NEWS米国実装①実証実験(PoC)2026-09-25

ARK Invest、13億ドル規模のベンチャーファンドを持分ごとトークン化──非上場株を組み入れたインターバルファンドで換金制約は残る

非上場企業を組み入れた登録ファンドの持分を、ブロックチェーン上の記録で保有できるようになる。記録方法の変更と流動性の付与は別物であることを確かめるのに、格好の事例だ。

BY OFM Research · 6 MIN READ

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ARK InvestとSecuritizeは2026年9月24日、ARK Venture Fund(ARKVX)をトークン化し、Securitizeを通じて適格投資家にEthereum上で提供すると発表した。同ファンドは非上場企業も組み入れるインターバルファンドで、純資産は約13億ドルとされる。SECへの申請書面は、トークン化クラスがATSで取引される可能性に触れている。国内で投信や非上場株のトークン化を考える際も、記録のデジタル化と二次流通は分けて設計する必要がある。取引の場と価格形成が焦点だ。

何が起きたか

ARK InvestとSecuritizeは9月24日、ARK Venture Fund(ARKVX)のトークン化を発表した。ARKのファンドがオンチェーン化されるのは初めてで、資格を満たす投資家はSecuritizeを通じ、Ethereum上で持分を保有できる。発行基盤と投資家対応はSecuritizeが担う。ARKVXは、非上場と上場のテクノロジー企業に投資するアクティブ運用のクローズドエンド型インターバルファンドである。The Blockによれば、同ファンドのウェブサイト上の純資産は約13億ドル(約2,068億円、1ドル=159.04円(9月24日NY終値)で換算)となっている。ARKは2025年10月にSecuritizeへ戦略出資しており、今回の発表はその提携の延長線上にある。ARKがSECに提出した適用除外の申請書面(Form 40-APP/A)は、トークン化クラスについて、ホワイトリストに登録したウォレットを持つ投資家の間で、ATS(代替取引システム)に上場されたり相対で売買されたりする可能性に言及している。

なぜ重要か

トークン化で変わるのは持分の記録方法であり、ファンドの中身や換金の条件ではない。申請書面自体も、トークン化はそれだけでは所有の記録方法を変えるにすぎないと述べている。インターバルファンドは四半期ごとに純資産価格で一部の持分を買い戻す仕組みで、いつでも換金できるわけではない。今回の事例の実質的な意味は、換金に制約のある持分を、ATSや許可された当事者間で売買できる可能性を開く点にある。日本でも、投資信託の受益証券のトークン化や、非上場株のデジタル証券化が議論されている。記録のデジタル化と、二次流通による流動性の付与を分けて設計し、それぞれに投資家保護の論点があることを示す参考事例になる。

注視点

実際にATSでの取引が始まるか、始まった場合に純資産価格との乖離がどの程度になるかが焦点である。非上場株の評価を含む純資産価格の算定頻度と開示、保有できる投資家の範囲を広げるかどうかも確認したい。

進捗段階

実装トラック①(提供の発表段階。トークンの発行実績とATSでの取引開始は未確認) 規制トラック:対象外

用語解説

  • インターバルファンド:米国の登録投資会社の一形態で、持分を継続的に販売する一方、定期的にのみ買い戻しに応じる。非上場株のように換金に時間がかかる資産を組み入れるため、日々の解約を認めない設計になっている。日本の公募投信には直接対応する形態がない。

    • 英:interval fund / 用例:An interval fund repurchases shares only at set intervals, not on demand. (インターバルファンドは、請求があるたびではなく、決められた時期にだけ持分を買い戻す)
  • ATS(代替取引システム):米国で取引所の登録を受けずに、証券の売買を仲介する電子的な取引の場。ブローカーディーラーが運営し、非上場証券やトークン化証券の二次流通の受け皿になっている。日本のPTS(私設取引システム)に近い位置づけである。

    • 英:alternative trading system (ATS) / 用例:The tokenized class may eventually trade on an alternative trading system. (トークン化クラスは、いずれ代替取引システムで取引される可能性がある)
  • ホワイトリスト:保有や移転を認めるウォレットのアドレスを、あらかじめ登録しておく仕組み。本人確認を済ませた投資家だけがトークンを持てるようにし、証券規制上の保有者制限を技術的に担保する。パブリックチェーン上で規制商品を扱う際の基本的な手法である。

    • 英:whitelisted wallet / 用例:Only investors with whitelisted wallets can hold the tokenized fund shares. (トークン化されたファンド持分を保有できるのは、ホワイトリストに登録されたウォレットを持つ投資家だけだ)
  • 適用除外申請(Form 40-APP):米国の投資会社法の規定から個別に除外を受けるため、SECに提出する申請書。新しい持分クラスや取引方法を導入する際に使われる。承認されれば、SECの命令として条件付きで認められる。

    • 英:exemptive application (Form 40-APP) / 用例:ARK described its tokenized class in an exemptive application filed with the SEC. (ARKは、SECに提出した適用除外申請の中でトークン化クラスについて説明した)

出典


本記事は公開情報に基づく解説であり、投資助言を目的としたものではありません。

END OF RECORD / VERIFIED 2026-09-25

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