NEWSグローバル実装③本番稼働(限定領域)2026-09-19

Circle「Arc」初日のDEX取引高、8割超がミームコインのローンチパッド経由──稼働と実需の距離

検証者にブラックロックやDTCCが並ぶチェーンで、公開初日に最も売買されたのは新規発行のミームコインだった。掲げた用途とのずれが数字に出ている。

BY OFM Research · 5 MIN READ

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Circleのレイヤー1ブロックチェーン「Arc」は、パブリックメインネット公開初日にあたる2026年9月16日に、約4億1,080万ドル(約644億円、1ドル=156.85円で換算)の分散型取引所取引高を記録した。うち約3億3,630万ドル、割合にして約82%がミームコインのローンチパッド経由の取引だった。オンチェーンアナリストが集計した数値を複数媒体が報じたもので、Circleの公表値ではない。Arcは法人決済とトークン化資産を掲げた基盤であり、初日の取引内容は掲げた用途と一致していない。

何が起きたか

同日の取引件数は776万3,670件、新規に発行されたトークンは9万7,025件だった。ローンチパッドのうちArguspadが約2億235万ドル(約317億円)で全体の約半分を占め、8万3,751件のトークンを発行している。これは同日に生成されたトークンの8割を超える。次いでMinara.funが約3,641万ドル、Tollylabsが約1,965万ドルだった。Arcの創設検証者にはブラックロック、Visa、マスターカード、DTCC、ICEが名を連ね、公開前の段階で100を超える機関や事業者が展開または検証を済ませていたとされる。取引手数料はUSDCで支払う設計で、Circleは法人の資金移動やAIエージェントによる経済活動を想定した基盤として位置づけてきた。なお、これらの数値は集計サイトおよびアナリストによるオンチェーンデータに基づくもので、算定範囲はCircleの定義と一致しない可能性がある。

なぜ重要か

日本の金融機関がトークン化資産の載せ先としてパブリックチェーンを検討するとき、まず参照されるのは検証者の顔ぶれと設計思想である。しかし実際にそのチェーンで何が流れているかは別の指標で、混雑、手数料の変動、取引順序の操作、そしてレピュテーションは、いずれも実際のトラフィックに左右される。初日の数字は一過性である可能性が高く、これだけで評価を下すのは早計だが、機関向けを掲げた基盤が開けてみれば投機的な取引で埋まるという展開は先行事例でも起きている。自社資産の載せ先を選ぶ与件として、稼働後の構成比を継続的に見る仕組みを持っておく必要がある。

注視点

数週間後の取引構成比が最大の観測点になる。トークン化ファンドや決済の実トラフィックが立ち上がり、投機的取引の比率が下がるかどうか。Circleが公式の稼働統計を公表するかどうかも、評価の前提を左右する。あわせて、創設検証者に名を連ねる金融機関が、自社のコンプライアンス基準の下でこうした取引との同居をどこまで許容するかも問われる。検証者を降りる動きが出れば、基盤としての信頼性の評価は変わる。

進捗段階

実装トラック ③(パブリックメインネットは本番稼働中。ただし掲げた用途にあたる取引の比率は限定的)

用語解説

  • ローンチパッド:新規トークンの発行と初期の売買を一括で提供する仕組み。発行者は個別に流動性を用意せずに済み、購入者は発行直後から売買できる。手軽さゆえに投機的な短期売買を集めやすく、新興チェーンの初期取引高を押し上げる典型的な要因になっている。

    • 英:launchpad / 用例:Launchpads accounted for most of the network's trading volume on its first day. (ローンチパッドが、同ネットワークの初日取引高の大半を占めた)
  • 創設検証者(founding validator):ブロックチェーンの稼働開始時点から取引の検証に参加する主体。参加企業の顔ぶれはネットワークの信頼性を示す材料として使われる一方、検証への参加が自社資産をそのチェーンに載せる約束を意味するわけではない。

    • 英:founding validator / 用例:Being a founding validator does not commit the firm to issuing assets on the chain. (創設検証者であることは、当該企業がそのチェーンで資産を発行する約束を意味しない)
  • ガス代のステーブルコイン建て:取引手数料を、そのチェーンの独自トークンではなくステーブルコインで支払う設計。法人利用者にとっては費用が通貨建てで読め、独自トークンを保有・管理する必要がなくなる。経理処理と価格変動リスクの両面で、企業側の採用障壁を下げる狙いがある。

    • 英:stablecoin-denominated gas / 用例:Stablecoin-denominated gas gives treasurers predictable transaction costs. (ガス代のステーブルコイン建ては、財務担当者に予測可能な取引コストをもたらす)
  • 分散型取引所取引高(DEX volume):スマートコントラクト上で成立した売買の金額を合計した指標。算定範囲は集計事業者ごとに異なり、同じチェーンでも数値が食い違うことがある。取引所の公表値ではないため、比較する際は出所と算定範囲をそろえる必要がある。

    • 英:DEX volume / 用例:DEX volume figures differ by data provider, so the source should always be stated. (DEX取引高の数値は集計事業者によって異なるため、出所を必ず明示すべきである)

出典


本記事は公開情報に基づく解説であり、投資助言を目的としたものではありません。

END OF RECORD / VERIFIED 2026-09-19

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