NEWS米国実装③本番稼働(限定領域)2026-09-24

SoFi、カード精算を自行発行ステーブルコインに全面移行──Mastercard網で本番稼働、年換算250億ドル超を見込む

実証ではなく、既存の精算業務を置き換える形で銀行発行のステーブルコインが使われ始めた。加盟店にコインを持たせない設計が、普及の条件を示している。

BY OFM Research · 5 MIN READ

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米SoFi Technologiesとマスターカードは2026年9月22日、SoFi銀行のデビット・クレジットカード事業の取引精算を、同行が発行するステーブルコインSoFiUSDでMastercard網上に移したと発表した。カード事業全体を移行中で、処理額は年換算250億ドル(約3.9兆円)超を見込む。日本のカード会社や銀行にとっては、カード発行銀行と国際ブランドの間の精算をオンチェーンに置き換えた実例となる。移行の完了時期、使用するブロックチェーン、実際の処理額は公表されていない。

何が起きたか

両社の発表によると、精算はSoFi銀行が発行するSoFiUSDで行われ、取引はすでにブロックチェーン上で動いている。両社は2026年3月に提携を公表しており、約6か月での本番化となる。SoFiUSDは通貨監督庁(OCC)の監督を受ける国法銀行SoFi Bank, N.A.が発行し、1対1で米ドルに償還でき、準備資産は主に現金とされる。一方で、預金ではなく連邦預金保険の対象外である旨も開示されている。SoFiのノトCEOは、加盟店はステーブルコインを保有する必要もシステムを改修する必要もなく、SoFi銀行の口座で精算資金を即時に受け取り、24時間無料で現金化できると説明した。両社は越境送金などへの展開も検討するとしている。

なぜ重要か

カード決済の精算は、発行会社、国際ブランド、加盟店側の事業者の間で営業日単位に行われ、その間の資金繰りと与信を各社が負う。自行発行のステーブルコインで精算を回せば、休日や夜間を含めて資金が動き、発行銀行は自らの負債で精算を完結できる。注目すべきは、ステーブルコインを加盟店まで届けず、銀行口座への入金で終わらせている点だ。日本では3メガバンクの共同発行構想や信託型の発行が進むが、用途は企業間決済や証券決済の実証が中心である。カード精算のように大量で反復的な既存の資金フローを置き換える発想は、国内ブランドやアクワイアラーの精算系にも応用できる。ただし日本の電子決済手段は預金とは別の枠組みで、銀行が自ら発行する場合の制度設計は米国と同じではない。

注視点

年換算250億ドル超はあくまで見込みで、移行の完了時期と実績は示されていない。使用チェーンの名称、障害時に従来の精算へ戻す手順、GENIUS法の施行規則との整合も開示されていない。大手加盟店との個別契約の進み具合と、越境送金への拡大が次の焦点となる。

進捗段階

実装トラック②(既存の精算業務の置き換えとして本番稼働。ただし移行の途中で、処理実績は未公表)

用語解説

  • 精算:カード取引などで確定した債権債務を、関係者の間で実際の資金移動によって決着させる工程。カード決済では売上の承認から数日遅れて行われ、その間の資金を誰かが立て替える構造になる。今回はこの資金移動の手段をステーブルコインに替えた。

    • 英:settlement / 用例:The bank now uses its own stablecoin for card settlement on the network. (同行は現在、ネットワーク上のカード精算に自行のステーブルコインを使っている)
  • 国法銀行:米国で連邦の免許を受け、通貨監督庁(OCC)の監督下にある銀行。州の免許を受けた州法銀行と区別される。SoFiUSDは、国法銀行が発行した初のステーブルコインと位置づけられている。

    • 英:nationally chartered bank / 用例:SoFiUSD is issued by a nationally chartered bank supervised by the OCC. (SoFiUSDは、OCCが監督する国法銀行によって発行されている)
  • 償還:ステーブルコインを発行体に戻し、同額の法定通貨を受け取ること。1対1の償還が約束され、その原資となる準備資産が確保されていることが、価値の安定を支える。預金と違い預金保険の対象外である点は、利用者への説明で押さえておきたい。

    • 英:redeemable / 用例:Each token is redeemable 1:1 for U.S. dollars under the terms of use. (各トークンは、利用規約に基づき1対1で米ドルに償還できる)
  • アクワイアラー:加盟店と契約し、カード売上を加盟店に支払う事業者。発行会社から国際ブランドを経て届く資金を受け取り、加盟店に渡す位置にいる。精算手段の変更は、この事業者の資金繰りと勘定処理に直接影響する。

    • 英:acquirer / 用例:Acquirers can manage settlement and liquidity through the new option. (アクワイアラーは、新たな選択肢を通じて精算と資金繰りを管理できる)

出典


本記事は公開情報に基づく解説であり、投資助言を目的としたものではありません。円換算は1ドル=157.36円(2026年9月22日ニューヨーク市場終値、フィスコ)による筆者の計算です。

END OF RECORD / VERIFIED 2026-09-24

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