NEWS米国制度①案の公表・意見募集2026-09-17

米下院歳入委員会、デジタル資産課税法案(H.R. 10357)を38対5で可決 規制されたドル建てステーブルコインの売却損益を非課税に

市場構造法案が上院で止まった翌日、課税の土台づくりは超党派で前に進んだ。ステーブルコインを「決済に使える資産」として税制上扱う発想が、法案の形で示された。

BY OFM Research · 4 MIN READ

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米下院歳入委員会は2026年9月16日、暗号資産を含むデジタル資産の課税関係を定める「Digital Asset Tax Certainty Act(H.R. 10357)」を38対5で可決し、本会議での審議が可能になった。規制された米ドル建てステーブルコインの売却損益などを課税対象から外し、ウォッシュセール規制の適用やステーキング報酬の扱いも定める。日本の金融機関にとっては、ステーブルコインを決済手段として税務上どう扱うかという国内の議論に直結する。本会議と上院の審議日程は決まっていない。

何が起きたか

委員会の発表によると、法案は7つの編で構成される。第1編は、規制された米ドル建てステーブルコインの売却損益と、ネットワーク手数料・取引手数料に充てた10ドル(約1,560円、筆者換算)未満の損益を課税対象から除き、簡便な会計方法の選択も認める。第2編は、外国人投資家向けと貸付向けの二つの既存の安全港規定をデジタル資産にも適用し、ディーラーとトレーダーに時価評価会計を認める。第3編は、損失を出して買い戻すウォッシュセールなどの租税回避防止規定をデジタル資産にも適用する。第4編はマイニングとステーキング報酬の所得源泉と性質を定め、ETFなどの上場投資商品がステーキングしても税務上の地位を失わないようにする。第5編はブローカーの報告義務を明確にし、財務省に自主開示プログラムの創設を求める。

委員会は、2025年に内国歳入庁(IRS)が受け取った1099-DA様式が数億件に上り、その多くが10ドル未満の取引だったと説明している。スミス委員長は、米国人の4人に1人、6,700万人超が何らかの暗号資産を保有していると述べた。

なぜ重要か

ステーブルコインを支払いに使うたびに損益計算と報告が生じる現行の扱いでは、決済手段としての実用性に限界がある。法案は、規制されたドル建てステーブルコインに限って売却損益を課税対象から外すことで、この障害を取り除こうとしている。日本では、電子決済手段として整理されたステーブルコインの税務上の扱いと、暗号資産の分離課税の議論が並行して進む。米国の法案は、規制の枠内にある決済用トークンを投資用の暗号資産と税制上も分けるという考え方を示しており、国内の税制改正要望を検討する際の比較材料になる。

注視点

法案は委員会を通過した段階で、下院本会議と上院での審議日程は未定である。市場構造を定めるCLARITY法が9月15日に上院で否決されたなか、課税法案が単独で成立に向かうかが焦点となる。財務省に委ねられる規則制定の範囲も確認が必要だ。

進捗段階

規制トラック:①(委員会可決の段階。本会議・上院審議は未定)

用語解説

  • 下院歳入委員会:米下院で税制を所管する委員会。税に関する法案は原則として下院から審議が始まるため、同委員会の可決は税制改正の最初の関門となる。
  • 1099-DA:デジタル資産の売却などについて、ブローカーがIRSと顧客に提出する報告様式。取引ごとの報告が必要なため件数が膨らみやすい。
  • ウォッシュセール規制:損失を計上する目的で資産を売却し、短期間で買い戻す取引の損失控除を認めない規定。株式には適用されているが、暗号資産には適用されていなかった。
  • 時価評価会計:期末に保有資産を時価で評価し、評価損益を課税所得に含める方法。頻繁に売買する業者の税務処理を簡素にする。
  • 安全港規定(セーフハーバー):一定の条件を満たせば課税や規制の対象外とする規定。法案は外国人の投資と資産の貸付について既存の規定を広げる。

出典


本記事は公開情報に基づく解説であり、投資助言を目的としたものではありません。

END OF RECORD / VERIFIED 2026-09-17

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