NEWS米国制度①案の公表・意見募集2026-09-25

FRB、GENIUS法の規則案2本を公表──資本は発行残高の1〜2%で逓減、外国銀行の州免許支店にも業務範囲を明確化

FRBは、発行体にどれだけの自己資本を積ませるかを数字で示した。銀行グループがステーブルコイン発行体を持つ場合の費用が、初めて具体的に計算できる形になる。

BY OFM Research · 6 MIN READ

SHARELB!

FRBは2026年9月24日、GENIUS法に基づき、FRBが監督するステーブルコイン発行体(PPSI)に適用する規則案と、州加盟銀行が子会社を通じて発行する際の申請手続案の2本を公表した。準備資産は残存93日以内の米国債などに限り、運用リスクに対する資本は発行残高に応じて2.0%から1.0%へ逓減させる。邦銀の米国拠点にとっては、発行や準備資産保管に参入する際の資本負担と業務範囲が論点になる。意見募集期間は官報掲載後60日で、Barr理事が懸念を示したAML監督基準の扱いが焦点となる。

何が起きたか

FRB理事会は9月24日、2本の規則案について意見募集を始めた。1本目は、FRBが監督する許可ステーブルコイン発行体(PPSI)の枠組みである。発行体は、公正価値で常に発行残高の額面以上の準備資産を分別して保有しなければならない。対象資産は、米ドル現金、連銀預け金、要求払い預金、残存93日以内の米国債、米国債担保の翌日物レポなどに限られ、これらのトークン化版も認められる。償還期間は原則2営業日以内とされた。資本は、無保険預金などの準備資産に2%を課す。運用リスク分は、発行残高のうち最初の200億ドル(約3.18兆円、1ドル=159.04円(9月24日NY終値)で換算)に2.0%、次の300億ドルに1.5%、500億ドル(約7.95兆円)を超える部分に1.0%を課し、さらに非準備資産収益の25%を加える。発行体を連結する親銀行は、発行体を連結から外し、その最低所要資本を普通株式等Tier1から控除する。2本目は、州加盟銀行が子会社で発行する際の申請手続を定める。

なぜ重要か

GENIUS法は1対1の裏付けを法律で定めたが、自己資本の水準は各当局に委ねていた。今回の案で、銀行グループが発行体を持つ場合の資本コストが具体的に計算できるようになった。料率が発行規模に応じて下がる設計のため、大手ほど有利になる。案は、州加盟銀行や持株会社に加え、外国銀行の州免許の無保険支店・代理店にも同法が認める業務を行えることを明確にするとしている。米国で州免許の拠点を持つ邦銀にとっては、発行や準備資産保管への参入条件が見えてきたことになる。日本の信託型ステーブルコインで準備資産の構成や資本を設計する際にも、比較の物差しになる。

注視点

Barr理事は案に賛成しつつ、AML上の欠陥が「重大または体系的」な場合に限ってFRBが監督・執行措置を取るとする基準に懸念を示した。この基準が最終規則に残るかが焦点となる。GENIUS法の施行日は、2027年1月18日と、最終規則公表から120日後のうち早い方である。各当局の最終化が早まれば、施行が前倒しされる可能性もある。

進捗段階

規制トラック①(規則案の公表段階。官報掲載後に60日間の意見募集) 実装トラック:対象外

用語解説

  • 許可ステーブルコイン発行体(PPSI):GENIUS法に基づき、連邦または州の当局から承認を受けてステーブルコインを発行する事業者。同法は原則としてPPSI以外による米国内での発行を禁じている。日本でいえば、電子決済手段の発行を銀行・資金移動業者・信託会社に限る仕組みに相当する。

    • 英:permitted payment stablecoin issuer (PPSI) / 用例:Only a permitted payment stablecoin issuer may issue payment stablecoins in the United States. (米国でペイメント・ステーブルコインを発行できるのは、許可ステーブルコイン発行体に限られる)
  • 運用リスク資本:事務ミスやシステム障害、不正など、業務運営から生じる損失に備えて積む自己資本。準備資産を安全資産に限っても、発行・償還や鍵管理の失敗による損失は残るため、別枠で求められる。銀行規制のオペレーショナル・リスク資本と同じ考え方である。

    • 英:operational risk capital / 用例:The Fed's operational risk capital charge falls from 2 percent to 1 percent as issuance grows. (FRBの運用リスク資本の賦課率は、発行規模の拡大に伴い2%から1%へ下がる)
  • 普通株式等Tier1からの控除:子会社に求められる資本を、親銀行の最も質の高い自己資本から差し引くこと。同じ資本を親子で二重に数えることを防ぐための処理である。親銀行側から見ると、発行体を持つ費用がそのまま自己資本比率に表れる。

    • 英:deduction from common equity tier 1 capital / 用例:A parent bank would deduct the issuer's minimum capital from its common equity tier 1 capital. (親銀行は、発行体の最低所要資本を自らの普通株式等Tier1から控除することになる)
  • 抱き合わせ禁止:ステーブルコインのサービス提供の条件として、別の商品の購入や競合他社の利用停止を求めることを禁じる規定。発行体が支配的な地位を使って顧客を囲い込むことを防ぐ。GENIUS法はこの規則の制定権限をFRBに一元的に与えている。

    • 英:tying prohibition / 用例:The tying prohibition stops issuers from forcing customers to buy other products. (抱き合わせ禁止は、発行体が顧客に他の商品の購入を強いることを防ぐ)

出典


本記事は公開情報に基づく解説であり、投資助言を目的としたものではありません。

END OF RECORD / VERIFIED 2026-09-25

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