NEWS米国制度②成立・確定(未施行)2026-08-24

米CFTC、市場構造法案が滞れば既存権限で暗号資産規則へ オンチェーン金融のプロトコル開発者も対象に

米CFTCが、市場構造法案の成立を待たずに暗号資産市場の規則づくりへ動く構えを見せた。矛先は取引所だけでなく、オンチェーン金融のプロトコル開発者にも及ぶ。

BY OFM Research · 5 MIN READ

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米CFTCのセリグ委員長は2026年8月20日、イノベーション諮問委員会の初会合で、市場構造法案(CLARITY法案)の審議が滞れば既存の商品取引所法の権限だけで暗号資産市場の規制体系を立ち上げると表明した。柱は、未登録の暗号資産取引所を指定契約市場の一類型として取り込む構想と、オンチェーン金融プロトコルの開発者が米国内で合法的に事業を営む道筋の整備の二つ。後者は2026年7月に暗号資産を金商法へ移管した日本でも未整理の論点にあたる。規則案の内容と時期は未定で、法案の議会日程が最大の変数となる。

何が起きたか

セリグ委員長は、法案成立が最善の道だとしたうえで、審議が停滞する場合に備えて職員に二つの検討を指示したと述べた。

第一は、現行の商品取引所法(CEA)の権限だけで暗号資産の市場構造を規則化する道筋である。既存の登録業者に加え、現在は未登録の暗号資産取引所についても、指定契約市場(DCM)の一類型である「暗号資産市場」として指定し、レバレッジ・証拠金取引を専用の規則の下で提供できるようにする構想を示した。

第二は、オンチェーン金融プロトコルの開発者との対話である。開発者が米国内で合法的にプロトコルを提供できる方法を確立し、開発者保護を恒久化するとした。

予測市場については、規則40.11の改正案(「ゲーミング」等の未定義語の定義と公益性判断基準の明文化)、全額担保付イベント契約の報告制度の近代化に加え、規則パート38・40の改正を近く提案する見込みだと述べた。またAI向けの計算資源(コンピュート)を商品として扱う市場整備について、商務省と連携し意見募集を発出したことも明らかにした。委員長は冒頭で、これらは委員長個人の見解であり委員会の見解を必ずしも反映しないと断っている。

なぜ重要か

日本では2026年7月に暗号資産の金商法移管が成立したが、DeFiプロトコルの提供者・開発者の責任範囲は整理されていない。米国が「開発者が合法的に提供する道」を先に制度化すれば、日本の議論はその設計を参照点として進むことになる。

証券会社・清算機関にとっては担保運用が直接の論点になる。CFTCは名目元本ベースで世界のデリバティブ市場(約1,200兆ドル、約19京円。1ドル=159円で換算)の約半分を規制しており、その担保適格性の判断は邦系金融機関の海外拠点の運用に及ぶ。未登録の海外取引所が米国内で正規のDCMとして位置づけられれば、顧客の取引所選好にも影響しうる。

「同一活動・同一リスク・同一規制」で既存業規制に寄せた日本と、新カテゴリーを創設する米国という設計思想の対比も、今後の制度議論の軸になると考えられる。

注視点

CLARITY法案の議会日程が第一の変数である。規則化はあくまで代替手段と位置づけられており、法案が動けば計画も変わる。報道によれば、CFTCは通常5名の委員のうち現在は委員長1名のみが在任しており、規則制定の手続き面をどう進めるかも論点として残る。パート38・40改正案の公表時期と、暗号資産市場の指定要件の具体像を待ちたい。

用語解説

  • DCM(指定契約市場):CFTCに登録し、デリバティブの上場・取引を行う取引所の法的類型。自主規制機関としての機能も担い、市場の健全性を一次的に監視する義務を負う。今回の構想は、この類型の下に暗号資産専用の区分を設けるというもの。
  • CLARITY法案:米国のデジタル資産市場構造法案。暗号資産のうち何が証券でどれが商品かという管轄の線引きを法律で確定させ、現物市場の中核原則を定めることを狙う。下院を通過済みで、上院での審議が続いている。
  • オンチェーン金融プロトコル:スマートコントラクトとして公開され、運営者を介さずに貸借や交換などの金融機能を提供するソフトウェア。誰が規制上の「業者」にあたるのかが各国共通の未解決論点になっている。
  • 全額担保付イベント契約:選挙結果やスポーツの勝敗など、当事者が制御できない事象を対象とするデリバティブのうち、損失上限まで全額を担保として預託する形式のもの。証拠金取引と異なり追証が発生しない。
  • イノベーション諮問委員会(IAC):CFTCの技術諮問委員会を2026年1月に改称・再編した諮問機関。金融業界、技術提供者、学界などから委員を集め、規制上の論点について委員会に助言する。

出典


本記事は公開情報に基づく解説であり、投資助言を目的としたものではありません。

END OF RECORD / VERIFIED 2026-08-24

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