NEWS米国制度①案の公表・意見募集2026-09-03

米財務省、GENIUS法3条の規則案を公示──「発行」の瞬間と「米国内所在」の定義を提示、意見募集は10月19日まで

どこで発行したかではなく、誰に渡したかで米国内発行かが決まる。財務省の規則案は、国外発行体が米国利用者を避けるための条件も同時に示した。

BY OFM Research · 5 MIN READ

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米財務省は2026年8月18日、GENIUS法第3条を実施する規則案を官報に公示した。法律に定義のなかった「発行する」「米国内に所在する」等に定義を与えるもので、米国内での発行に当たるのは、発行時点で発行体が米国内にいるか、米国内に所在する者に対して発行した場合に限られる。国外発行体が四条件を満たせば米国内発行と見なさない規定も置かれた。意見募集は2026年10月19日まで。GENIUS法の施行日は2027年1月18日、提供禁止の一部は2028年7月18日に始まる。

何が起きたか

規則案は連邦規則12 CFRに新たにパート1523を設ける。「発行する」は、発行体による最初の移転(直接・間接を問わず、口座への記帳を含む)であって、発行体以外の者が使用・移転または償還を受ける権利を得る結果になるもの、と定義された。鋳造されても発行体のトレジャリーに滞留しているトークンは発行済みと扱われない一方、保有者のウォレットへ直接鋳造する行為は最初の移転に当たる。「米国内に所在する」は、個人については物理的な所在を基本としつつ非居住者の一時滞在を除外し、法人については米国法に基づく設立または主たる営業所の所在で判定する。第1523.2条(c)は、国外発行体が、米国内にいないこと、交付先が米国内にいないと合理的に信じること、米国内の者への発行を避ける方針・手続・統制を実際に運用していること、米国向けの広告・勧誘を行わないことの四条件を満たす場合に、米国内発行と見なさない。

なぜ重要か

日本の電子決済手段の発行体と取扱業者にとって、この規則案は米国利用者を避けるための具体的な行為規範を初めて示したものになる。判定基準が発行体の所在地だけでなく交付先の所在地にも及ぶため、国外で発行した形式だけでは米国内発行の該当性を免れない。四条件は、書面上の方針を整えるだけでは足りず、実際に運用され状況変化に応じて見直されていることを求める。所在地確認に自己申告、IPアドレス、本人確認書類のいずれが必要かは規則案自体が意見を求めており、確定していない。米国利用者を排除する設計をとるなら、KYCの取得項目と地理的アクセス制限をこの四条件に照らして点検する実務が生じる。

注視点

第3条(a)違反に故意に関与した者には、1件につき100万ドル(1億6,000万円。1ドル=160円、2026年8月28日ニューヨーク終値ベースによる筆者の換算)以下の罰金または5年以下の拘禁刑が科されうる。財務省は代替案として、米国内所在者への発行を一律に違法とする案と、レギュレーションSに近いオフショア取引の枠組みを採る案を併記し意見を求めている。発行体がデジタル資産サービス提供者にも該当しうるとの解釈が維持されるかも論点である。

進捗段階

規制トラック①(規則案・意見募集中)。法律であるGENIUS法は2025年7月18日に成立済みだが、本件は下位規則の案であり確定していない。意見募集期間の終了は2026年10月19日で、最終規則の公示時期は示されていない。

用語解説

  • GENIUS法:2025年7月18日に成立した米国のペイメント・ステーブルコイン規制法。許可を受けた発行体以外による米国内での発行を禁じるほか、デジタル資産サービス提供者による提供・販売にも制限を課す。施行日は2027年1月18日で、条項ごとに適用開始時期が異なる二段構えになっている。
  • 官報(Federal Register)公示:米国の規則制定手続で、規則案や最終規則を政府の公報に掲載すること。公示によって意見募集期間が起算され、行政手続法上の告知と意見聴取の要件を満たす。公示の前日には公衆縦覧(Public Inspection)に置かれるため、実務上はそちらが最速の入手経路になる。
  • デジタル資産サービス提供者(DASP):報酬または利益のために、米国内でデジタル資産の交換、第三者への移転、カストディ、発行関連の金融サービスなどを業として行う者。取引所やカストディアンが典型で、日本でいえば暗号資産交換業者や電子決済手段等取引業者に相当する位置づけにある。
  • レギュレーションS:米国の証券法において、米国外で行われる募集・売付けを登録義務の対象外とする枠組み。オフショア取引であることと、米国内への勧誘行為がないことを要件とする。財務省はこの考え方をステーブルコインに転用する案を代替案として提示している。
  • 合法的命令(lawful order)への対応能力:外国の発行体が、米当局の適法な命令に従ってトークンの凍結や差押えに応じられる技術的能力を持つこと。GENIUS法はこれを外国発行コインの米国内提供の条件としており、発行体レベルでの制御機能が制度上の前提に組み込まれていることを示す。

出典


本記事は公開情報に基づく解説であり、投資助言を目的としたものではありません。

END OF RECORD / VERIFIED 2026-09-03

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