NEWS日本実装③本番稼働(限定領域)2026-09-24

JPYC、累計発行額100億円を突破──「累計発行額」と「流通残高」を分けて読む

円建てステーブルコインの規模を示す数字が出た。ただしこれは発行の累計であり、いま市中にある量ではない。読み方を誤ると、実需を大きく見積もることになる。

BY OFM Research · 5 MIN READ

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JPYC株式会社は2026年9月18日、日本円ステーブルコインJPYCの発行・償還サービスJPYC EXで、累計発行額が同日時点で100億円を超えたと発表した。JPYCは資金移動業者が発行する電子決済手段で、Avalanche、Ethereum、Polygon、Kaiaの4チェーンで発行されている。日本の金融機関にとっては国内初の円建てステーブルコインの利用規模を測る材料になるが、累計発行額は償還分を差し引かない数字である。現時点の流通残高、償還額、利用者数は今回の発表に含まれていない。

何が起きたか

発表によると、JPYC EXの利用は個人のほか、スタートアップを含む国内事業者や海外のプロジェクトに広がったという。7月には大型の更新でパスキーによるログインなどを導入し、発行・償還時のワンタイムコード認証を不要にした。Kaiaへの対応、LINE上で使える「Unifi」との連携、HashPort Walletとのアカウント連携も挙げている。用途としては送金や決済のほか、実店舗での決済、キャンペーンの特典配布、ポイントとの組み合わせ、企業の実証実験を例示した。裏付け資産は預貯金と国債で、1JPYC=1円で償還できる。同社は7月10日の発表でオンチェーン流通額が20億円を超えたとしていたが、今回は流通額の新しい数字を示していない。

なぜ重要か

ステーブルコインの規模を表す指標には、発行の累計、償還を差し引いた流通残高、一定期間の送金額という性質の違うものがある。累計発行額は、同じ資金が発行と償還を繰り返すほど膨らむため、短期の取引や裁定で回転が速いと実需より大きく出る。流通残高は発行体が持つ裏付け資産の額と対応し、決済手段としての定着度を見るにはこちらが適している。直前の9月17日には韓国のUpbitでJPYCの取引が始まり、価格の乖離が起きた。この時期の発行の増加に、海外取引所に向けた需要がどの程度含まれるかも区別して見たい。金融機関が提携の検討や自社の発行計画の比較に使うなら、同じ基準日の流通残高と償還額をあわせて確かめるべきである。

注視点

流通残高と償還額の定期的な開示、チェーン別の内訳が示されるかが焦点である。3メガバンクやSBIグループの円建てステーブルコインが発行を始めれば、指標の定義を揃えた比較が必要になる。国内での1回あたりの発行・償還の上限を見直す議論にも注意したい。

進捗段階

実装トラック①(発行・償還は稼働中。流通残高が未公表のため、決済手段としての反復利用の規模は判断できない)

用語解説

  • 累計発行額:サービス開始からの発行額を足し合わせた数字で、償還された分を差し引かない。取引の回転が速いほど大きくなるため、市中にある量を示すものではない。成長の勢いを見る指標としては使えるが、規模の比較には向かない。

    • 英:cumulative issuance / 用例:Cumulative issuance grows even when the same yen is minted and redeemed repeatedly. (同じ円が発行と償還を繰り返すだけでも、累計発行額は増えていく)
  • 流通残高:発行済みの額から償還済みの額を差し引いた、ある時点で実際に出回っている量。発行体が保有すべき裏付け資産の額と一致するため、ステーブルコインの規模を比べる際の基本となる。

    • 英:outstanding supply / 用例:Outstanding supply, not cumulative issuance, matches the reserves the issuer must hold. (発行体が保有すべき準備資産と対応するのは、累計発行額ではなく流通残高である)
  • 電子決済手段:2023年施行の改正資金決済法で定められた、法定通貨と同額で償還を約束するデジタルな決済手段。発行できるのは銀行、資金移動業者、信託会社などに限られる。暗号資産とは別の枠組みで規制される。

    • 英:electronic payment instrument / 用例:In Japan, a yen stablecoin is regulated as an electronic payment instrument. (日本では、円建てステーブルコインは電子決済手段として規制される)
  • 資金移動業者:銀行以外で為替取引(送金)を業として行うために登録を受けた事業者。JPYCはこの登録に基づいて電子決済手段を発行しており、利用者から受け入れた資金の保全義務を負う。銀行や信託会社が発行する場合とは、規制の内容が異なる。

    • 英:funds transfer service provider / 用例:JPYC issues its token as a registered funds transfer service provider. (JPYCは、登録を受けた資金移動業者としてトークンを発行している)

出典

  • JPYC株式会社「日本円ステーブルコイン『JPYC』、累計発行額100億円を突破」(2026年9月18日、財経新聞掲載分): https://www.zaikei.co.jp/releases/3625002/
  • JPYC株式会社 ニュース一覧(2026年7月10日「オンチェーン流通額20億円を突破」の掲載を確認): https://corporate.jpyc.co.jp/
  • あたらしい経済「円ステーブルコイン『JPYC』、韓国アップビット上場直後に価格乖離で一時約4円に急騰」(2026年9月18日): https://www.neweconomy.jp/posts/609052

本記事は公開情報に基づく解説であり、投資助言を目的としたものではありません。

END OF RECORD / VERIFIED 2026-09-24

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