NEWS日本実装実証実験(PoC)2026-08-26

全国約40行がトークン化預金の 銀行間決済を実証へ 全銀システムを経由しない24時間決済を検証

銀行間決済そのものをオンチェーンで完結させられるか。内国為替のもう一本の経路を、約40行が実際に動かして確かめる段階に入った。

BY OFM Research · 4 MIN READ

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日本経済新聞は2026年8月25日、DCP・GMOあおぞらネット銀行・アビームコンサルティングを中心に全国約40行が参加するトークン化預金の銀行間決済実証が8月中にも始まると報じた。金融庁が4月3日にFinTech実証実験ハブの決済高度化プロジェクト(PIP)支援案件と決定した実証で、幹事行方式とステーブルコイン連携方式の2つを検証する。地域銀行には、全銀ネットが2030年稼働を目指す次期システムと並ぶ選択肢の評価が要る。参加行の大半は非公表で、開始日も一次資料では確認できていない。

何が起きたか

金融庁は2026年4月3日、トークン化預金を用いた送金に伴う銀行間決済の円滑化に関する実証を、PIPの支援案件に決定したと公表した。申請代表はディーカレットDCP(現DCP)、代表銀行はGMOあおぞらネット銀行、事務局はアビームコンサルティング。参加予定銀行として名前が出たのは北陸銀行のみで、他行は各行の意向により伏せられている。

3社は同日のリリースで、「オンチェーンでのユーザー間取引は、その銀行間決済もオンチェーンで完結させる」という基本方針を示した。検証するのは二方式である。民間銀行1行が幹事行となりユーザー間送金と幹事行内での銀行間決済を同時に行う「TD幹事行方式」と、銀行間決済にステーブルコインを用いる「TD-SC連携方式」で、全取引を即時グロス決済(RTGS)とし決済リスク・所要流動性・業務負荷の低減を狙う。

8月25日の日経報道は、参加行が約40行規模に広がり、りそな銀行・商工組合中央金庫・横浜銀行がオブザーバーを含め加わること、DCPが2027年度の実用化を目指すことを伝えた。

なぜ重要か

現在の内国為替は全銀システムに一元化され、金融機関間の資金決済は最終的に日銀当座預金で行われる。今回の設計はこの経路を通らないため、最終決済に用いられるのは民間銀行のマネーとなる。幹事行方式では幹事行に対する信用エクスポージャーが、SC連携方式では発行体の信用力と償還確実性が、それぞれ地域銀行のリスク管理上の新しい論点になる。

全銀ネットは2030年稼働を目標に次期システムの検討を進めており、二者択一ではなく併存を前提に、どの資金移動をどちらに載せるかの振り分け判断が要る。証券会社や信託銀行にとっては、セキュリティトークンのDVP決済で用いる現金レッグの候補が一つ増える意味を持つ。

注視点

第一に、参加行の社名と役割の公表時期。第二に、二方式のどちらが実用化候補として残るか、および為替取引該当性・幹事行の信用リスク・預金保険の適用関係といった法的論点の整理内容である。PIP案件の実験結果は金融庁ウェブサイトで公表される予定であり、そこが最初の判断材料になる。第三に、日本銀行の動きとの接続である。

用語解説

  • トークン化預金(Tokenized Deposit):銀行預金をブロックチェーン上で移転できる形にしたもの。裏付資産を信託等で分別管理するステーブルコインと異なり、法的には預金そのものであり、預金保険や既存の銀行監督の枠内に留まる。銀行が自行の負債をデジタル化する手法と考えると位置づけが分かりやすい。
  • RTGS(即時グロス決済):取引を一件ずつ、その都度確定的に決済する方式。日中の債権債務を差し引きしてまとめて決済するネッティング方式に比べ、決済が完了するまでの信用リスクを負う時間が短くなる一方、必要となる手元流動性は増える。日銀ネットの当座預金決済も同方式である。
  • 幹事行方式:複数の銀行にまたがるトークン化預金の移転について、特定の1行が全参加行の口座を預かり、その行の帳簿内で銀行間決済を完了させる仕組み。中央銀行の役割を民間銀行が代替する構図になるため、幹事行の信用力と破綻時の扱いが設計上の要になる。
  • 全銀システム:国内の銀行振込を集中処理する決済インフラ。振込データを金融機関間で交換し、最終的な資金決済は日本銀行の当座預金で行われる。今回の実証は、この経路を経由しない銀行間決済の可能性を検証するものである。
  • FinTech実証実験ハブ・決済高度化プロジェクト(PIP):金融庁が前例のない実証を行う事業者を支援する枠組み。案件ごとに庁内に担当チームを置き、法令解釈や監督対応上の論点整理を行う。実験終了後は結果が公表され、後続事業者が同じ論点を繰り返し確認する手間を減らす狙いがある。

出典


本記事は公開情報に基づく解説であり、投資助言を目的としたものではありません。

END OF RECORD / VERIFIED 2026-08-26

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