NEWS香港制度①案の公表・意見募集2026-09-18

香港、規制下ステーブルコインの取引所売買とトークン化MMFの決済を解禁へ。施政報告で方針提示

発行を認可する段階から、認可されたものをどこで使わせるかという段階へ。香港の年次方針は、ステーブルコイン政策の重心が移ったことを示している。

BY OFM Research · 5 MIN READ

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香港特別行政区政府が2026年9月16日に公表した施政報告に、規制下のステーブルコインをライセンスを受けた仮想資産取引プラットフォームで売買可能とし、トークン化されたマネー・マーケット・ファンドの決済にも用いる方針が盛り込まれた。証券先物委員会の枠組みはトークン化ゴールドなどの実物資産にも拡張される。金融管理局は2026年末をめどに、EnsembleTX上でのCBDC決済と24時間稼働の導入を目指す。施政報告本体は未取得で、内容は報道に基づく。

何が起きたか

報道によれば、施政報告に含まれたのは既存施策の言い換えではなく新たな許容範囲の提示である。トークン化された外国為替基金債券を用いた検証が2026年末までに予定され、対象となりうる債券の規模はHK$1兆3,000億(約26兆円、1香港ドル=約20.0円で換算。1ドル=156.11円、1ドル=7.80香港ドルから筆者算出)に及ぶとされる。金融管理局のトークン化債券専門家グループは財経事務及庫務局とともに第二段階の法的検討を進める。同グループにはJPモルガン証券、HSBC、スタンダードチャータード銀行、UBS、アント・デジタル、ハッシュキー・グループが参加している。香港はこれまでに複数回の起債でHK$68億(約1,361億円、同じ換算方法)超のトークン化政府債を発行済みで、CMU OmniClearは2026年中にデジタル債券の発行と決済を扱うプラットフォームを整備する見込みである。監督面では、デジタル資産カストディの監視システムが2026年後半に稼働し、市場監視とマネロン対策の機能は2027年に追加される。

なぜ重要か

日本の金融機関にとっての含意は、ステーブルコインの使い道を制度がどこまで指定するかという点にある。日本では電子決済手段の発行と交換業の枠組みが整った一方、それをトークン化された投資信託の決済資金として用いる経路は制度上明示されていない。香港は発行の認可に続けて用途の指定に踏み込み、決済資産としての位置づけを先に与えた。トークン化商品を組成する際、決済資金に何を使うかが定まらなければ商品設計は進まない。この順序の違いは、アジアでのトークン化商品の組成地をどこに置くかという判断に影響する。

注視点

施政報告本体と、これに続く金融管理局・証券先物委員会の具体的な規則の公表時期。外国為替基金債券の検証がどの規模で実施されるか。EnsembleTXの24時間稼働が年内に間に合うかどうかも、来年以降の工程を左右する。

進捗段階

規制トラック①(政策方針の表明段階。個別の規則改正や指針は未公表で、実施時期も目標として示されたにとどまる)

用語解説

  • 施政報告(Policy Address):香港特別行政区行政長官が毎年公表する施政方針の文書。個別の法令ではないが、その後の規則改正や当局の作業計画の起点になるため、制度変更の先行指標として読まれる。
    • 英:Policy Address / 用例:The Policy Address sets the agenda that regulators translate into rules.(施政報告は、当局がその後に規則へ落とし込む議題を設定する)
  • 仮想資産取引プラットフォーム(virtual asset trading platform, VATP):香港の証券先物委員会からライセンスを受けた暗号資産取引業者。取扱資産の範囲が規制で限定されており、今回の方針はその範囲を広げるものにあたる。
    • 英:virtual asset trading platform (VATP) / 用例:Regulated stablecoins will be tradable on licensed virtual asset trading platforms.(規制下のステーブルコインは、ライセンスを受けた仮想資産取引プラットフォームで売買できるようになる)
  • トークン化政府債(tokenized government bond):政府が発行する債券を、発行から決済までブロックチェーン上で記録する形態。香港は複数回の起債実績を持ち、次の段階として短期債への拡張が検討されている。
    • 英:tokenized government bond / 用例:The city has issued over HK$6.8 billion in tokenized government bonds to date.(同市はこれまでにHK$68億超のトークン化政府債を発行している)
  • 外国為替基金債券(Exchange Fund Bills):香港金融管理局が発行する短期債券で、銀行の流動性管理と担保に広く用いられる。これをトークン化する検証は、銀行の資産負債管理の常時稼働化を視野に入れたものと位置づけられている。
    • 英:Exchange Fund Bills / 用例:Tests using tokenized Exchange Fund Bills are planned before the end of 2026.(トークン化された外国為替基金債券を用いた検証が2026年末までに予定されている)

出典


本記事は公開情報に基づく解説であり、投資助言を目的としたものではありません。

END OF RECORD / VERIFIED 2026-09-18

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