NEWS米国制度検討・研究2026-08-27

SEC、投資助言業者の暗号資産カストディ規則案をOMBに送付 本文は非公表

募集の規制に続いて、保管の規制が動き出した。米国でトークン化資産を扱う運用会社にとって、実務上の制約はむしろこちら側にある。

BY OFM Research · 5 MIN READ

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SECは2026年8月25日、投資助言業者と投資会社による暗号資産の保管に関する規則案を、行政管理予算局(OMB)の規制審査に送付した。案件名は「Amendments to the Custody Rules」(RIN 3235-AN46)で、段階は提案規則である。8月18日に提案された募集規制「Regulation Crypto Assets」と対をなす保管側の措置であり、日本の信託銀行・アセマネの受託判断の前提となる論点である。規則本文は未公表で、どの保管形態が枠内に入るかは分かっていない。

何が起きたか

今回の規則案は、投資顧問法と投資会社法の双方に置かれたカストディ規則の改正を対象とする。SECが2026年7月7日に公表した規制計画では、暗号資産を明示的に含む形でカストディ規則を現代化する項目が挙げられ、2023年2月に提案され2025年に撤回された「セーフガード規則案」を置き換えるものと整理されていた。

手続き上、OMBの審査が終わるまでSECは規則案を公表できない。審査後にSECが採決し、可決されれば意見募集にかけられる。意見募集は通常60日以上で、最終規則の採択には改めて採決が要る。現時点でカストディ要件が変わったわけではない。

背景として、SECの投資運用部門は2025年9月30日、一定の条件下で州法信託会社を暗号資産の保管に用いる登録投資助言業者・規制対象ファンドに対し、執行勧告を行わないとするノーアクションレターを出している。今回の規則化は、その暫定的な扱いを規則の形に落とし込む作業と位置づけられる。なお、Regulation Crypto Assetsの審議を予定していた8月14日の公開会合は前日に中止されており、今回の案件はそれとは別個のものである。

なぜ重要か

日本の信託銀行にとっては、暗号資産・トークン化資産の受託を巡る国際的な相場観が形成される局面である。何を「適格保管機関」とみなすか、秘密鍵の分別管理をどう要求するか、ブロックチェーン上の残高をどう検証するか。この設計は、国内で特定信託受益権の受託や暗号資産カストディを検討する際の参照点になる。

アセマネにとっては、トークン化ファンドの米国展開の可否が変わる。トークン化MMFやトークン化国債ファンドは、保管の適格性が確保できなければ機関投資家の資金を受けられない。募集の規制だけが整っても、保管が曖昧なままでは商品が成立しないという構図である。

注視点

第一に、OMBの審査期間である。経済的に重要な規則に分類されているため短くない可能性がある。第二に、SECの採決が成立するか。第三に、規則本文が公表された際の線引きである。ここが決まるまでは、実務への影響を論じる材料はない。

進捗段階

① 案の公表・意見募集(制度系)の手前。OMB審査への送付は規則制定過程の初期段階であり、規則案そのものは公表されていない。SECの採決・公表を経て意見募集が始まって初めて①に到達する。②(成立・確定)には最終規則の採択が必要で、そこまでには相応の時間を要する。

用語解説

  • カストディ規則:投資助言業者が顧客資産を保管する際の要件を定めた規則。適格保管機関への預託、独立監査、顧客への報告などを求める。暗号資産は秘密鍵の管理という固有の論点があり、既存の規則をそのまま適用できるかが長く不明確なままだった。
  • OMBによる規制審査:米国の連邦規則は、公表前に大統領令12866に基づきOMBの下部機関OIRAの審査を受ける。ここで費用便益の妥当性などが確認される。審査中の案件は案件名・受理日・段階まで公開されるが、規則本文は非公開である。
  • ノーアクションレター:規制当局のスタッフが、一定の条件を満たす行為について執行勧告を行わないと表明する文書。法令解釈を確定させるものではなく、規則が整備されるまでの暫定的な運用として使われる。
  • Regulation Crypto Assets:SECが2026年8月18日に提案した、暗号資産に関わる投資契約の募集に特化した開示制度。株式や債券を前提に設計された既存の開示規制が暗号資産に適合しないという認識に立つもので、取引・保管・取引所規制は別途の規則制定に委ねられている。
  • 適格保管機関(qualified custodian):カストディ規則上、顧客資産を預けることが認められる機関。銀行、登録ブローカー・ディーラー、先物取次業者などが該当する。暗号資産についてどの主体をここに含めるかが、今回の規則案の実質的な焦点になる。

出典


本記事は公開情報に基づく解説であり、投資助言を目的としたものではありません。

END OF RECORD / VERIFIED 2026-08-27

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