NEWSオーストラリア制度①案の公表・意見募集2026-09-04

豪中銀、RITSのトークン化対応で意見募集。中銀準備でステーブルコインを裏付ける案も検討対象に

豪中銀が問うているのは、分散型台帳に新しい決済システムを載せるかではない。既存の即時グロス決済をどこまで開き、中央銀行マネーをどの形で外に出すかである。

BY OFM Research · 4 MIN READ

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オーストラリア準備銀行は2026年9月3日、トークン化された資産市場とトークン化された民間マネーの発展を、豪州の高額決済システムRITSがどう支えるべきかを問う意見募集を開始した。意見締切は10月30日である。分散型台帳のプラットフォームと既存の即時グロス決済システムを同期させる方式が中心だが、ステーブルコインが中央銀行準備を裏付けとして持つ案や、トークン化された準備の設計にも踏み込んでいる。実証プロジェクト「アカシア」の結果を踏まえたもので、8月の決済システム委員会が諮問の方針を承認していた。

何が起きたか

RBAは9月3日、RITSがトークン化エコシステムにおける決済をどう支えるかを問う意見募集を開始した。RITSは豪州の高額決済システムで、即時グロス決済とファスト決済サービスを含む。協議文書は主に、従来型の中央銀行準備を分散型台帳上のトークン化取引の決済に用いる方法を扱い、分散型台帳のプラットフォームと既存の即時グロス決済システムとの同期を想定している。より先を見る部分では、トークン化された準備の設計案も検討対象に含めた。

この諮問は8月の決済システム委員会で方針が承認されていた。委員会は、諮問がプロジェクト・アカシアの最終報告でRBAが約束した施策の一つだと位置づけ、焦点は豪州でトークン化金融が安全かつ拡張可能に発展するために必要なインフラ機能の特定にあるとした。

最も新しいのは、ステーブルコインが中央銀行マネーを準備として用いる可能性に踏み込んだ点である。アカシアでは、発行者からホールセール向けトークンの裏付けに中央銀行準備を使いたいという要望が出ていた。ただし将来の中央銀行へのアクセスが卸売用に限られるのかは、協議文書からは明確でないと報じられている。

なぜ重要か

アカシアで露見した問題は日本にもそのまま当てはまる。発行者フォルテは、自らが預けた資金と同額の中央銀行準備を銀行が保有するという契約を結んでいた。しかしRITS規則上、決済用口座(ESA)の保有者は本人として行動するのであって、代理人でも受託者でもない。銀行が破綻すれば、フォルテ向けに取り分けられていたはずの部分は銀行自身の準備と区別がつかない。契約で分別を約しても、決済システムの規則が分別を認識しなければ倒産隔離は成立しない。

注視点

意見募集は10月30日まで開いており、RBAが特定の設計を選んだわけではない。トークン化された準備の検討は「より先を見る」部分と位置づけられており、実装の約束ではない。ECBのPontesが9月21日に稼働予定で、中央銀行マネーを分散型台帳上の取引の決済に用いる方式としては欧州が先に実装段階へ入る。豪州の諮問結果と欧州の稼働実績が、日本の政府・日銀の検討にどう反映されるかが次の焦点になる。

進捗段階

規制トラック①(意見募集段階)。RITSの機能改修は決定しておらず、トークン化された準備についてはRBAの実装意思も表明されていない。

用語解説

  • RITS:オーストラリア準備銀行が保有・運営する即時グロス決済システム。豪州の銀行間資金決済はすべて最終的にRITS上の決済用口座の増減として完結する。日本の日銀ネットに相当する。
  • 決済用口座(ESA):金融機関がRBAに保有する口座で、日本の日銀当座預金に相当する。RITS規則上、保有者は本人として行動し代理人や受託者にはなれないため、口座内の資金を第三者のために分別することができない。
  • プロジェクト・アカシア:RBAとDFCRC(デジタル金融協同研究センター)が実施したトークン化資産市場の実証。ホールセールCBDC、ESA残高、ステーブルコイン、預金トークンという4形態の決済資産が試された。最終報告は2026年5月18日に公表された。
  • 同期(synchronisation):分散型台帳上の資産移転と、外部の即時グロス決済システムにおける資金決済を、いずれか一方だけが成立しないよう連動させる技術。台帳そのものに中央銀行マネーを載せずにアトミック決済(証券と資金の受け渡しを同時に完結させる仕組み)に近い効果を得る方式として各国で検討されている。

出典


本記事は公開情報に基づく解説であり、投資助言を目的としたものではありません。

END OF RECORD / VERIFIED 2026-09-04

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