NEWS米国制度⓪検討・研究2026-09-28

米上院のデインズ議員、暗号資産税制の草案を回覧──ドル建てステーブルコインの支払いを「1ドル±3%」で非課税に

ステーブルコインを支払いに使うたびに損益を計算させるのか。下院に続き、上院でもこの問いに答える法案の形が見えてきた。上下両院の案がどこまで重なるかが、成立の見通しを左右する。

BY OFM Research · 5 MIN READ

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米国の報道によれば、上院財政委員会のデインズ議員は2026年9月25日の週、暗号資産の課税関係を定める法案の草案を関係者に回覧した。取得価格が1ドルの上下3%以内に収まるドル建てステーブルコインでの支払いは損益を認識しないとし、少額手数料の非課税化やウォッシュセール規制の適用も盛り込んだ。日本の金融機関にとっては、ステーブルコインを税制上も決済手段として扱う発想が、米国の上下両院で共有されつつある点が論点となる。正式な提出は翌週の予定とされ、草案本文は公表されていない。

何が起きたか

報道によれば、デインズ議員の事務所は、草案を翌週に正式に提出する予定だとしている。専門メディアの報道では、草案は13の条で構成される。ステーブルコインについては、取得価格が1ドルの上下3%以内で、財務省が定める月次の要件を満たすドル建てのものを使った支払いに、損益の認識を求めない。取引ごとの手数料の合計が10ドル(約1,569円)以下の場合も損益を認識しないとし、この規定は2027年12月31日より後の処分から適用する。売却の前後30日以内に実質的に同じ資産を買い戻した場合に損失の計上を認めないウォッシュセール規制も、暗号資産に広げる。ほかに、ステーキングを行う投資ファンドがそれだけを理由に税務上の地位を失わないこと、一定の条件を満たす暗号資産の貸付を売却として扱わないこと、経済効果が売却と同じ取引をみなし売却とすることなどが含まれる。デインズ議員は今期で引退する予定で、それまでに税制の枠組みを示したい考えだと報じられている。下院では9月16日に、歳入委員会が同様の法案(H.R.10357)を可決している。円換算は筆者が1ドル=156.94円(9月25日NY終値)で計算した。

なぜ重要か

ステーブルコインを支払いに使うたびに損益の計算と報告が生じるなら、決済手段として広く使うのは難しい。下院案が「規制されたドル建てステーブルコイン」を対象にしたのに対し、上院の草案は取得価格の幅という数値の基準を置いていると報じられている。どちらの方式を取るかで、非課税になる範囲は変わる。日本では、電子決済手段と暗号資産を法律上分けているが、税の扱いの詳細はなお議論の途上にある。米国の上下両院がそろって、決済用トークンを投資用の暗号資産と税制上も分ける方向を示したことは、国内の税制改正要望を考えるうえで比較の材料になる。

注視点

第一に、正式に提出された法案の本文と共同提出者である。第二に、下院案との違いがどこに残るか。第三に、中間選挙後の会期末の国会で審議が進むかどうかである。

進捗段階

⓪ 検討・研究(制度系)

草案が関係者に回覧された段階で、法案は正式に提出されておらず、本文も公表されていない。①に進むのは、上院に正式に提出され、条文が公開された時点である。上院財政委員会での審議日程の設定も、その次の目安となる。

用語解説

  • ウォッシュセール規制:損失を計上する目的で資産を売り、すぐに買い戻す取引について、損失の控除を認めない規定。米国では株式などに適用されてきたが、暗号資産は対象外だった。草案はこれを暗号資産に広げる。

    • 英:wash sale rule / 用例:The draft applies the wash sale rule to crypto repurchased within 30 days. (草案は、30日以内に買い戻した暗号資産にウォッシュセール規制を適用する)
  • 少額免除(デミニミス):一定額以下の取引について、課税や報告を免除する仕組み。少額の支払いのたびに損益を計算する負担をなくす狙いがある。草案は、手数料の支払いに10ドルの基準を設けた。

    • 英:de minimis exemption / 用例:A de minimis exemption would spare users from tracking gains on tiny network fees. (少額免除があれば、利用者はわずかなネットワーク手数料の損益を記録しなくて済む)
  • みなし売却:実際には売っていなくても、経済的な効果が売却と同じ取引を、税務上は売却として扱う規定。先物やオプションで値動きのリスクを消しながら、課税を先送りすることを防ぐ。草案は、これを暗号資産にも適用する。

    • 英:constructive sale / 用例:Hedging a crypto position to lock in gains may count as a constructive sale. (利益を固定するための暗号資産ポジションのヘッジは、みなし売却とされる場合がある)

出典


本記事は公開情報に基づく解説であり、投資助言を目的としたものではありません。

END OF RECORD / VERIFIED 2026-09-28

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