NEWS米国制度①案の公表・意見募集2026-09-28

米SEC企業金融局、暗号資産FAQを改訂──機能するネットワークの改良やトークン買い戻しは「投資契約の要素に当たらない」

法律による線引きが上院で止まったなか、米SECの職員は問答集を使って線を引き直している。どこまでが発行体の「経営努力」なのかという問いに、具体的な答えが出始めた。

BY OFM Research · 5 MIN READ

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米SEC企業金融局は2026年9月25日、暗号資産に関するFAQに9問を追加した。ネットワークが機能した後の保守・改良、トークン買い戻しの公表、将来の用途に触れる宣伝は、原則として投資契約の要件である「他者の本質的な経営努力」に当たらないと整理した。ステーキングの受領トークンの分類も示した。日本でも、金商法移管後の有価証券該当性の判断で参照材料になる。職員の見解で拘束力はなく、規則案「Regulation Crypto Assets」の意見募集は10月20日に締め切られる。

何が起きたか

追加されたのは問1.1〜1.3と問2.1〜2.6である。前提は、SECの3月17日の解釈リリースと8月18日の規則案である。問2.3は、システムが機能した後に行うセキュリティの確保、保守、改良は本質的な経営努力に当たらず、これに関する発行体の約束も投資契約の要件を満たさないとした。問2.5は、機能するシステムでの買い戻しの公表は経営努力の表明に当たらないとした。ただし、未完成のシステムで利回りや収益を生むものとして示す場合は、当たりうるとしている。問2.1は、現在の用途や時期を定めない将来構想を宣伝するだけなら、利益への期待を訴えない限り経営努力の表明に当たらないとした。問2.2は、発行体の約束を第三者が引き継いだ場合、投資契約からの切り離しは起きないとした。問1.2と1.3は、ステーキングの受領トークンが条件によって「デジタル・ツール」や「デジタル・コモディティ」に分類されうるとした。受領証と認められるには、発行者が預かった資産を貸し出したり担保に入れたりできないことが要件となる。問2.6は、取引の場がプロモーターとみなされるのは、証券法規則405の定義に当たる場合に限るとした。

なぜ重要か

上院で市場構造法案が否決された後、米国の当局は法律を待たずに既存の権限と解釈で制度を整える姿勢を強めている。今回の問答は、トークンが証券に当たるかどうかを、発行時の約束がいつまで続くかという時間の軸で整理している。日本では、暗号資産の規制を金融商品取引法に移す改正法が7月に成立し、発行体による情報開示や不公正取引の規制が議論されている。発行後の開発や買い戻しをどう扱うかは、国内の取引所の審査や開示の設計でも問われる論点である。受領トークンの要件が、預かり資産を貸し出さないことに置かれた点は、国内のステーキングやカストディの商品設計にも参考になる。

注視点

これらは職員の見解で、SEC自体の判断ではない。10月20日に意見募集が締め切られる規則案に、どこまで取り込まれるかが焦点である。「機能する」と「分散化された」の判定を誰が担うのかも、引き続き実務上の論点として残る。

進捗段階

③ 施行・適用開始(制度系)

FAQは公表と同時に参照でき、3月の解釈リリースを運用する際の指針として実務で使われる。ただし職員の見解で、法的拘束力はなく、将来の規則制定や委員会の判断で変わりうる。

用語解説

  • 投資契約(ハウィー・テスト):他者の経営努力による利益を期待して資金を出す取引は、米国法上の証券に当たるとする判断基準。1946年の最高裁判決に由来する。暗号資産が証券かどうかは、主にこの基準で判断されてきた。

    • 英:investment contract (Howey test) / 用例:Post-launch upgrades to a functional network do not satisfy the Howey test, SEC staff said. (SEC職員は、機能するネットワークの稼働後の改良はハウィー・テストを満たさないとした)
  • 本質的な経営努力:投資の成否を左右する、発行体などによる中核的な取り組み。これに頼って利益を期待する場合、投資契約とされやすい。FAQは、ネットワークが機能した後の保守や改良はこれに当たらないとした。

    • 英:essential managerial efforts / 用例:A buyback announcement for a functional system is not a promise of essential managerial efforts. (機能するシステムでの買い戻しの公表は、本質的な経営努力の約束に当たらない)
  • ステーキング受領トークン:暗号資産をステーキングに預けた証として発行されるトークン。預けた資産を動かせない間も、受領トークンは売買や担保に使える。FAQは、発行者が預かり資産を貸し出さないことを受領証の要件とした。

    • 英:staking receipt token / 用例:A staking receipt token must not let its issuer lend or pledge the deposited asset. (ステーキング受領トークンでは、発行者が預かった資産を貸し出したり担保に入れたりできない)
  • プロモーター:証券の発行や勧誘に中心的に関わる者。米国の証券法規則405で定義されている。FAQは、暗号資産の取引の場が一律にこれに当たるわけではないとした。

    • 英:promoter / 用例:A secondary trading platform is a promoter only if it meets the Rule 405 definition. (二次流通の取引の場がプロモーターに当たるのは、規則405の定義を満たす場合に限る)

出典


本記事は公開情報に基づく解説であり、投資助言を目的としたものではありません。

END OF RECORD / VERIFIED 2026-09-28

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