NEWSその他実装⓪合意・表明のみ2026-10-03

SBIデジトラスト、韓国のNICE情報通信・DSRVと日韓のステーブルコイン決済を共同検証──日本人旅行者が韓国の店舗でQR決済する場面を想定

日本で手に入れたステーブルコインを、海外の店先でそのまま使えるのか。電子決済手段の制度が整った日本から、まず隣国の加盟店で確かめる取り組みが始まる。

BY OFM Research · 5 MIN READ

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SBIグループのSBIデジトラストは2026年10月1日、韓国の決済事業者NICE情報通信、ブロックチェーン基盤企業DSRVと、日韓間のステーブルコインを使った送金・決済の商用化に向けた共同検証で基本合意したと発表した。日本人旅行者がNICEの韓国内の加盟店でQRコードを使って支払う場面を想定し、資金の流れやシステムの連携、事業性を12月末までに検証する。日本の決済事業者や銀行にとっては、国内の電子決済手段を海外の加盟店で使えるかが論点になる。使うステーブルコインの銘柄は公表されていない。

何が起きたか

3社は9月30日に基本合意書を結んだ。報道によれば、役割分担は、SBIデジトラストが日本の制度への対応、NICE情報通信が韓国の加盟店網と決済の運用、DSRVがブロックチェーンの技術を担う形である。NICE情報通信の加盟店網は韓国内で約120万店とされる。検証するのは、日本の利用者から韓国の加盟店までの資金の流れ、送金と支払いの指図の方法、システムの連携の仕方、取引量と運用の費用を踏まえた事業性である。3社は、日韓の制度と政策の動向を踏まえ、現時点でできることから段階的に進めるとしている。完了の目標は2026年12月末である。一方で、使うステーブルコインの銘柄、使うブロックチェーン、加盟店が最終的にウォンで受け取るのかどうかは、発表では示されていない。

なぜ重要か

日本では電子決済手段の制度が整い、円建てや外国で発行されたステーブルコインを国内で扱えるようになった。次の課題は、それを国外で何に使えるかである。日本人が海外の店舗で支払う手段は、これまでカードや、各国の決済事業者との個別の提携に頼ってきた。ステーブルコインを介せば、国ごとの提携網に頼らずに済む可能性がある。一方で、韓国ではステーブルコインの制度が議論の途中にあり、加盟店がステーブルコインを直接受け取れるかは定まっていない。検証の成否は、技術よりも両国の制度の組み合わせで決まる部分が大きいとみられる。

注視点

使われるステーブルコインの銘柄と、加盟店への最終的な支払いがウォン建てになるのかが第一の焦点である。韓国のデジタル資産基本法の審議の進み具合が、商用化の時期を左右する。12月末の検証完了後に、利用者向けの提供に進むかも見ておきたい。日本側で、どの事業者が利用者にステーブルコインを提供するのかも確認したい。

進捗段階

実装トラック:⓪(共同検証の基本合意の段階。実際の資金移転は始まっておらず、使う銘柄も決まっていない) 規制トラック:対象外

用語解説

  • 電子決済手段:日本の資金決済法上の区分で、法定通貨と価値が連動し、額面での払い戻しが約束されたデジタルな支払い手段。いわゆるステーブルコインの多くがこれにあたる。発行や仲介には登録などが必要で、利用者保護のルールが課される。

    • 英:electronic payment instrument / 用例:Japan treats most fiat-backed stablecoins as an electronic payment instrument under its payments law. (日本は、法定通貨に裏付けられたステーブルコインの多くを、資金決済法上の電子決済手段として扱う)
  • 加盟店網:決済手段を受け付ける店舗の集まりと、店舗との契約や代金の支払いを担う仕組み。決済事業者はこの網を持つことで、新しい支払い手段を多くの店舗に一度に広げられる。カード決済でいえば、加盟店を開拓するアクワイアラーの役割にあたる。

    • 英:merchant network / 用例:NICE operates a merchant network of about 1.2 million stores in Korea. (NICEは、韓国で約120万店の加盟店網を運営している)
  • クロスボーダーQR決済:利用者が自国の決済手段のまま、外国の店舗に掲示されたQRコードで支払う仕組み。通常は、各国の決済事業者どうしの提携と、通貨の交換・清算の取り決めが必要になる。ステーブルコインを介すと、この清算の部分を置き換えられる可能性がある。

    • 英:cross-border QR payment / 用例:The pilot tests cross-border QR payment by Japanese travelers at Korean stores. (この実証は、日本人旅行者による韓国の店舗でのクロスボーダーQR決済を検証する)
  • 基本合意書:事業や検証の方向性と役割分担を確認する書面で、最終的な契約や商用化を約束するものではない。検証の結果を見て、正式な契約に進むかを判断するのが一般的である。発表を本番のサービス開始と同じに扱わないよう注意が必要である。

    • 英:memorandum of understanding / 用例:The three firms signed a memorandum of understanding, not a commercial contract. (3社が結んだのは基本合意書であり、商用の契約ではない)

出典


本記事は公開情報に基づく解説であり、投資助言を目的としたものではありません。

END OF RECORD / VERIFIED 2026-10-03

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