NEWS米国制度⓪検討・研究2026-09-11

米クラリティー法、採決5日前に630ページの改定版 「名ばかりDeFi」にCFTC登録を課し、倫理条項は据え置き

共和党は民主党の要望を大量に取り込んだと強調するが、民主党が最も求める倫理条項には手を付けなかった。9月15日の採決は、条文の技術論より政治的な対立点で決まる公算が大きい。

BY OFM Research · 5 MIN READ

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米上院のルミス議員ら共和党は2026年9月10日、暗号資産の市場構造法案「クラリティー法」の約630ページの改定版を公表した。実質的な支配者がいるDeFiの取引プロトコルに商品先物取引委員会(CFTC)への登録を求める規定などを加え、民主党の要望114項目超を反映したとする。日本の金融機関にとっては、米国の業者規制の枠組みが今会期中に固まるかを占う局面である。倫理条項はほぼ変わらず、審議入りに必要な60票の確保は不透明である。

何が起きたか

改定版の中心はDeFiの扱いである。人またはグループが、契約や取り決めを通じてプロトコルの機能や合意ルールを支配・変更できる場合を「非分散型」の取引プロトコルとし、その支配者にCFTCへの登録を求める。具体的な方法はCFTCと財務省が規則で定める。あわせて、DeFi関連規定の適用対象を「デジタル商品の現物・現金決済取引」に限定した。ルミス氏は、ブロックチェーン上の予測市場への影響を懸念した先住民部族の政府に配慮した変更だと説明している。信用組合の暗号資産業務に関する規定も明確化された。一方、公職者とその配偶者によるデジタル資産の発行・後援を禁じる倫理条項は、7月案と同様に司法省が執行し、2029年1月に失効する設計のままである。米政治専門紙ポリティコは、改定版を支持する民主党議員はいないと報じた。

なぜ重要か

15日の採決は法案の最終可決ではなく、審議入りの可否を問う手続き上の採決で、60票が要る。共和党は53議席のため、民主党など少なくとも7票の上乗せが必要となる。日本の交換業者や証券会社にとって、米国で証券と商品の所管が法律で線引きされるかどうかは、米国事業者との提携や商品導入の前提条件に直結する。DeFiについて「実質的な支配者」に義務を課す発想は、日本でも運営者の特定が規制適用の論点となっており、制度設計の参照点になり得る。

注視点

焦点は9月15日の採決である。ルミス氏は2027年1月に議会を去る予定で、否決なら次の機会は中間選挙後にずれ込むとの見方が報じられている。倫理条項の修正で民主党と歩み寄れるか、審議入りした場合に本会議でどこまで修正案が出るか、SECが並行して進める暗号資産向け規則案と条文がどう整合するかも見ておきたい。

用語解説

  • クローチャー採決:米上院で討論を打ち切り、次の手続きに進むための採決。少数派による議事妨害を防ぐ仕組みで、原則として定数の5分の3にあたる60票が必要となる。今回は法案そのものではなく、法案の審議入りの動議に対する採決である。
  • CFTC(商品先物取引委員会):米国で先物やスワップなどのデリバティブ市場を監督する連邦機関。クラリティー法は、証券に当たらないデジタル資産の現物市場もCFTCの所管とする設計で、同委員会の権限が大きく広がる。
  • DeFi(分散型金融):銀行や取引所などの仲介者を置かず、ブロックチェーン上のプログラムで取引や貸借を行う仕組み。運営主体が見えにくいため、誰に規制上の義務を課すかが各国共通の難題となっている。
  • 市場構造法案:暗号資産を証券、商品、ステーブルコインなどに分類し、所管当局と業者の登録制度を定める包括的な法案。2025年成立のGENIUS法がステーブルコインだけを対象としたのに対し、市場全体の枠組みを扱う。
  • 倫理条項:公職者とその家族がデジタル資産を発行・後援することを制限する規定。大統領一族の暗号資産事業をめぐる批判を背景に、民主党が強化を求めている最大の争点である。

出典


本記事は公開情報に基づく解説であり、投資助言を目的としたものではありません。

END OF RECORD / VERIFIED 2026-09-11

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