NEWSグローバル実装①実証実験(PoC)2026-10-05

Swift、ブロックチェーン台帳の稼働をSibosで表明──年末までに少なくとも19行、5通貨のトークン化預金で24時間の送金へ

銀行間の国際送金網を運営するSwiftが、自らの基盤にブロックチェーンの台帳を加え、実取引の段階に入ったと宣言した。各行のトークン化預金を、誰の台帳でつなぐのかという問いが現実味を帯びている。

BY OFM Research · 6 MIN READ

SHARELB!

Swiftのハビエル・ペレス=タッソCEOは2026年9月30日、国際金融会議Sibosで、同社のブロックチェーン台帳が稼働し、大手金融機関が使い始めていると述べた。年末までに少なくとも19行が利用し、5つの主要通貨のトークン化預金で24時間の送金を行うという。参加行には三菱UFJ銀行が含まれ、日本の銀行が自前のトークン化預金と国際送金網をどうつなぐかが論点となる。どの通貨が対象か、取扱量はどの程度かは公表されていない。参加行の一つは、年内は管理された概念実証の段階と位置づけている。

何が起きたか

報道によれば、ペレス=タッソCEOはSibosの場で、台帳がすでに稼働していると述べ、Swiftの公式アカウントも同様の内容を発信した。Swiftは2025年のSibosで台帳の構築を表明し、2026年7月9日には、台帳が利用できる状態になり、17行が実取引の試行を準備していると発表していた。17行はANZ、BNPパリバ、BNY、シティ、DBS、ファースト・アブダビ銀行、ファーストランド、HSBC、イタウ・ウニバンコ、ロイズ、マシュレク、三菱UFJ銀行、OCBC、スタンダードチャータード、UBS、UOB、ウェルズ・ファーゴである。その後、シティは9月4日に、ファースト・アブダビ銀行とOCBCとの間でトークン化預金によるドル建ての取引を実行したと発表した。シンガポールのDBS、OCBC、UOBの3行は9月10日、この台帳でシンガポールドルの銀行間取引を初めて実行したと発表している。シティは、この試行を2026年12月まで続く管理された概念実証の段階と説明している。今回のSibosでの表明は、こうした個別の取引を積み重ねたうえでの稼働宣言とみられる。

なぜ重要か

トークン化預金は銀行ごとに異なるブロックチェーンで発行されることが多く、銀行をまたいで動かす仕組みが課題になってきた。Swiftの台帳は、各行が顧客や預金、法令対応の関係を自ら持ったまま、銀行間の支払いの約束を共有の台帳で同期させる。国内では3メガバンクなどがトークン化預金の発行や標準化を進めている。国際送金の部分でSwiftの台帳を使うなら、国内で選ぶ技術や仕様をそこにつなげられるかを、早い段階で確かめておく必要がある。

注視点

第一に、5つの通貨がどれかと、円が含まれるか。第二に、三菱UFJ銀行が実取引を行う時期。第三に、概念実証が終わる12月以降に、本番の運用へ移る条件が示されるかである。

進捗段階

① 実証実験(PoC)(実装系)

実際の資金を使った取引は行われているが、参加行自身が年内を管理された概念実証と位置づけている。稼働の範囲や取扱量も開示されていない。②に進むには、試行の期間を区切らない運用と、繰り返しの取引の実績の開示が必要になる。

用語解説

  • トークン化預金:銀行の預金をブロックチェーン上のトークンとして表したもの。銀行の負債であり、預金と同じ規制の下に置かれる点で、ステーブルコインと異なる。条件付きの自動決済や24時間の送金に使える。

    • 英:tokenised deposits / 用例:Banks keep their own customers while tokenised deposits move across a shared ledger. (銀行は自らの顧客を持ったまま、トークン化預金を共有の台帳で動かす)
  • Sibos:Swiftが毎年開く国際的な金融会議。世界の銀行や市場インフラの関係者が集まり、決済や証券の新しい取り組みがここで発表されることが多い。Swiftの台帳の構築も、2025年のSibosで初めて表明された。

    • 英:Sibos / 用例:Swift's CEO told the Sibos audience that the ledger was already live. (SwiftのCEOは、Sibosの聴衆に台帳がすでに稼働していると伝えた)
  • 共有台帳:複数の参加者が同じ記録を持ち合う台帳。各行がばらばらに帳簿を持つ場合と比べ、照合の手間や食い違いを減らせる。誰が台帳を運営し、どこまでの情報を共有するかの設計が鍵になる。

    • 英:shared ledger / 用例:The shared ledger synchronises payment commitments between participating banks. (共有台帳は参加銀行の間の支払いの約束を同期させる)
  • 概念実証:新しい仕組みが実際に機能するかを、限られた範囲で確かめる段階。実際の資金を使う場合もあるが、期間や参加者、取引量を絞り、本番の運用とは区別される。

    • 英:proof of concept (PoC) / 用例:Citi describes the pilot as a controlled proof of concept running through December. (シティは、この試行を12月まで続く管理された概念実証と説明している)

出典


本記事は公開情報に基づく解説であり、投資助言を目的としたものではありません。

END OF RECORD / VERIFIED 2026-10-05

RELATED RECORDS

WRITTEN BY

OFM Research

Researcher

OFM リサーチチームは、ブロックチェーン・暗号資産関連および金融についての深い知識に基づいて、今現場で起こっていることをリサーチ・取材する専門チームです。

NEWSLETTER

オンチェーン金融の最新記事を毎週お届け

ニュースレターに登録すると、編集チームが厳選した週次ダイジェストを毎週月曜日にお届けします。