き受ける証券会社。清算機関の会員資格を持ち、取引の相手方リスクを管理する。

出典


本記事は公開情報に基づく解説であり、投資助言を目的としたものではありません。

END OF RECORD / VERIFIED 2026-09-17

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