NEWS日本実装合意・表明のみ2026-08-26

SBI、ステーブルコイン決済基盤Fassetに追加出資 企業価値10億ドルで持分法適用化へ

評価額が10億ドルに乗ったことより、SBIレミットの送金網に実際につながるかどうかが、この出資の値打ちを決める。資本提携は、まだ稼働の発表ではない。

BY OFM Research · 5 MIN READ

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SBIホールディングスは2026年8月24日、ステーブルコイン決済基盤を展開するFassetへの追加出資を決定したと発表した。取得価額を基礎に算定した企業価値は10億米ドル(約1,592億円、1ドル=159.16円で換算)。Fasset側も同日、SBIグループ主導のシリーズCで6,800万米ドル(約108億円)を調達したと公表した。SBIはシリーズC完了後のワラント行使で持分法適用関連会社とする方針。子会社SBIレミットとの連携は6月の基本合意にとどまり、対象コリドーも時期も未公表である。

何が起きたか

SBIホールディングスの発表によれば、今回の追加出資は2026年5月の戦略的出資に続くもので、資本関係を強化して事業連携の実効性を高めることが狙いとされる。取得価額を基礎に算定されたFassetの企業価値は10億米ドルである。

Fassetは同日、SBIグループ主導のシリーズCで6,800万米ドルを調達し、評価額10億米ドルに達したと発表した。5月のシリーズB 5,100万米ドル(約81億円)と合わせ、2026年の調達総額は1億1,900万米ドル(約189億円)となる。調達資金は、銀行・通信事業者・決済事業者・流動性提供者を接続する自社基盤「Own Network」の拡張などに充てるとしている。

SBIの発表では、Own Networkは16のブロックチェーンと100を超えるバンキングコリドーを接続し、125の国・地域で300万超のウォレットを擁するとされる。年間換算取扱高400億米ドル(約6.4兆円)超という数値も出ているが、これはFassetの自社開示であり第三者検証は経ていないとみられる。

なぜ重要か

日本の送金事業者・銀行にとっての論点は新興国向けコリドーの確保にある。ただしクロスボーダー送金のコストを分解すると、支配的な費用項目はFXスプレッドとコンプライアンス、そして事前資金積み(プレファンディング)に伴う資金拘束である。レールをオンチェーンに替えるだけでこれらは下がらない。効きうるのは、コルレス先口座への滞留資金の圧縮と、24時間365日稼働による決済リスクの短縮である。評価すべきは出資額ではなく、SBIレミットの実際の送金フローにどのコリドーから接続されるかという点になる。

地域銀行の国際送金は大手行やSBIレミット等への委託が中心で、直接の影響は限定的とみられる。ただし委託先の原価構造が変われば、手数料と着金時間の形で跳ね返る。

注視点

第一に、SBIレミットとの接続の具体化。対象コリドーと開始時期が示されるかが分かれ目になる。第二に、シリーズCの完了と持分法適用関連会社化のタイミング。第三に、年間取扱高やウォレット数といった自社開示指標が検証可能な形で開示されるかどうかである。

用語解説

  • ステーブルコイン決済インフラ:法定通貨に価値を連動させたトークンを用いて、国境をまたぐ資金移動を行う仕組み。従来のコルレス銀行網が営業時間と多段階の中継に縛られるのに対し、24時間365日の移転が可能になる。ただし現地通貨との交換や本人確認は依然として各国の規制対象事業者が担う必要がある。
  • バンキングコリドー:特定の二国・二地域間の送金経路を指す業界用語。たとえば日本からフィリピンへの送金は一つのコリドーにあたる。コリドーごとに必要な免許、提携先、現地決済網、規制対応が異なるため、送金事業の競争力は「何本のコリドーを自前で持つか」で測られることが多い。
  • プレファンディング(事前資金積み):着金を先に実行するため、送金事業者が受取国側の口座にあらかじめ資金を置いておく実務。資金が滞留するため機会費用が生じ、クロスボーダー送金のコストの相当部分を占める。オンチェーン化の経済効果が最も出やすいのがこの項目とされる。
  • 持分法適用関連会社:議決権のおおむね20%以上を保有するなど、財務・営業方針に重要な影響を与えうる会社。連結子会社のように売上を取り込むのではなく、純損益のうち持分に見合う額を投資勘定と損益に反映する。子会社化とは連結上の扱いが異なる点が実務上のポイントになる。
  • ネオバンク:自ら銀行免許を持つ場合と、提携銀行の免許を用いる場合の双方を含む、店舗を持たないデジタル完結型の金融サービス事業者。近年はステーブルコインを口座残高や送金手段として組み込む形態が新興国を中心に増えている。

出典


本記事は公開情報に基づく解説であり、投資助言を目的としたものではありません。

END OF RECORD / VERIFIED 2026-08-26

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