NEWS韓国実装①実証実験(PoC)2026-08-24

韓国・新韓アセットマネジメント、ウォン建てトークン化ファンドの実証へ BUIDL型を非ドル通貨に持ち込む

ブラックロックが米ドルで築いたトークン化ファンドの型を、韓国が自国通貨で試す。検証項目に外国為替要件が並ぶことが、円との条件の差を映している。

BY OFM Research · 5 MIN READ

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韓国の新韓アセットマネジメントは2026年8月21日、Solana Foundation、Etherfuse、Orcaと業務協約を結び、ウォン建てトークン化ファンドの発行から流通までを技術検証すると発表した。自社の超短期債ファンドを海外機関投資家がトークンで保有する構造を想定し、顧客確認や外国為替要件、オンチェーン流動性の設計を点検する。二次流通をパブリックチェーンと分散型取引所で組む点は、許可型基盤と証券会社を軸とする日本のST市場と対照的だ。規模も時期も未公表で、決まっているのは検証の実施までだ。

何が起きたか

協定の相手はブロックチェーン基盤のSolana Foundation、規制対応型のトークン化発行プラットフォームを手がけるEtherfuse、Solana上の分散型取引所(DEX)であるOrcaの3者。技術検証(PoC)として、商用化に必要な技術・規制要件を共同で点検する。

想定するスキームは、同社が運用するウォン建て超短期債ファンドを海外の機関投資家が買い付け、その持分をトークンの形で発行・流通させるというものである。検証範囲には、国内外の法制度に沿った顧客確認(KYC)とマネー・ローンダリング対策(AML)の体制、ブロックチェーンの運用方式とセキュリティ監査、外国為替上の要件、そしてオンチェーンでの流動性設計が含まれる。

同社は、この協定を、ブラックロックが2024年3月に開始したトークン化ファンド「BUIDL」の商品モデルをウォン建て資産に適用するための第一歩と位置づけている。ファンドの規模、想定利回り、一般公開の時期はいずれも公表されておらず、現時点で決まっているのはPoCの実施であって商用化ではない。韓国のトークン証券に関する法制は2027年初の施行が見込まれており、制度が動き出す前に運用体制を先に確保するという構えとみられる。

なぜ重要か

日本にとっては鏡像として読める案件である。円建てのトークン化マネー・マーケット・ファンド(TMMF)は国内でも構想段階にあるが、「自国通貨建ての短期債ファンドを、オフショアの機関投資家にトークンで売る」という発想は、円でこそ成立しやすい。ウォンは非国際化通貨でオフショア取引に制約が残るのに対し、円は自由に取引できるためである。検証項目に外国為替要件が明示的に入っていること自体が、韓国側の制約の裏返しといえる。

流通の設計思想も対照的である。パブリックチェーンとDEXで二次流通の流動性をつくる構図は、許可型基盤(Progmatやibet for Fin)を中心に、証券会社を販売チャネルとして組み立ててきた日本のセキュリティトークン市場とは異なる。日本の現行法では、投資信託受益権の二次流通をDEXに載せる設計は容易ではない。同じRWAという言葉の下で、市場構造が分岐しつつある。

アセットマネジメント各社にとっては、海外機関投資家向けチャネルの選択肢が増えることを意味する。運用会社が発行・流通のインフラ側と直接組む形は、既存の販社を経由する商品供給とは異なる関係を生む。

注視点

PoCの結果がいつ、どこまで公表されるかが第一の焦点である。KYC/AMLと外為要件の検証結果は、他国の運用会社が同種の構想を持ち込む際の実務的な参照点になる。あわせて、2027年初とされる韓国のトークン証券法制の内容と、PoCから商用化への判断時期を追う必要がある。日本側では、円建てで同種の構想が投資信託の枠組みで出てくるのか、それとも信託受益権の形をとるのかが分かれ目になると考えられる。

用語解説

  • BUIDL:ブラックロックが2024年3月に開始した米ドル建てのトークン化ファンド。米国債などで運用し、受益権をブロックチェーン上のトークンとして発行する。既存の運用会社がパブリックチェーンを使って機関投資家向け商品を出した初期の代表例として参照されることが多い。
  • 超短期債ファンド:残存期間の短い債券や短期金融商品で運用し、価格変動を抑えて資金の待機先として使われるファンド。日本のMRFやMMFに相当する性格を持ち、担保や余資運用の受け皿として使いやすいためトークン化の対象になりやすい。
  • DEX(分散型取引所):スマートコントラクトが売買を自動的に成立させる取引の場で、注文の付け合わせを行う運営者が介在しない。24時間動く一方、誰が金融商品取引業者にあたるのかという規制上の帰属が各国で未整理のままになっている。
  • PoC(技術検証):本番導入の前に、技術と業務の要件が満たせるかを限定的な環境で確かめる工程。実証と本番稼働は明確に別の段階であり、PoCの実施は商用化の決定を意味しない。
  • 外国為替要件:非居住者が自国通貨建て資産を取得・移転する際に課される規制上の手続き。韓国ウォンはオフショアでの自由な取引が制限されており、トークン化された持分が国境を越えて移転する場合の取扱いが論点になる。

出典


本記事は公開情報に基づく解説であり、投資助言を目的としたものではありません。

END OF RECORD / VERIFIED 2026-08-24

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