NEWS韓国制度②成立・確定(未施行)2026-09-04

韓国トークン証券、下位法規の公表が7月目標から後ろ倒し──施行まで5カ月、基礎資産の範囲が未定のまま

韓国では法律が公布され、施行日も確定している。決まっていないのは、何をトークン化できるのかという、制度の最も基本的な部分である。

BY OFM Research · 5 MIN READ

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韓国では改正電子証券法と改正資本市場法が2026年2月3日に公布され、電子証券法は2027年2月4日に施行される。分散台帳が証券の法的な記録手段となる制度だが、基礎資産の範囲、場外取引所の認可要件、投資家の取引限度といった中核部分は大統領令と監督規定に委任されたままである。金融委員会は当初2026年7月頃の公表を目指したが、7月末時点で非公開の意見聴取にとどまり、8月末の実務者の見通しは9〜11月とされる。韓国預託決済院はシステム構築に着手済みで、発行と流通の間に空白が生じる懸念が出ている。

何が起きたか

改正法は2026年2月3日に公布され、電子証券法は2027年2月4日施行、資本市場法は規定ごとに公布直後または同日施行とされる。制度の骨格は、トークン証券方式の証券発行と投資契約証券の仲介・流通を認めることにある。要件を詰めるため2026年3月4日に官民合同の「トークン証券協議体」が発足し、5月15日の第2回会議では株式・債券・MMFなど定型証券のトークン化とオンチェーン決済インフラ構築を含む段階的ロードマップづくりで認識が共有されたと報じられている。金融委員会は2026年下半期の経済成長戦略で下位法規整備を資本市場制度化の中核課題に置き、7月末を自ら期限としたが、8月中旬時点でも公表に至らず、基礎資産の適格性や資産のプーリングといった商品設計に不可欠な基準が定まらない状況が続いた。同委員会関係者は、公表範囲や他の政策発表の日程との兼ね合いを理由に挙げる。

なぜ重要か

日本の証券会社・信託銀行にとって、韓国は制度設計の対照例になる。日本は2020年の金商法改正で電子記録移転有価証券表示権利等の枠組みを整え、発行実績を積み上げてきた。韓国は逆に、目標時期を先に置いて法律を通し、実務要件を下位法令に委ねる順序をとった。結果として、施行日は確定しているのに商品を設計できない状態が生じている。9月1日には、MMFを基礎とする海外トークン証券の発行が現行の電子証券法違反にあたらないとする金融委員会の法令解釈が示されたと報じられ、国内制度の空白を埋める形で域外での組成が先行している。国内法が整う前に事業が域外へ出る現象は、日本でもトークン化株式や無期限先物で観察される。制度の遅れが実務の海外流出を促す構図として読む価値がある。

注視点

第一に、下位法規と指針の公表時期である。9〜11月という見通しは実務者の観測であり、当局が確定日を示したものではない。第二に、定型証券が対象に含まれるかである。含まれれば、不動産や美術品の小口投資に偏っていた市場が株式・債券に広がる。第三に、韓国預託決済院のシステム構築と法規確定の時間差である。第四に、法令解釈を根拠とする海外組成が、施行後にどう位置づけ直されるかである。

進捗段階

規制トラック②相当。法律は公布され施行日も確定しているが、実務を規律する下位法令が未公表で、事業者は商品設計に着手できない段階にある。

用語解説

  • 電子証券法(株式・社債等の電子登録に関する法律):韓国で有価証券を電子的に登録・管理する制度を定める法律。今回の改正で分散台帳が正式な記録手段に加わり、ブロックチェーン上の記録が証券の権利関係を示す法的根拠となる。日本の社債株式等振替法に相当する位置づけである。
  • 下位法令(大統領令・監督規定):法律が枠組みだけを定め、具体的な要件を政令や当局の規定に委ねる方式で作られる規範。実務上の判断はここで確定するため、法律の公布だけでは事業者は準備を進められない。委任の範囲が広いほど、公表の遅れが実装の遅れに直結する。
  • 定型証券・非定型証券:韓国の議論で用いられる区分で、前者は株式や債券のように既存の制度が整った証券、後者は非金銭信託受益証券や投資契約証券のように新たに流通を認める証券を指す。どちらを先にトークン化の対象とするかで、市場の規模と参加者層が大きく変わる。
  • 投資契約証券:他者の事業から生じる損益を分配される権利を表章する証券。不動産や美術品の小口投資がこれにあたり、韓国では発行は認められていたが流通市場が整備されていなかった。今回の改正はこの流通を可能にする点も柱としている。
  • 韓国預託決済院(KSD):韓国の証券保管振替機関。証券の登録、決済、権利行使の事務を担う。トークン証券制度では分散台帳と既存の集中管理を接続する役割を負うため、同院のシステム対応時期が制度の実効性を左右する。

出典


本記事は公開情報に基づく解説であり、投資助言を目的としたものではありません。

END OF RECORD / VERIFIED 2026-09-04

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