韓国のKB証券は2026年9月23日、米Securitize、Optimism Foundationと、国内の機関投資家向けトークン証券事業で業務協約(MOU)を結んだと公表した。まず機関向けのトークン化MMFと、KB資産運用の戦略を使ったトークン化ファンドを出す計画である。Securitizeが海外の運用会社と組成した既存のトークン化ファンドを、国内の機関に供給する案も検討する。日本の証券会社がとりうる形と比べやすい事例だ。2027年2月4日の制度施行に向けた下位法規の内容が焦点となる。
何が起きたか
KB証券は9月23日、SecuritizeおよびOptimism Foundationと、国内の資産を基にしたトークン証券事業を共同で進める業務協約を結んだと公表した。役割は、KB証券が金融商品の引受・発行・販売と機関顧客の基盤を、Securitizeがトークン化の基盤を、Optimism Foundationがブロックチェーンのネットワークをそれぞれ担う。まず機関顧客向けにトークン化MMFと、KB資産運用の代表的な投資戦略を使ったトークン化ファンドを出す計画である。その後、制度の整備に合わせて、株式、米国株の預託証券(ADR)、社債、国債へと対象を段階的に広げる。Securitizeが海外の運用会社と組成した既存のトークン化ファンドを、国内の機関投資家に供給する案も検討する。韓国紙によれば、Securitizeはブラックロック、アポロ、BNY、KKRなどと協業し、同社の基盤で発行・管理するトークン化資産は約50億ドル(約7,800億円、1ドル=156.94円で換算)にのぼる。
なぜ重要か
韓国では、トークン証券を法的に認める電子証券法と資本市場法の改正が2026年2月に公布され、電子証券法の改正部分は2027年2月4日に施行される。金融委員会が9月に示した方針では、第一段階の対象に機関投資家向けの私募MMFや私募社債が挙がっている。KB証券が最初にトークン化MMFを選んだのは、この順序に合わせたものとみられる。海外のトークン化ファンドを国内に供給する案は、金融委員会が8月に示した法令解釈とも関わる。国内のMMFを組み入れた海外ファンドを、海外の機関がトークン証券として発行・販売する構造には、電子証券法が適用されないとする内容である。日本の証券会社も、国内のST基盤で発行するか、海外の商品を取り次ぐかを選ぶ局面にある。
注視点
9月末に予定される下位法規の立法予告で、発行できる証券の範囲や口座管理機関の要件がどう定まるかが第一の焦点である。公開型のOPメインネットの利用が、制度上どう扱われるかも確認したい。海外ファンドの供給が、どの法的な枠組みで実現するかもあわせて見ておきたい。
進捗段階
実装トラック:⓪(業務協約の段階。商品の発行時期、規模、使う台帳の最終的な構成は示されていない) 規制トラック:②(トークン証券の根拠法は公布済みで、施行は2027年2月4日の予定。下位法規は未公表)
用語解説
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トークン証券(韓国):ブロックチェーンなどの分散台帳を使って発行・管理される証券を、韓国の電子証券法の枠組みで認めたもの。日本のセキュリティトークン(電子記録移転有価証券表示権利等)に近い位置づけである。韓国では、証券会社などが分散台帳の連携を申請し、韓国預託決済院が審査する形が想定されている。
- 英:security token offering (STO) regime / 用例:Korea's STO regime takes effect in February 2027 after two law amendments. (韓国のトークン証券制度は、二つの法改正を経て2027年2月に施行される)
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レイヤー2:イーサリアムなどの基盤となるブロックチェーンの上に構築され、取引の処理を肩代わりして結果だけを基盤に記録する仕組み。手数料を下げ、処理能力を高めることができる。OPメインネットはその代表例で、同じ技術がCoinbaseのBaseにも使われている。
- 英:layer 2 network / 用例:KB Securities chose a public layer 2 network rather than a private ledger. (KB証券は、私設の台帳ではなく公開型のレイヤー2を選んだ)
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トークン化MMF:短期の債券などで運用するMMFの持分を、ブロックチェーン上のトークンとして発行したもの。担保や決済の資金として即時に移せる点が注目され、米国では大手運用会社の商品が相次いでいる。韓国の制度では、機関向けの私募MMFが第一段階の対象に入った。
- 英:tokenized money market fund / 用例:The first product will be a tokenized money market fund for institutions. (最初の商品は、機関投資家向けのトークン化MMFになる)
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立法予告:韓国で、法令の制定や改正の案を事前に公表し、意見を募る手続き。日本の意見公募手続(パブリックコメント)にあたる。トークン証券の下位法規は、2026年9月末に立法予告される予定と伝えられている。
- 英:legislative pre-announcement / 用例:Market players await the legislative pre-announcement of the detailed token rules. (市場参加者は、トークン証券の詳細を定める規則の立法予告を待っている)
出典
- 인더뉴스「KB증권, 시큐리타이즈·옵티미즘 파운데이션과 국내 기관 토큰증권사업 추진」(2026年9月23日): https://www.inthenews.co.kr/news/article.html?no=92304
- 뉴스핌「KB증권, 시큐리타이즈·옵티미즘 파운데이션과 기관 대상 토큰증권 사업 협력」(2026年9月23日): https://www.newspim.com/news/view/20260923000213
- 법률신문(법무법인 태평양)「역외 구조를 통한 토큰증권 발행과 전자증권법의 적용 범위」(2026年9月): https://www.lawtimes.co.kr/news/articleView.html?idxno=225822
- 법률신문(법무법인 지평)「금융위원회, 『토큰증권 정책방향』 발표」(2026年9月): https://www.lawtimes.co.kr/news/articleView.html?idxno=226174
本記事は公開情報に基づく解説であり、投資助言を目的としたものではありません。