NEWS米国実装限定実装(パイロット)2026-08-23

リップル、RLUSD建ての企業融資をXRP Ledgerで──ステーブルコインが「与信の建値通貨」へ

Ripple、Cicada Partners、Clearpoolの3社は8月20日、XRP Ledger(XRPL)上に機関投資家向けの信用市場を構築すると発表した。米ドル連動型ステーブルコイン「RLUSD」建てでフィンテックや決済事業者に運転資金を貸し出す構想で、ステーブルコインの用途を決済から与信へ広げる試みとなる。

BY OFM Research · 5 MIN READ

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Ripple、Cicada Partners、Clearpoolの3社は8月20日、XRP Ledger(XRPL)上に機関投資家向けの信用市場を構築すると発表した。米ドル連動型ステーブルコイン「RLUSD」建てでフィンテックや決済事業者に運転資金を貸し出す構想で、ステーブルコインの用途を決済から与信へ広げる試みとなる。

何が起きたか

3社は役割を分担する。Clearpoolは、XRPLに組み込まれたレンディング・プロトコル「XLS-66」と単一資産ボールト「XLS-65」を用いて融資基盤を構築する。同社は2021年以降、9億3,000万ドル(約1,479億円、1ドル=159円で換算、以下同じ)超の機関投資家向け融資を仲介したとしている。

Cicadaは借り手の開拓、信用審査、融資条件の設定、実行後のモニタリングを担い、信用ファンドのGP(無限責任組合員)兼クレジットプール運用者となる。同社の引受実績は8億6,000万ドル(約1,367億円)超とされる。Rippleは資金の出し手であるLP(有限責任組合員)として他の機関投資家と同条件で出資し、損失が生じた場合の補填役は担わないと明言している。

想定される借り手は、フィンテック、決済事業者、暗号資産関連事業者で、資金使途は運転資金。3社は、現在のDeFi(分散型金融)の利回りの約98%が裁定取引やベーシス取引、流動性マイニングなど暗号資産市場内部の活動に由来すると指摘し、これを実体のある企業与信に置き換えることを狙いとしている。

なぜ重要か

日本の金融機関にとっての含意は2つある。

1つは、ステーブルコインが「送る手段」から「貸す通貨」へ広がりうる点である。国内では円建てステーブルコインの店頭決済実証が相次いでいるが、建値通貨としての利用は、資金決済法上の電子決済手段の位置づけと、貸金業法・銀行法の適用関係を整理しなければ踏み込めない領域となる。

もう1つは、信用リスクの所在が明示された点である。プロトコル提供者(Clearpool)、与信判断者(Cicada)、出資者(Ripple)が分離され、発行体が損失を負わないと宣言されている。オンチェーン与信を検討する際、誰が信用リスクを引き受け、デフォルト時に誰に請求するのかという法的建付けが最初の論点になることを、この構造は示している。

注視点

最大の未確定要素は、基盤となるXLS-65・XLS-66がXRPLのアメンドメント(プロトコル変更)投票を通過していないことである。Clearpoolは現時点で開発者向けネットワーク「Devnet」での構築・テスト段階にあり、本番稼働していない。ファンド規模、開始時期、具体的な借り手、融資条件はいずれも公表されていない。

加えて、XLS-66は無担保の期限付き融資を想定するとされ、過剰担保が前提だった従来のDeFiレンディングとは信用リスクの性質が異なる。景気後退局面での回収実績が積み上がるまで、機関投資家の資金が本格的に流入するかは見極めが必要とみられる。

用語解説

RLUSD Rippleが発行する米ドル連動型ステーブルコイン。米ニューヨーク州金融サービス局(NYDFS)の規制下で発行され、準備資産はBNYがカストディを担うとされる。従来はクロスボーダー決済の手段として位置づけられてきたが、本件では融資の建値通貨として使われる。

XLS-65/XLS-66 XRPLのプロトコル仕様案。XLS-65は複数の貸し手の資金を1つの運用者の管理下でプールする「単一資産ボールト」、XLS-66は期限付き融資の実行・返済を台帳上で処理する「レンディング・プロトコル」を定める。スマートコントラクトではなく台帳の機能として実装される点が特徴で、有効化にはアメンドメント投票が必要となる。

GP/LP ファンドにおける役割の区分。GP(無限責任組合員)は運用判断と管理を担い、LP(有限責任組合員)は資金を拠出して出資額を上限に責任を負う。本件ではCicadaがGP、Rippleを含む機関投資家がLPという構成が示されている。

無担保レンディング 借り手が担保を差し入れずに資金を借りる形態。従来のDeFiレンディングは価格変動に耐えるため過剰担保を前提としてきたが、無担保では貸し手が借り手の信用力そのものを評価する必要があり、オフチェーンでの与信審査が不可欠になる。

Devnet 本番ネットワーク(メインネット)とは切り離された、開発・検証用のブロックチェーン環境。実際の資産は動かず、実装の動作確認に用いられる。Devnetでの稼働は本番稼働を意味しない。

出典


本記事は公開情報に基づく解説であり、投資助言を目的としたものではありません。

END OF RECORD / VERIFIED 2026-08-23

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