NEWS米国制度①案の公表・意見募集2026-10-09

米SEC、暗号資産カストディ規則案を官報に掲載 州信託会社を保管先に加え、意見締切は12月7日

米国の運用会社とファンドは、暗号資産をどこに預ければ規則を満たせるのか。長く空白だったその答えを、SECが規則案の形で示した。日本の運用会社の米国拠点にも直接かかわる。

BY OFM Research · 7 MIN READ

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米証券取引委員会(SEC)は10月6日、投資顧問業者と登録投資会社が暗号資産を保管する際のルールを定める規則案を官報に掲載し、12月7日まで意見を募る。州の信託会社を暗号資産の適格カストディアンに加え、保管先が見つからない場合に限り、条件付きで投資顧問業者による自己保管を認める内容である。日本の運用会社にとっては米国の運用子会社やファンドの保管先選定に、信託銀行・カストディ銀行にとっては対米保管サービスの設計にかかわる。最終規則の時期と、適用までの経過期間はまだ確認できていない。

何が起きたか

SECは10月1日に規則案を公表し、10月6日に官報(91 FR 63870)に掲載した。リリース番号はIA-7023とIC-36353で、意見は掲載から60日後の12月7日まで受け付ける。規則案は投資顧問業者法のカストディ規則を改正・再編し、投資会社法の下にも登録ファンドが持つ暗号資産の保管規則を新設する。暗号資産は、暗号技術で保護された分散台帳に記録される価値のデジタル表現と定義した。現行規則が適格カストディアンとする銀行やブローカー・ディーラーなどに加え、州の銀行当局から暗号資産の保管を認められた州信託会社を新たに保管先として認める。適格カストディアンが見つからない場合は、投資顧問業者の自己保管を認める。条件は、利用前と四半期ごとに保管先がないことを確認すること、2人以上による共同承認、顧客ごとに分けたアドレスでの保有、独立会計士による内部統制報告などである。

なぜ重要か

ウエダ委員は声明で、2023年の旧案が事業者を勝ち目のない立場に置いたと述べた。今回の案は州信託会社という受け皿を加え、それでも足りない場合の自己保管の道筋まで示した。日本の運用会社が米国で暗号資産やトークン化資産を組み入れるファンドを運用する場合、保管先の選定基準と定期的な確認手続きがこの規則で決まる。日本の信託銀行やカストディ銀行にとっては、米国の顧客に保管サービスを提供する際に、どの資格で、どの統制報告を出せば保管先に選ばれるかの目安になる。

注視点

第一に、最終規則の採択時期と適用までの経過期間。第二に、ステーキングの扱いである。規則案に明示的な規定は見当たらず、取引に関する改正も今回は見送ると明記している。第三に、委員会の構成。SECは10月1日、ピアース委員の退任に関する声明も公表しており、後任の人選が最終化の日程に影響しうる。

進捗段階

① 案の公表・意見募集(制度系)

規則案が官報に掲載され、12月7日まで意見募集中である。採択前のため、投資顧問業者やファンドにまだ新たな義務は生じていない。②に進むには、寄せられた意見を踏まえた最終規則の採択が要る。経過期間の長さは、採択時に改めて確認する必要がある。

用語解説

  • 適格カストディアン:投資顧問業者が顧客の資産を預けることを認められた保管業者。銀行やブローカー・ディーラーなどが列挙されており、運用者自身が顧客資産を持ち逃げする危険を防ぐために、保管を第三者に分ける仕組みである。日本の投資信託で信託銀行が受託者として資産を保管する構造に近い。

    • 英:qualified custodian / 用例:The proposal would let state trust companies act as qualified custodians for crypto assets. (規則案は、州信託会社が暗号資産の適格カストディアンとなることを認める)
  • 自己保管:運用者自身が秘密鍵などを管理して、顧客の暗号資産を直接保管すること。暗号資産は鍵を持つ者が移転できるため、第三者保管の原則から外れる例外として、厳しい条件が付けられる。規則案では保管先が見つからない場合に限って認める。

    • 英:self-custody / 用例:Self-custody is allowed only when no qualified custodian is available. (自己保管は、適格カストディアンがいない場合に限って認められる)
  • 州信託会社:米国の州の銀行当局の認可を受けた信託会社。連邦の銀行免許を持たないため、現行のカストディ規則では保管先として列挙されていなかった。暗号資産の保管を専業とする事業者の多くが、この形態をとっている。

    • 英:state trust company / 用例:Advisers must review the state trust company's audited financial statements every year. (投資顧問業者は、州信託会社の監査済み財務諸表を毎年確認しなければならない)
  • 内部統制報告:保管業務の手続きや統制が適切に設計・運用されているかについて、独立した会計士が検証して出す報告書。預かり資産が実在し、分別されていることを外部から確かめる手段になる。規則案では、自己保管を行う投資顧問業者にこの報告の取得を求める。

    • 英:internal control report / 用例:An independent accountant must issue an internal control report within six months. (独立会計士は、6か月以内に内部統制報告を出さなければならない)
  • 官報(Federal Register):米国連邦政府の規則案や最終規則を公示する公式の刊行物。規則案は掲載日を起点に意見募集の期間が数えられるため、掲載日が手続き上の基準日になる。

    • 英:Federal Register / 用例:The comment period runs for 60 days after publication in the Federal Register. (意見募集の期間は、官報掲載から60日間である)

出典


本記事は公開情報に基づく解説であり、投資助言を目的としたものではありません。

END OF RECORD / VERIFIED 2026-10-09

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