NEWS英国2026-08-26

英FCA・PRA、トークン化ゴールドとトークン化MMFの担保適格性を検討 非清算OTCデリバティブの証拠金として

担保として受け入れられるかどうかは、トークン化資産が実務に入る最後の関門になる。英国はその扉を、金(ゴールド)とMMFから開けようとしている。

BY OFM Research · 5 MIN READ

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英FCAとイングランド銀行は2026年5月18日、ホールセール市場のトークン化に関する共同Call for Inputを公表し、FCAとPRAがトークン化MMFとトークン化ゴールドを非清算OTCデリバティブの証拠金として認めるべく担保適格性を検討中であると明記した。意見募集は7月3日に締め切られた。フィナンシャル・タイムズは8月10日、FCAが大手行と基準策定を協議し数カ月内の発表が見込まれると報じた。トークン化資産の用途が発行・取引から担保へ広がるかは、日本の証券会社・信託銀行にも同じ論点となる。

何が起きたか

示された内容は次のとおりである。PRAは同時公表のDear CEOレターで、法的権利が同一で原資産のリスクが同等であれば、トークン化資産は非トークン化の同等物と原則同じ自己資本上の取扱いを受けるとの立場を確認した。イングランド銀行は、CCP(清算機関)が受け入れる規制担保について、既に適格な資産のトークン化版も適格とすることを政策的な選好とし、2026年第3〜4四半期に議論用の政策論点を示すとしている。英国EMIRの廃止・置換作業が進むなかで、非清算取引の証拠金規則もトークン化担保に対応させる余地があるとした。FCAとPRAはこれと並行して担保適格性を検討しており、その対象としてトークン化MMFとトークン化ゴールドが名指しされている。デジタル証券サンドボックス(DSS)には16社が参加している。

なぜ重要か

担保適格性は、トークン化が実務に組み込まれるかどうかを分ける分岐点である。発行や取引をオンチェーンで行えても、証拠金として受け入れられなければ、その資産は資金繰りの外側に置かれたままになる。日本では改正金商法の施行準備が進み、STの発行実績も積み上がってきたが、これを証拠金・担保として差し入れる枠組みの議論は英国ほど具体化していない。証券会社にとっては、トークン化MMFを証拠金に使えるようになれば日中の資金効率が変わる。信託銀行にとっては、担保の保管・評価・処分をオンチェーンでどう確実にするかが受託者としての論点になる。金が先行しているのは、原資産が実物で権利関係が比較的単純であり、既存のロンドン地金市場という担保評価の基準が存在するためだと考えられる。

注視点

FCAの発表時期と、基準の中身である。とくに保管、償還請求権、権利の法的性質をどう定義するかが実務を左右する。当局は意見募集への回答を踏まえ、夏に回答声明、年内に当局横断のロードマップを示すとしており、規則改正の多くは2027年に意見募集される見通しを示している。あわせて、イングランド銀行が2028年提供を目標とする同期化サービスによって、担保と資金の双方が中央銀行マネーに接続される段階まで進むかが焦点になる。

用語解説

  • トークン化ゴールド:保管された現物の金に対する権利を分散台帳上のトークンとして記録したもの。金地金そのものを動かさずに所有権を移転できるため、担保として差し入れる際の物理的な移動や保管替えの手間が省ける。一方で、トークン保有者が実際に現物を請求できる法的構成になっているかが、担保としての価値を左右する。
  • 非清算OTCデリバティブの証拠金:清算機関を通さない相対のデリバティブ取引について、当事者間で差し入れる担保。2008年の金融危機後、国際的に差入れが義務化された。何を証拠金として認めるかは規制で定められており、ここにトークン化資産が入るかどうかが実務上の分岐点になる。
  • Call for Input:英当局が正式な規則案の前段階で、論点と方向性を示して業界の意見を求める文書。日本のパブリックコメントより前の、制度設計の枠組みそのものを議論する段階にあたる。
  • UK EMIR:EU離脱に伴い英国法に取り込まれたデリバティブ規制。清算義務、証拠金規制、報告義務などを定める。現在、廃止と置き換えの作業が進んでおり、その過程でトークン化担保の扱いを組み込む余地が生じている。
  • DSS(デジタル証券サンドボックス):英当局が運営する、分散台帳を用いた証券の発行・取引・決済を実際の資金と資産で試せる規制上の枠組み。実験環境ではあるが、扱う金額は実務規模に設定されている。

出典


本記事は公開情報に基づく解説であり、投資助言を目的としたものではありません。

END OF RECORD / VERIFIED 2026-08-26

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