NEWS韓国実装③本番稼働(限定領域)2026-09-17

Upbit、JPYCなど外貨建てステーブルコインをウォン市場に上場──根拠は「特別な承認」ではなく、専用ルール不在の既存枠組み

韓国最大手取引所に円建てステーブルコインが並んだ。だが韓国には外国発行ステーブルコインを直接律する規定がまだない。上場を支えているのは、既存の暗号資産規制と取引所の自主審査である。

BY OFM Research · 5 MIN READ

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韓国のUpbitは2026年9月17日、円建てのJPYCとドル建てのPYUSDをウォン建て市場などに上場した。韓国国会予算政策処は9月8日の報告書で、特定金融情報法と仮想資産利用者保護法に国外発行ステーブルコインを別途律する規定がないと指摘しており、上場判断は取引所の審査に委ねられている。日本の金融機関には、国内規制下で発行された円建てコインが日本の監督外の板で価格形成される点が論点となる。韓国のデジタル資産基本法は政府案の9月中提出が目標とされ、取引所に発行体の適格性評価を課す案が出ている。

何が起きたか

Upbitは9月17日、JPYCとPYUSDをウォン・BTC・USDTの3市場に上場した。対応ネットワークは両銘柄ともイーサリアムのみである。JPYCはJPYC株式会社が資金決済法上の資金移動業者として発行する電子決済手段で、日本の暗号資産交換業者では扱われていない。

韓国側の法的な位置付けは、専用ルールの上に立ったものではない。韓国の現行制度は、特定金融情報法(AML・事業者申告)と、2024年施行の仮想資産利用者保護法(第1段階立法)の二層である。国会予算政策処は、両法に国外発行ステーブルコインを別途規律する規定がなく、準備資産・償還の規律は第2段階立法の課題として残ると整理した。このため外国発行ステーブルコインは、USDTなどと同様に他の暗号資産と同じ枠で扱われ、上場可否は各取引所の審査基準で判断されているとみられる。外国為替取引法についても、ステーブルコインを支払手段に含める改正案が2025年10月に議員立法で提出されており、現行法が明示的に捉えていないとの問題意識が立法側にある。

なぜ重要か

日本の資金決済法は、電子決済手段の売買や仲介に電子決済手段等取引業の登録を求めるが、韓国居住者のみを相手とする海外取引所には原則として及ばないと考えられる。つまり円建てコインのウォン建て価格が、日本当局の監督外で形成され始めた。発行体の償還窓口「JPYC EX」はマイナンバーカードによる本人確認を前提とするため、韓国の保有者が発行体に直接償還を求める経路は実務上狭いとみられる。円ステーブルコインの発行を検討する銀行・信託にとって、海外流通時の償還請求権とAML上の追跡をどう設計するかが、発行前に詰めるべき論点になる。

注視点

焦点は韓国のデジタル資産基本法である。一部法案は、国外発行者への登録義務や、取引所による発行体の適格性評価を盛り込んでいる。成立すれば、日本の発行体にも韓国取引所経由で準備資産や償還体制の開示が求められる可能性がある。

進捗段階

  • 実装トラック:①(取引所での売買は稼働したが、決済・送金の既存プロセスを置き換える段階にはない)
  • 規制トラック(韓国):①(第2段階立法は政府案提出前。国外発行ステーブルコインの専用規律は未整備)

用語解説

  • 電子決済手段:2023年6月施行の改正資金決済法で定義された、法定通貨建てで額面での償還を約束するステーブルコインの法的区分。暗号資産と別枠にしたのは、価値の裏付けと償還義務を持つ点で預金や送金に近く、銀行・資金移動業者・信託会社に発行者を限定する必要があったためである。売買・仲介には電子決済手段等取引業の登録が必要となる。
  • 資金移動業者:銀行以外で為替取引(送金)を営むことが認められた事業者。JPYCはこの枠組みで発行されており、利用者資金の保全義務を負う。
  • 仮想資産利用者保護法:2024年7月に施行された韓国の暗号資産法の「第1段階」。預かり資産の分別管理や不正取引の禁止など利用者保護に焦点を絞り、発行・上場基準やステーブルコインの規律は後続立法に先送りした。
  • デジタル資産基本法:韓国で議論中の「第2段階立法」。事業者区分、営業行為規制、ステーブルコインの発行・準備資産・償還を包括的に定める構想で、ウォン建てステーブルコインの発行主体の範囲が最大の争点となっている。
  • 適格性評価:国外発行ステーブルコインを国内で流通させる際、取引所が発行体の信頼性や準備資産、償還構造を審査する仕組みとして法案に盛り込まれている考え方。発行体を直接監督できない国が、国内の入口で安全性を確保するための手当てにあたる。

出典


本記事は公開情報に基づく解説であり、投資助言を目的としたものではありません。

END OF RECORD / VERIFIED 2026-09-17

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