NEWSグローバル実装合意・表明のみ2026-08-26

米39州の銀行協会が共同ブロックチェーン網「BankChain Alliance」を設立 2027年稼働目標、技術パートナーは未定

参加したのは銀行ではなく銀行協会である。会員行3,283行という規模の数字と、接続する銀行がまだ1行も確定していないという事実が、同じ発表のなかに並んでいる。

BY OFM Research · 6 MIN READ

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米国の39州の銀行協会が2026年8月25日、共同ブロックチェーン網「BankChain Alliance」の設立を発表した。トークン化預金、ステーブルコイン、自動決済などを、業界が所有・設計・統治する共通基盤の上で提供する構想で、2027年の稼働を目指す。単独では負えないインフラを業界団体が受け皿となって持つ発想は、日本の地域金融機関にも直接あてはまる。ただし技術パートナーは選定中で、参加は協会単位。同盟自身が「協会の参加は会員行の参加を意味しない」と注記しており、接続行は確定していない。

何が起きたか

米国の39の州銀行協会は2026年8月25日、共同のブロックチェーン網を構築する「BankChain Alliance」の設立を発表した。トークン化預金、ステーブルコイン、自動決済などを、業界が所有・設計・統治する共通基盤の上で提供することを掲げる。暫定議長はフロリダ州銀行協会会長で、米消費者金融保護局(CFPB)元長官のキャシー・クラニンジャー氏。

同盟の公表資料によれば、39州の協会が代表する銀行は3,283行、総資産は21.8兆ドル(約3,466兆円、1ドル=159円で本記事が換算。2026年8月26日時点)。基準はFDICのコールレポート2026年3月31日時点。同盟は「協会に代表される銀行が、個別に参加を約束したわけではない」と明記している。

技術パートナーは選定手続きの途中にあり、稼働目標は2027年。網には他ネットワークとの相互運用性を持たせ、全米の銀行に出資を募る方針も示した。参加協会にカリフォルニア、ニューヨーク、イリノイなど11州は含まれていない。

なぜ重要か

注目すべきは、参加主体が銀行ではなく業界団体だという構造である。個別行では負担しきれない共同インフラを、協会が受け皿となって立ち上げる。日本でいえば、全銀ネットや地銀の共同システムに近い座組を、オンチェーン領域で作ろうとしていることになる。

日本の地域金融機関にとって論点になるのは、共同インフラの保有形態だ。トークン化預金は各行のバランスシートに残る債務であり、移転を記録する台帳を誰が持つかは将来の交渉力を左右する。ベンダーに委ねるか、業界で保有するか。全銀ネットの次期システムが2030年稼働を目指す日本でも、その手前で同種の判断が要る。

注視点

第一に、技術パートナーが未定である。基盤の選択はプライバシー方式や他網との接続性を規定するため、次の実質的なマイルストーンはこれになる。

第二に、接続する銀行が示されていない。協会の参加は会員行の参加を意味しない。

第三に、先行する銀行主導網との距離である。地域銀行5行が設計に加わったCari Networkは2026年内の本番稼働を掲げており、BankChainの2027年は先行例より後ろにある。

進捗段階

⓪ 合意・表明のみ(実装系)

協会単位での設立発表にとどまり、技術パートナー、接続する銀行、資金調達の方法のいずれも公表されていない。①実証実験に進む前提として、まず基盤の選定が要る。同盟は提案依頼の手続きを経ているとされるが、選定完了は示されていない。

用語解説

  • トークン化預金:銀行預金をブロックチェーン上のトークンとして表現したもの。ステーブルコインと似た使い勝手を持つが、法的には預金債務のままであり、発行した銀行のバランスシートに残る。米国では預金保険の対象になり得る点が、独立した発行体が出すステーブルコインとの決定的な違いとされる。
  • 州銀行協会(State Bankers Association):米国の各州にある銀行の業界団体。会員行への研修、共同購買、州議会へのロビイングなどを担う。全米の統一団体とは別に州ごとに独立しており、地域銀行にとっては共同事業の受け皿として機能してきた。今回はこの既存の器がインフラ構築の主体になっている。
  • コールレポート(Call Report):米国の預金取扱金融機関が四半期ごとにFDICなどへ提出する財務報告。銀行数や総資産の集計に広く使われる公式データで、基準日を伴う。基準日を落とすと現在値として読まれるため、引用時には時点の明示が必要になる。
  • 相互運用性:異なるブロックチェーン網の間で資産や情報をやり取りできる性質。網が乱立する局面では、どの網を選ぶかより、選んだ網が他とつながるかが実務上の争点になる。ただし「相互運用性を持たせる方針」は設計目標であり、実装方式が決まったことを意味しない。
  • Cari Network:米国の地域銀行が参加するトークン化預金の共同基盤。ハンティントン、M&Tなど5行が設計段階から加わり、2026年内の本番稼働を掲げている。BankChainと同じ「銀行が主導する共同網」だが、少数の銀行が先に動く点で設計思想が異なる。

出典


本記事は公開情報に基づく解説であり、投資助言を目的としたものではありません。

END OF RECORD / VERIFIED 2026-08-26

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