NEWS米国実装②限定実装(パイロット)2026-09-17

DTCCの投信事務網「Fund/SERV」に、トークン化事業者として初めてOndo子会社が加盟

トークン化ファンドの普及を阻んでいたのは技術ではなく、販売会社ごとの個別接続だった。既存の事務網に正面から入るという選択が、流通の条件を変えうる。

BY OFM Research · 4 MIN READ

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米証券決済機関のDTCCとOndo Financeは2026年9月16日、Ondo子会社でSEC登録ブローカー・ディーラーのOasis Pro Marketsが、投資信託の受発注・照合を担うDTCCの「Fund/SERV」に加盟したと共同発表した。トークン化事業者の加盟は初めてで、同網は米国の投信取引の85%超を処理する。日本の運用会社・販売会社にとって、既存の事務インフラへの接続の先行事例になる。ただし、実際に取引されるファンド名、販売会社、初回取引の時期は明らかにされていない。

何が起きたか

両社の共同リリースによると、Oasis Pro MarketsはFund/SERVの会員として、ファンド会社、ウェルス・プラットフォーム、事務代行会社と単一の標準化された接続で取引できるようになる。これまではファンドごとに個別の連携を作る必要があったが、口座単位のデータ、約定確認、照合、分配金、税務・規制報告まで既存の標準フォーマットで処理できる。

DTCCのタリア・クライン氏は、既存インフラが市場の次の段階を支えうることを示す事例だと述べた。Ondoのイアン・デ・ボード暫定CEOは、トークン化ファンドが主流に広がるための重要な基盤が整ったとしている。

Oasis Pro Marketsは、規制下のカストディアンが保管する証券を裏付けに、イーサリアム上でトークンを発行する事業を手がける。

なぜ重要か

トークン化ファンドは発行額こそ伸びているが、証券会社や投資助言会社の口座から普通に買える状態にはなっていない。原因の多くは、販売会社側の受発注・照合・報告の仕組みが既存投信向けに作られていることにある。今回の加盟は、ブロックチェーン側に販売網を作るのではなく、トークン化事業者が既存の事務網に入る方向で溝を埋めようとする動きだ。日本に置き換えると、トークン化投信を普及させる鍵は台帳技術よりも、投信の受発注や基準価額の授受、販売会社の元帳との照合にどうつなぐかにある。国内でも実証用のトークン化投信が設定され始めており、運用会社・受託銀行・販売会社の三者の事務フローを最初から既存インフラと整合させる設計が問われる。

注視点

共同リリースは加盟の事実を示したもので、特定のファンドが同網で取引されたことまでは述べていない。最初の取扱商品と販売チャネル、取引量の開示が次の焦点である。DTCCは別途、DTCが保管する証券をトークン化するサービスの2026年10〜12月期の本格開始を予定しており、両者がどう組み合わさるかも注目される。

進捗段階

実装トラック:①(既存インフラへの接続資格を得た段階。実取引は未確認)

用語解説

  • DTCC:米国の証券決済・保管を担う中核機関。傘下のDTCが株式や債券を集中保管し、NSCCが清算を担う。日本の証券保管振替機構と日本証券クリアリング機構の機能をあわせ持つ存在に近い。
  • Fund/SERV:DTCCが運営する投資信託の受発注・決済処理網。ファンド会社と販売会社の間の注文、約定、資金決済を標準化し、個別接続の手間を省く。
  • ブローカー・ディーラー:米国で証券の売買仲介や自己売買を行う登録業者。日本の第一種金融商品取引業者に相当する。
  • トークン化ファンド:投資信託や私募ファンドの持分をブロックチェーン上のトークンとして記録・移転するもの。権利の中身は従来のファンドと同じで、記録と移転の方法が変わる。

出典


本記事は公開情報に基づく解説であり、投資助言を目的としたものではありません。

END OF RECORD / VERIFIED 2026-09-17

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