韓国金融委員会の担当者は2026年9月22日、暗号資産とウォン建てステーブルコインを包括的に規律する「デジタル資産基本法」を、11月の国会政務委員会の法案審査小委員会で審議すると明らかにした。9月29日には、韓国銀行や財政経済部と協議する仕組みを政府案に盛り込み、小委員会の審議前に政府案を出す方針を示した。ウォン建てのコインが日本円や米ドルのコインとどうつながるかは、日韓の送金や決済を手がける日本の金融機関の関心事となる。発行体の要件の争点は残り、年内に成立するかは見通せない。
何が起きたか
韓国の経済紙アジア経済によると、金融委員会の仮想資産課長は9月22日、デジタル資産基本法を11月の小委員会で審議すると確認し、方向性は定まっており遅らせる意図はないと述べた。法案は暗号資産の発行、流通、情報開示、事業者の規制を包括的に扱い、議員提出の法案と併せて審議される見込みとされる。イーデイリーによると、金融委員会の担当者は9月29日、ウォン建てステーブルコインについて韓国銀行や財政経済部と協議する協議体が必要だとし、これを政府案に入れる考えを示した。規制は発行段階に限らず、ウォレットや決済の事業者を含む全体を対象に設計し、利用者の資産を事業者の資産と分けて守る仕組みを重視するという。9月28日には、法案の審議が9月を越え、11月にずれ込むとの報道も出た。争点は以前から変わっていない。7月の報道では、金融当局は銀行が発行法人の過半の持分を持つ構造を主張し、発行体に求める自己資本の水準にも幅のある案が並んでいた。暗号資産交換業者の大株主の持分に上限を設ける案には、業者側が反発している。
なぜ重要か
韓国は、ウォン建てのコインの発行を銀行主導で始める方向で議論を進めてきた。日本では銀行、資金移動業者、信託会社がそれぞれの枠組みでステーブルコインを発行でき、仕組みが異なる。日韓の間でコインを交換したり、決済に使ったりするには、双方の発行体の性格と規制の違いを踏まえた設計が要る。韓国では、トークン証券の制度が2027年2月に施行される予定で、ステーブルコインの法制がそれに追いつくかどうかも、韓国の金融機関と組む日本の事業者にとって判断材料となる。
注視点
第一に、政府案が実際に国会に出され、発行体の持分要件がどう書かれるか。第二に、韓国銀行の関与が協議にとどまるのか、承認などの権限に及ぶのか。第三に、11月の小委員会で議員案との一本化が進むかである。
進捗段階
⓪ 検討(規制系)
政府案はまだ国会に提出されておらず、審議日程の見通しが示された段階である。発行体の要件など中核の論点も決着していない。
用語解説
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デジタル資産基本法:韓国で議論されている、暗号資産の発行、流通、開示、事業者の規制と、ウォン建てステーブルコインの発行をまとめて定める法案。現行の利用者保護法が不公正取引の規制を中心とするのに対し、業の規制まで広げる。
- 英:Digital Asset Basic Act / 用例:The Digital Asset Basic Act is expected to be reviewed by a parliamentary subcommittee in November. (デジタル資産基本法は、11月に国会の小委員会で審議される見通しである)
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法案審査小委員会:韓国国会の常任委員会の下で、法案の条文を詳しく審査する場。ここを通らなければ委員会の採決に進めない。複数の議員案や政府案は、ここで一本にまとめられることが多い。
- 英:bill review subcommittee / 用例:Several competing bills will be merged at the bill review subcommittee. (競合する複数の法案は、法案審査小委員会で一本化される)
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発行体の持分要件:ステーブルコインを発行する法人の株主構成に関する条件。韓国では、銀行が過半の持分を持つ構造を求める案が議論されている。発行の主導権と、問題が起きたときの責任の所在を決める論点である。
- 英:issuer ownership requirement / 用例:Regulators favour an issuer ownership requirement that gives banks a majority stake. (当局は、銀行に過半の持分を持たせる発行体の持分要件を支持している)
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分別管理:事業者が利用者から預かった資産を、自らの資産と分けて管理すること。事業者が破綻しても、利用者の資産が債権者に取られないようにするための仕組みである。
- 英:segregation of customer assets / 用例:Segregation of customer assets would protect users if a wallet provider fails. (利用者資産の分別管理は、ウォレット事業者が破綻した場合に利用者を守る)
出典
- アジア経済「금융위 "11월 소위에서 디지털자산기본법 논의"」(2026年9月22日): https://view.asiae.co.kr/article/2026092216564554891
- イーデイリー「금융위 "디지털자산기본법에 '한은 공동 협의체' 담겠다"」(2026年9月29日): https://edaily.co.kr/News/Read?mediaCodeNo=257&newsId=03703126645585040
- ブリッジ経済「원화 스테이블코인 법안 9월 넘긴다…국회 논의 11월로 밀리나」(2026年9月28日): https://www.viva100.com/article/20260928500818
- 時事ジャーナル「디지털자산기본법, 1년째 국회 표류…스테이블코인·거래소 지분 제한에 발목」(2026年7月20日): https://www.sisajournal.com/news/articleView.html?idxno=380303
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