NEWS日本制度⓪検討・研究2026-09-28

金融庁、「AI時代を見据えたオンチェーン金融フォーラム」を設置──研究会2つを置き、9月30日に初会合

オンチェーン金融の政策は、これまで戦略文書の中の記述にとどまっていた。それを官民で動かす場が、ようやく金融庁に置かれた。論点の幅と、どこまで決める場なのかが問われる。

BY OFM Research · 5 MIN READ

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金融庁は2026年9月25日、「AI時代を見据えたオンチェーン金融フォーラム」の設置を公表し、第1回会合を9月30日に非公開で開くと発表した。フォーラムの下には、資産のトークン化やステーブルコイン、DeFiなどを扱う研究会と、AIの健全な利活用を扱う研究会の2つが置かれる。日本の金融機関にとっては、決済高度化プロジェクト(PIP)や日銀当座預金のオンチェーン対応が、ロードマップという形で官民の共通の工程に載る点が論点になる。構成員はまだ公表されておらず、中間整理は2027年初とされている。

何が起きたか

金融庁は公表文で、オンチェーン金融の社会実装とAIの健全な利活用を進めるため、関係省庁とともに分野横断で検討する場としてフォーラムを立ち上げるとした。別紙の「AI時代を見据えたオンチェーン金融イニシアティブ」は、目指す姿を既存の金融インフラとの「ベストミックス」とし、要素として「24時間365日連続稼働」「商流・物流と繋がるプログラマビリティ」「決済基盤として信頼される安定性・安全性」の3つを挙げている。フォーラムが担う項目は、官民連携でのロードマップ作成、PIPの継続・拡大、新たな決済システムの構築の促進、国際連携・発信、日銀当座預金のオンチェーン対応である。その下に「デジタル・分散型金融への対応のあり方等に関する研究会」と「AI等の健全な利活用の推進に関する研究会」を置く。前者はトークン化、ステーブルコイン、DEX・DeFi、ウォレット提供業者、国債等のトークン化などを、後者はAIの利活用、市場監督、量子コンピュータのリスクなどを扱う。第1回は9月30日に開かれ、議事概要は会合後に公表される。

なぜ重要か

7月の「成長投資を促進するための金融戦略」は、日銀が当座預金のオンチェーン対応の論点を年内に整理し、財務省が国債のトークン化とオンチェーンでの元利払いを検討すると記していた。今回の別紙は、これらをフォーラムの項目として一覧に並べている。個々の省庁の宿題が、一つの工程表の上で管理される形になりつつあるとみられる。銀行にとっては、トークン化預金の銀行間決済をどの資金で最終的に完了させるかが、中銀の検討と同じ場で議論されることになる。証券会社と信託銀行にとっては、国債のトークン化が担保やレポの実務に及ぶ可能性がある。DeFiとウォレット提供業者が研究会の対象に明記されたことで、規制の範囲が交換業者の外に広がる余地も示された。

注視点

第一に、構成員の顔ぶれである。業界団体や大手金融機関がどこまで入るかで、ロードマップの実効性は変わる。第二に、9月30日の議事概要で、各省庁がどこまで具体的な報告をするか。第三に、2027年初の中間整理までに、日銀の論点整理(年内)がどう反映されるかである。

進捗段階

⓪ 検討・研究(制度系)

検討の場を設置した段階で、制度案や工程表はまだ示されていない。構成員も未公表である。①に進むには、研究会での規制案の提示や、中間整理でのロードマップの公表が必要になる。

用語解説

  • オンチェーン金融:資金や証券の記録、移転、決済をブロックチェーン上で行う金融の総称。複数の参加者が同じ台帳を共有するため、照合の手間が減り、条件付きの自動決済を組み込みやすい。金融庁は既存インフラとの置き換えではなく、組み合わせを前提としている。

    • 英:on-chain finance / 用例:The FSA wants on-chain finance to work alongside existing payment infrastructure, not replace it. (金融庁は、オンチェーン金融を既存の決済インフラの置き換えではなく、併用するものと位置づけている)
  • 決済高度化プロジェクト(PIP):金融庁が支援する、決済分野の実証や実装の取り組み。ステーブルコインやトークン化預金を使った企業間決済などの案件が対象となってきた。フォーラムは、その継続と拡大を担う項目の一つに掲げている。

    • 英:Payment Innovation Project (PIP) / 用例:The forum will continue and expand the Payment Innovation Project. (フォーラムは決済高度化プロジェクトを継続・拡大する)
  • 日銀当座預金のオンチェーン対応:銀行が日本銀行に置く当座預金を、ブロックチェーン上の取引の最終決済に使えるようにする構想。トークン化預金やデジタル証券の決済を中央銀行マネーで完了させられれば、決済リスクを最小にできる。欧州ではECBが同様の目的で「Pontes」を稼働させている。

    • 英:on-chain central bank reserves / 用例:Settling tokenized deposits in on-chain central bank reserves would minimize settlement risk. (トークン化預金をオンチェーンの中銀当座預金で決済すれば、決済リスクを最小にできる)
  • ウォレット提供業者:利用者が暗号資産やステーブルコインを保管・送付するためのソフトウェアを提供する事業者。利用者の資産を預からない形態は、現行の交換業の規制が及びにくい。研究会はこの層への対応を検討対象に入れている。

    • 英:wallet provider / 用例:Regulators are studying how to reduce risks posed by wallet providers and DeFi. (当局は、ウォレット提供業者やDeFiがもたらすリスクを減らす方法を検討している)

出典


本記事は公開情報に基づく解説であり、投資助言を目的としたものではありません。

END OF RECORD / VERIFIED 2026-09-28

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