NEWS韓国制度⓪検討・研究2026-10-01

韓国金融委、デジタル資産基本法に韓国銀行などとの「ステーブルコイン協議体」を置く方針──政府案は11月の審議前に提出へ

ウォン建てステーブルコインを誰に発行させるかで、韓国の金融当局と中央銀行は意見の違いを抱えてきた。金融委員会は、両者が協議する場そのものを法律に書き込むことで、立法を前に進めようとしている。

BY OFM Research · 5 MIN READ

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韓国金融委員会の担当者は2026年9月29日、国会議員会館でのセミナーで、デジタル資産基本法に金融委員会、財政経済部、韓国銀行が参加するステーブルコインの協議体を置く方向で調整していると明らかにした。準備資産に基づく償還請求権の保護と、倒産隔離の仕組みも盛り込むという。日本の金融機関にとっては、発行体の要件だけでなく、流通や外国為替、金融政策への影響まで含めて制度を組む韓国の手法が比較の材料になる。担当者の発言の段階で、政府案の条文はまだ公表されていない。

何が起きたか

韓国の報道によれば、金融委員会の担当者は、ウォン建てステーブルコインについて韓国銀行、財政経済部と協議する場が必要だという意見が多いと述べた。そのうえで、協議体を置いて政策を緊密に協議できるよう、立法案をまとめる方向で調整していると説明した。協議の対象は発行体にとどまらず、流通、外国為替、金融政策に及ぶ。利用者保護では、準備資産を使って利用者の償還請求権を保障することや、関係する事業者が破綻しても利用者の資産を守る倒産隔離の仕組みを検討している。発行の構造については、銀行を中心とする企業連合と、ウォレットや決済を担うフィンテック企業の間で、役割をどう分けるかも検討しているという。担当者は、米国のGENIUS法とEUのMiCAを規制の参考にしていると述べた。報道によれば、政府は11月の国会の委員会での審議の前に、政府案を提出する計画である。デジタル資産基本法はステーブルコインを含むデジタル資産全体の制度を定める第2段階の立法で、政府案の提出が遅れ、9月30日に予定されていた公聴会も見送られたと報じられていた。

なぜ重要か

韓国では、発行を銀行が主導する企業連合に限るべきだとする韓国銀行と、発行体の範囲を広げたい金融委員会の間で、意見が分かれてきたとされる。協議体を法律に置く案は、発行体の要件をめぐる対立の一部を、発行後の運営での協議に移す手法とみられる。日本は、電子決済手段の発行者を銀行、資金移動業者、信託会社に限る形で制度を先に整えた。ただ、流通量が増えたときに金融政策や外国為替の管理とどう調整するかについて、制度上の枠組みは明確でない。韓国の協議体は、その調整を制度として持つ例となる。9月には、Upbitに上場した円建てのJPYCで韓国の投資家に損失が出ており、国外で発行されたコインの扱いが条文でどう定められるかは、日本の発行体にも関わる。

注視点

第一に、政府案が11月の審議の前に実際に提出されるか。第二に、発行体の要件、とくに銀行の出資比率がどう定められるか。第三に、国外で発行されたステーブルコインの流通を誰がどう管理するかである。

進捗段階

⓪ 検討・研究(制度系)

担当者がセミナーで示した調整中の方針で、政府案の条文は公表されていない。協議体の構成や権限も、法律上どう定めるかは確認できない。①に進むには、政府案が国会に提出され、条文が公開される必要がある。

用語解説

  • 倒産隔離:ある事業者が破綻しても、その事業者が管理する他人の資産が破綻の手続きに巻き込まれないようにする仕組み。信託や分別管理によって実現される。ステーブルコインでは、準備資産が発行体の債権者に取られないことが、利用者を守る前提になる。

    • 英:bankruptcy remoteness / 用例:Bankruptcy remoteness keeps stablecoin reserves out of reach of the issuer's creditors. (倒産隔離によって、ステーブルコインの準備資産は発行体の債権者の手の届かない所に置かれる)
  • 償還請求権:ステーブルコインの保有者が、発行体に対して額面どおりの法定通貨への交換を求める権利。この権利が確かであるほど、市場での価格は額面に近く保たれる。準備資産の質と量が、その裏付けになる。

    • 英:redemption right / 用例:The bill would guarantee holders a redemption right backed by reserve assets. (法案は、準備資産に裏付けられた償還請求権を保有者に保障する)
  • 関係機関協議体:複数の省庁や中央銀行が、特定の政策について定期的に協議する場。法律に置けば、協議の義務や手続きが明確になる。ステーブルコインは決済、金融政策、外国為替にまたがるため、韓国では当局の間の調整の場が求められてきた。

    • 英:interagency council / 用例:The FSC plans to write an interagency council with the Bank of Korea into law. (金融委員会は、韓国銀行との関係機関協議体を法律に書き込む方針である)

出典


本記事は公開情報に基づく解説であり、投資助言を目的としたものではありません。

END OF RECORD / VERIFIED 2026-10-01

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