NEWSその他実装①実証実験(PoC)2026-09-18

SBI子会社と韓国・教保生命、円ウォンの直接交換をカントン上で検証。米ドルを介さない日韓送金を試す

日本から韓国へ資金を動かすとき、円はいったん米ドルになる。その一段を外せるかを、円建てステーブルコインを想定した検証用トークンで試した実証である。

BY OFM Research · 4 MIN READ

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SBIホールディングスの完全子会社SBIデジタルプラクティスと韓国の教保生命保険は2026年9月17日、ステーブルコインの活用を見据えた日韓間のクロスボーダー取引の実証実験を実施したと発表した。金融機関向けブロックチェーン「カントンネットワーク」のテスト環境で、円建てステーブルコインの仕様を想定した検証用トークンを日本側から送り、韓国側で受領するまでの流れを検証した。実証は2026年7月から進められた。教保生命はSBIホールディングスの持分法適用関連会社である。

何が起きたか

検証されたのは、円建てとウォン建てのステーブルコインを直接交換する仕組みである。従来の経路では円をいったん米ドルに替え、そこからウォンに替えるため、複数回の両替に伴う時間と費用、為替変動リスクが生じる。実証はこの中間段階を外した構造を想定した。教保生命は、処理時間の短縮、両替手続きの簡素化によるコスト削減、取引情報のリアルタイムでの確認と追跡の可能性を確認したとしている。同社はあわせて、海外から受領した検証用トークンを安全に保管・管理するための業務フローも検証した。いずれもテスト環境での検証であり、実際のステーブルコインを用いた本番稼働ではない。両社は今後、国際決済に加えて資産運用分野での連携や共同事業モデルの開発など、協業の拡大を検討するとしている。

なぜ重要か

日本の銀行と証券会社にとっての論点は、通貨ペアの構造そのものにある。円ウォンのように直接の対顧客市場が薄い通貨ペアでは、米ドルを介した二段階の交換が実務上の標準になっている。この構造は銀行のコルレス網と為替収益の前提でもあり、直接交換が成立すれば収益機会の所在が動く。もっとも今回は仕様を想定した検証用トークンによるテストであり、実際の円建てステーブルコインが日本の電子決済手段規制のもとで韓国側の事業者に渡る経路は、制度としてまだ整っていない。技術検証が先行し、制度が後を追う構図が明確に出た事例として押さえておきたい。

注視点

本番環境での実施時期と、実証に用いられる円建てステーブルコインの具体的な銘柄。韓国側では外貨建てステーブルコインの取扱いに専用の規定がなく、デジタル資産基本法の政府案提出が控える。日韓双方の制度が整う順序が、本番移行の時期を左右する。

進捗段階

実装トラック①(テスト環境での実証。法的な資金移転は発生しておらず、本番稼働の時期は未定)

用語解説

  • カントンネットワーク(Canton Network):金融市場向けに設計された公開ブロックチェーン。取引当事者の間でのみ必要な情報を共有できる設計を持ち、取引内容の秘匿が求められる機関投資家の用途を想定している。
    • 英:Canton Network / 用例:The pilot ran on a test environment of the Canton Network.(実証はカントンネットワークのテスト環境で行われた)
  • クロスボーダー決済(cross-border payment):国境を越えて資金を移転する決済。複数の銀行とコルレス関係を経由するため、時間と手数料が積み上がりやすいことが従来からの課題とされてきた。
    • 英:cross-border payment / 用例:Cross-border payments between Japan and Korea typically route through the US dollar.(日韓間のクロスボーダー決済は通常、米ドルを経由する)
  • 基軸通貨を介さない直接交換(direct currency conversion):米ドルなどの基軸通貨を挟まずに二つの通貨を直接交換すること。取引量の少ない通貨ペアでは対顧客市場が成立しにくく、実務上は米ドル経由が標準となってきた。
    • 英:direct currency conversion / 用例:Direct currency conversion removes one leg of the exchange and the cost attached to it.(直接交換は両替の一段とそれに伴うコストを取り除く)
  • 持分法適用関連会社(equity-method affiliate):議決権の保有比率などから財務・営業方針に重要な影響を与えうるとされる会社。連結子会社ではないが、資本関係を背景に事業提携が進めやすい位置づけにある。
    • 英:equity-method affiliate / 用例:The Korean insurer is an equity-method affiliate of the Japanese group.(当該韓国の保険会社は日本のグループの持分法適用関連会社である)

出典

  • SBIホールディングス「教保生命保険との日本・韓国間におけるステーブルコインの活用を見据えたクロスボーダー取引の実証実験に関するお知らせ(SBIデジタルプラクティス)」(2026年9月17日): https://www.sbigroup.co.jp/news/2026/0917_16589.html
  • あたらしい経済「SBIと韓国教保生命、カントンで日韓送金を実証。ステーブルコイン活用へ」(2026年9月17日): https://www.neweconomy.jp/posts/608801

本記事は公開情報に基づく解説であり、投資助言を目的としたものではありません。

END OF RECORD / VERIFIED 2026-09-18

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OFM リサーチチームは、ブロックチェーン・暗号資産関連および金融についての深い知識に基づいて、今現場で起こっていることをリサーチ・取材する専門チームです。

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