改正金商法が7月23日に公布され、無登録業への罰則引上げなど一部が8月12日に施行された。本体である暗号資産規制の資金決済法から金商法への移管は公布から1年以内の施行で、2027年中の新制度導入が見込まれる。
何が起きたか
「金融商品取引法及び資金決済に関する法律の一部を改正する法律」は7月15日に成立し、23日に公布された。無登録業への罰則引上げと証券取引等監視委員会の犯則調査権限の追加は公布から20日を経た8月12日に施行され、金融庁は7月29日、これに伴う関係政令を公布している。
今回の改正の柱は、暗号資産取引に係る規制を資金決済法から金商法へ移管する点にある。有価証券とは別の金融商品として位置づけたうえで、第一種金融商品取引業に相当する業規制を適用する。
具体的には、取扱銘柄の基準適合義務、業務管理体制の整備、不正流出時の補償原資となる責任準備金の積立て、暗号資産の管理システム提供業者への事前届出制などが盛り込まれた。発行者がいる「特定暗号資産」については募集・売出し前の情報公表を義務づけ、財務監査が行われていない場合には投資家ごとに投資上限を設ける。
さらに、これまで直接規定のなかったインサイダー取引規制が新設された。発行者関係者・取引業者関係者・大量売買者とその情報受領者を対象に、重要事実の公表前の売買を禁じるもので、罰則は5年以下の拘禁刑または500万円以下の罰金である。先行施行された無登録業への罰則は、資金決済法の拘禁刑3年から金商法の10年へ引き上げられた。
なぜ重要か
第一種金商業者にとっては、暗号資産取引業を行う場合に変更登録が必要となる。既存の証券システム・売買審査体制・適合性確認のフローに暗号資産をどう組み込むかは、1年程度の準備期間で設計しなければならない論点である。
運用会社・助言業者にとっても、暗号資産を投資対象とする行為が投資運用業・投資助言業の対象として明確に規制されるため、既存業務との線引きの整理が要る。銀行・保険にとっては直接の登録義務はないが、グループ内に取引業者を持つ場合の連結でのガバナンスと、顧客が暗号資産関連の詐欺的勧誘に遭うリスクへの対応が実務課題になる。
注視点
詳細の多くが政令・内閣府令に委ねられている。取扱銘柄の基準、責任準備金の積立率、情報公表の記載事項、インサイダー取引の「大量売買」の閾値(発行済数量の20%以上を政令で定める予定)などは、今後のパブリックコメントを追う必要がある。分離課税への見直しは今回の改正には含まれておらず、税制改正での取扱いは別途の論点として残る。
出典
- 金融庁「令和8年金融商品取引法等改正(20日後施行)に係る政令の公布について」(2026年7月29日): https://www.fsa.go.jp/news/r8/shouken/20260729/20260729.html
- 金融庁「金融商品取引法及び資金決済に関する法律の一部を改正する法律案 説明資料」(2026年4月): https://www.fsa.go.jp/common/diet/221/02/03.pdf
本記事は公開情報に基づく解説であり、投資助言を目的としたものではありません。