NEWSグローバル実装④本番稼働(全面)2026-09-24

Binance、Circleに1億ドル出資しUSDC販促で5年契約──発行体が流通網に「残高連動の手数料」を払う構図が固定化

ステーブルコインの競争は、発行の仕組みより流通網の確保で決まりつつある。発行体が取引所に払う対価を、出資と長期契約で固める動きが表に出た。

BY OFM Research · 6 MIN READ

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米Circle Internet Groupと暗号資産取引所Binanceは2026年9月22日、USDCの普及を目的とする5年間の新たな商業契約と、BinanceによるCircleへの1億ドル(約157億円)の出資を発表した。BinanceはUSDCの販促を新興国中心に進め、Circleは基盤を提供する。日本の金融機関にとっては、円建てステーブルコインの流通を誰に担わせ、どう対価を払うかという設計論点の先行例になる。手数料の水準は開示されておらず、契約は特定の事由で早期に終了しうる。

何が起きたか

Circleの発表によると、出資はクラスA普通株の私募で、価格は実行前の株価に対して5%の割引とされ、Binanceは最長2年間株式を譲渡しない。Circleが米証券取引委員会に提出した8-Kを報じた複数の報道によれば、取引は9月17日に実行され、1株80.84ドルで1,237,011株が発行された。同じ報道によると、Circleは自社のウォレット基盤を通じてBinance上で保有されるUSDCの残高に応じ、月次の手数料をBinanceに支払う。新契約は2024年11月と2025年8月に結んだ契約を置き換えるものだという。CircleのアレールCEOは、Binanceをドル建てステーブルコインで世界最も利用されるウォレットと位置づけ、新興国でドルへのアクセスを広げる狙いを示した。

なぜ重要か

ステーブルコインの発行体は準備資産の運用益を主な収益源とするが、その残高を積み上げるには、利用者のいる場所に置いてもらう必要がある。今回の契約は、その対価を残高連動の手数料として取引所に払う関係を5年間固定し、さらに取引所を発行体の株主にすることで利害を揃えた。発行体の収益の一部が流通網に移る構造は、金利が下がれば発行体の採算を圧迫しうる。日本では円建てステーブルコインの発行が始まり、3メガバンクの共同発行構想も進むが、どの流通網に載せ、どう対価を払うかの議論はまだ少ない。電子決済手段等取引業者への手数料の支払い方や、同じグループの中で発行から流通までを完結させる方式を比べる際、今回の契約条件は参照点になる。

注視点

8-Kの本文で、手数料の算定方法と早期終了の事由がどこまで開示されているかが焦点である。Binance上のUSDC残高と、競合するテザーのUSDTとの残高の差がどう動くかも確認したい。GENIUS法の施行後、発行体が海外の取引所に払う販促手数料がどう扱われるかにも注意が要る。

進捗段階

実装トラック:対象外(トークン化の実装ではなく、既存の流通契約の更新と資本提携)

用語解説

  • 私募:不特定多数に向けた公募ではなく、特定の相手に株式などを割り当てて資金を調達する方法。登録手続きの負担が軽い一方、取得した側は自由に転売できない制約を負うことが多い。今回は最長2年の譲渡制限が付いた。

    • 英:private placement / 用例:The shares were sold through a private placement at a small discount. (株式は、小幅な割引価格での私募によって売却された)
  • 商業契約:出資とは別に、事業上の役割分担と対価を定める契約。今回は取引所が販促と組み込みを担い、発行体がインフラと手数料を提供する内容で、出資と組み合わせることで両社の利害を長期に結びつけている。

    • 英:commercial agreement / 用例:The new commercial agreement runs for five years and replaces earlier deals. (新たな商業契約の期間は5年で、以前の契約に代わるものである)
  • 戦略的出資:投資収益よりも、事業上の関係を強める目的で行う出資。出資先の業績が伸びれば出資元も利益を得るため、取引関係の継続を担保する役割を持つ。流通網を持つ側が発行体に出資する形は、発行体の側から見れば販路の囲い込みにあたる。

    • 英:strategic equity investment / 用例:The exchange made a strategic equity investment in the stablecoin issuer. (同取引所は、ステーブルコイン発行体に戦略的出資を行った)
  • 8-K:米国の上場企業が、重要な契約の締結や株式の発行など投資家の判断に影響する出来事があった際に、証券取引委員会に提出する臨時報告書。日本の臨時報告書や適時開示に近い。プレスリリースに書かれない契約条件が、ここで開示されることがある。

    • 英:Form 8-K / 用例:The Form 8-K disclosed the share price and the closing date. (8-Kにより、株価と取引の実行日が開示された)

出典


本記事は公開情報に基づく解説であり、投資助言を目的としたものではありません。円換算は1ドル=157.36円(2026年9月22日ニューヨーク市場終値、フィスコ)による筆者の計算です。

END OF RECORD / VERIFIED 2026-09-24

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