NEWSグローバル実装②限定実装(パイロット)2026-10-05

PayPal USD、決済特化型チェーン「Stable」で10月8日から利用可能に──StableはVisa Directと接続し、銀行口座への着金まで担う

ドル建てステーブルコインは、どのチェーンで流通させるかを巡って発行体と基盤事業者の組み合わせが増えている。今回の動きは、コインの送金を受取人の銀行口座への着金までつなげる構想の一部である。

BY OFM Research · 5 MIN READ

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ステーブルコインの決済に特化したブロックチェーンを運営するStableは2026年9月30日、PayPalの米ドル建てステーブルコイン「PayPal USD(PYUSD)」を10月8日から自らのチェーンで扱うと明らかにした。同日にはVisaの即時送金網「Visa Direct」との接続も発表し、195か国以上の銀行口座などへの送金を可能にする。日本の金融機関にとっては、海外のドル建てコインが銀行送金網と直結する動きとして注視に値する。送金の手数料や取扱量は公表されていない。

何が起きたか

韓国で開かれた業界会議「Korea Blockchain Week」で、StableのCEOは、10月8日からPYUSDをStableのチェーンに導入すると述べた。韓国紙の報道では、他のチェーンから移すのではなく、このチェーン上で直接流通させる方式とされる。PYUSDはPayPalのブランドを冠し、米Paxosが発行するコインである。Stableのチェーンは2025年12月に稼働したレイヤー1のブロックチェーンで、米テザーのUSDTを決済の主な資産とし、取引手数料もUSDTで払う。利用者が手数料のために別の暗号資産を買わずに済む設計である。同日に発表されたVisa Directとの接続により、企業はチェーン上の資金を受取人の銀行口座やモバイルウォレットに即時に送れるようになり、受取人は暗号資産のウォレットを持つ必要がない。Stableは9月18日には、ブロックチェーンのPolygon上でUSDTとPYUSDを持つウォレットから、銀行口座へ直接送金できる機能も始めている。報道によれば、主な市場として中南米、アフリカ、東南アジアを想定している。

なぜ重要か

ステーブルコインを国際送金に使う際の課題は、受取人の手元で現地の通貨に換え、銀行口座に入れる最後の部分にある。Stableの構想は、この部分をVisaの送金網に任せ、コインの側はチェーン上の移動に専念させる。USDTの流通を前提に設計されたチェーンに、Paxosが発行するPYUSDが加わることで、発行体の性格が異なるコインが同じ基盤に並ぶ。日本では、海外発行のステーブルコインを扱うには電子決済手段等取引業者の登録が必要で、扱えるコインにも条件がある。チェーンが増えるほど、国内の業者がどのチェーン上のコインを取り扱いの対象とするかの判断が複雑になる。

注視点

第一に、10月8日に予定どおりPYUSDが使えるようになるか。第二に、Visa Directを使った送金の手数料と取扱量。第三に、PayPal自身がStableの採用をどう位置づけるかである。

進捗段階

① 発表・準備(実装系)

PYUSDの導入は予定の段階で、稼働は確認できていない。Visa Directとの接続も、取扱量の実績は示されていない。

用語解説

  • 決済特化型チェーン:ステーブルコインの送金と決済に用途を絞って設計されたブロックチェーン。手数料をステーブルコインで払えるようにするなど、利用者が価格の変動する暗号資産を持たずに済む工夫をしている。発行体や決済事業者が自ら立ち上げる例も増えている。

    • 英:stablecoin-focused chain / 用例:A stablecoin-focused chain lets users pay fees in the same dollar token they send. (決済特化型チェーンでは、送るドル建てトークンと同じものを手数料の支払いに使える)
  • Visa Direct:Visaが運営する即時送金の網。カード番号や口座番号を宛先にして、世界の銀行口座やウォレットに資金を届ける。個人間の送金や企業からの支払いに使われている。

    • 英:Visa Direct / 用例:Through Visa Direct, onchain dollars can reach a recipient's bank account in real time. (Visa Directを通じて、チェーン上のドルを受取人の銀行口座に即時に届けられる)
  • ネイティブ発行:トークンを他のチェーンから移すのではなく、そのチェーン上で発行体が直接発行すること。チェーン間をつなぐ仕組みを介さないため、その部分の不具合や攻撃のリスクを避けられる。

    • 英:native issuance / 用例:Native issuance avoids relying on a bridge to move tokens between chains. (ネイティブ発行は、チェーン間でトークンを移すためのブリッジに頼らずに済む)
  • 電子決済手段等取引業:日本で、ステーブルコインなどの電子決済手段の売買や交換、送金の仲介を行うための登録制度。海外で発行されたコインを国内で扱う場合も、この登録を持つ業者を通す必要がある。

    • 英:Electronic Payment Instruments Service Provider / 用例:Japanese users can access overseas stablecoins only through a registered Electronic Payment Instruments Service Provider. (日本の利用者は、登録された電子決済手段等取引業者を通じてのみ海外のステーブルコインを扱える)

出典


本記事は公開情報に基づく解説であり、投資助言を目的としたものではありません。

END OF RECORD / VERIFIED 2026-10-05

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OFM リサーチチームは、ブロックチェーン・暗号資産関連および金融についての深い知識に基づいて、今現場で起こっていることをリサーチ・取材する専門チームです。

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