NEWS韓国制度①案の公表・意見募集2026-10-03

韓国金融委、トークン証券の下位法令を立法予告──株式・債券・ファンドまで対象を広げ、2027年2月4日の施行へ

韓国は、トークン証券を正式な証券制度に組み込む最終段階に入った。台帳に誰が参加すべきかを定めたルールが、使えるブロックチェーンを事実上決めることになる。

BY OFM Research · 5 MIN READ

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韓国の金融委員会は2026年10月1日、トークン証券の制度化に向けて、資本市場法施行令や電子証券法施行令など5つの下位法令の改正案を公表し、10月2日から11月11日まで立法予告を行うとした。トークン化できる証券は従来の分割投資証券から株式・債券・ファンドなどに広がり、施行は2027年2月4日を予定する。権利を記録する分散台帳には電子登録機関と2つ以上の口座管理機関の参加を義務づけており、日本の金融機関にとってはST基盤の設計を比べる材料になる。内容は予告期間中の意見と審議を経て確定する。

何が起きたか

韓国紙の報道によれば、改正の対象は、資本市場法施行令、電子証券法施行令、金融投資業規程、証券の発行および公示等に関する規程、電子登録業務規程の5つである。トークン化できる証券は、これまでの分割投資証券に加え、株式・債券・ファンドなどの定型的な証券に広がる。発行者が自ら口座を管理する「発行者口座管理機関」には、自己資本40億ウォン(約4億6,400万円。100ウォン=11.60円、三菱UFJ銀行の2026年10月2日の公示仲値による筆者の計算)以上と、会計と内部統制の担当を各1人、IT担当を2人置くことを求める。権利の記録に使う分散台帳には、電子登録機関と2つ以上の口座管理機関が参加しなければならない。台帳の利用に対して直接の対価を受け取ることは禁じられる。流通の面では、非上場株式などを扱う店頭取引所の認可区分に、債券を新たに加える。一般投資家の純買付額は、店頭取引所ごとに年1億ウォン(約1,160万円)が上限となる。

なぜ重要か

日本のSTの多くは、証券会社などが管理する台帳と、従来の振替制度や名簿を組み合わせる形で運用されてきた。韓国は、公的な電子登録機関を台帳の参加者に加えることで、台帳の記録そのものを権利の記録として扱う道を選んだ。台帳と名簿の二重管理を避けやすい設計である。その一方で、参加者の要件が厳しいほど、使えるブロックチェーンは限られる。Ledger Insightsによれば、業界からはこの要件が実務上の制約になるとの懸念がすでに出ている。日本で国債やSTのトークン化を進めるうえでも、権利の正本をどこに置くかを考える具体例になる。

注視点

予告期間中に、台帳への参加要件が緩められるかどうかが第一の焦点である。施行までに店頭取引所の認可がどれだけ出るか、債券の流通がどの程度生まれるかも見ておきたい。外国の事業者が発行や流通に関われる範囲も確認したい。

進捗段階

制度トラック:②(根拠となる法律は成立済みで、下位法令の案が公表された段階。施行は2027年2月の予定) 実装トラック:対象外

用語解説

  • トークン証券:株式や債券などの証券の権利を、ブロックチェーンなどの分散台帳に記録して発行・移転するもの。韓国では法改正で正式な証券の記録方法として認められた。日本ではセキュリティトークン(ST)と呼ばれ、金融商品取引法上は電子記録移転有価証券表示権利等にあたる。

    • 英:tokenized securities / 用例:Korea will allow tokenized securities to include stocks, bonds and funds from February 2027. (韓国は2027年2月から、トークン証券の対象に株式・債券・ファンドを含める)
  • 電子登録機関:証券の権利を電子的に登録・管理する公的な機関で、韓国では韓国預託決済院(KSD)が担う。日本の証券保管振替機構(ほふり)に近い役割である。台帳の参加者に加えることで、台帳上の記録に公的な裏付けを持たせる狙いがある。

    • 英:electronic registration agency / 用例:Each ledger must include the electronic registration agency as a participant. (各台帳には、電子登録機関が参加者として加わらなければならない)
  • 発行者口座管理機関:トークン証券の発行者が、証券会社に頼らず自ら投資家の口座を管理するための資格。発行の手間と費用を下げる一方、記録を誤ると投資家の権利に直結する。そのため、資本や専門人員の要件が課される。

    • 英:issuer account management institution / 用例:An issuer account management institution needs at least four billion won in equity capital. (発行者口座管理機関には、40億ウォン以上の自己資本が必要となる)
  • 店頭取引所:取引所市場の外で、非上場の証券などを売買するために認可される取引の場。韓国ではトークン証券の流通の受け皿として新たに区分が設けられる。日本では私設取引システム(PTS)がSTの流通を担っているのが近い。

    • 英:over-the-counter exchange / 用例:Retail buyers face an annual net purchase cap on each over-the-counter exchange. (個人投資家には、店頭取引所ごとに年間の純買付の上限が課される)

出典


本記事は公開情報に基づく解説であり、投資助言を目的としたものではありません。

END OF RECORD / VERIFIED 2026-10-03

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