NEWS米国制度②成立・確定(未施行)2026-09-18

SEC、トークン化株式の取引の場を「取引所」定義から5年間除外。AMM型の板を条件付きで容認

議会が止まった二日後に、SECは自らの権限でトークン化株式の取引を開いた。問われるのは、期限付きの免除が恒久的な制度に育つかどうかである。

BY OFM Research · 5 MIN READ

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米SECは2026年9月17日、トークン化NMS株を自動マーケットメイカー型の流動性プールで取引する「トークン化証券venue(TSV)」について、1934年証券取引所法の「取引所」定義から条件付きで除外する命令を出した。銘柄数と出来高の上限、原株と同等の権利の検証、スマートコントラクトの公開などが条件で、自己資本で流動性を供給する者にはディーラー登録義務の免除も併せて与えられた。免除は公示から5年で失効する。恒久規則を置くかは未定で、SECは同時に意見募集を開始した。

何が起きたか

命令の対象は、許可制のAMM流動性プールを提供し、参加者の基準を自ら定める取引の場である。付された条件は六つで、取扱銘柄数と出来高の上限、原株と同等の権利がトークン保有者に及ぶことの検証、第三者がトークン化した銘柄を扱う際の原株発行体への事前通知と異議申立の機会、使用するスマートコントラクトを監査可能な形でパブリックかつパーミッションレスなチェーン上に公開すること、原株が上場取引所で売買停止となった場合の同時停止、自社および関係会社の取引状況の公表である。アトキンス委員長は統治権限の範囲内での一歩と位置づけ、ウエダ委員は将来の政策形成に向けて実態を把握する機会だと述べた。

なぜ重要か

日本の証券会社にとっての論点は三つある。第一に、海外で流通するトークン化株式の位置づけが変わる。従来は原株と同等の権利を伴わない例があり比較対象になりにくかったが、米国は同等性の検証を事業者に義務づけた。第二に、第三者によるトークン化に対して原株発行体が異議を述べる枠組みが制度化された。日本の上場企業の株式が海外でトークン化された場合に発行体が何を言えるのかという論点に、先例ができたことになる。第三に、開示書類ではなくコードの公開によって監督するという設計が持ち込まれた。日本の制度にそのまま移せるものではないが、議論の参照点にはなる。

注視点

意見募集の期限と、恒久規則が置かれるかどうか。五年という期限は政権交代を挟むため、免除が維持される保証はない。TSVとして実際に申請し稼働する事業者が現れるかも見どころで、申請がないまま期限を迎えれば運用実績を欠いたまま制度が閉じることになる。そして日本の投資家がTSV上のトークン化米国株を取得する経路を金融商品取引法上どう扱うかも、あわせて見る必要がある。

進捗段階

規制トラック②(正式な規則制定ではなく期限付きの免除命令。意見募集中で恒久規則は未策定)

用語解説

  • NMS株(NMS stock):全米市場システムの対象となる上場株式。米国の主要取引所に上場し、気配・約定情報が統合配信される銘柄を指す。今回の免除はこのNMS株をトークン化したものに限定されている。
    • 英:NMS stock / 用例:The exemption covers tokenized NMS stock only, not privately placed securities.(免除の対象はトークン化されたNMS株に限られ、私募証券は含まない)
  • 自動マーケットメイカー(automated market maker, AMM):売り手と買い手の注文を突き合わせる板ではなく、プールに預けられた資産と数式によって価格を決める仕組み。常時気配が立つ一方、価格形成が外部相場に依存しやすい。
    • 英:automated market maker (AMM) / 用例:Prices on the venue are set by an automated market maker rather than a central limit order book.(当該venueの価格は板ではなく自動マーケットメイカーによって決まる)
  • ディーラー登録(dealer registration):自己資本を用いて継続的に売買を行う者に米証券法が課す登録義務。今回はAMMプールへの流動性供給者について、一定条件下でこの義務が免除された。
    • 英:dealer registration / 用例:Liquidity providers are relieved from dealer registration if they meet the stated conditions.(流動性供給者は所定の条件を満たせばディーラー登録を免除される)
  • パーミッションレスチェーン(permissionless blockchain):誰でも参加・閲覧できるブロックチェーン。命令はスマートコントラクトをこの種のチェーン上に公開させることで、第三者による検証を監督の一部に組み込んでいる。
    • 英:permissionless blockchain / 用例:The smart contracts must be published on a public, permissionless blockchain for review.(スマートコントラクトは検証可能な形でパブリックかつパーミッションレスなチェーン上に公開しなければならない)

出典


本記事は公開情報に基づく解説であり、投資助言を目的としたものではありません。

END OF RECORD / VERIFIED 2026-09-18

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