NEWS韓国制度①案の公表・意見募集2026-09-04

韓国、発行体自身が投資家の証券口座を管理できる制度。自己資本40億ウォンを登録要件に

証券口座の開設と管理は金融会社の専業だった。韓国はトークン証券に限ってこれを崩し、発行体自身が口座管理機関になる道を開く。

BY OFM Research · 4 MIN READ

SHARELB!

韓国金融委員会は2026年9月4日、トークン証券に限って発行人自身が投資家の証券口座を開設・管理できる「発行人口座管理機関」制度の登録要件を示した。自己資本は法定下限の10億ウォン以上から40億ウォン(約4億6000万円)へ引き上げ、口座管理・内部統制・システムの専門人材の配置を求める。あわせて小口投資証券について、サンドボックスでは禁じていた基礎資産のプーリングを条件付きで解禁し、将来売掛債権のような不確実事象に連動する資産も信用補完を条件に認める。下位法規は9月末に立法予告される。

何が起きたか

電子証券法上、顧客の証券口座を開設・管理する口座管理機関になれるのは、証券会社・銀行・保険会社などの金融会社に限られていた。今回制度化される発行人口座管理機関は、証券の発行人自身がその役割を担うことを認める。FSCは、分散型台帳の共同記載・管理という特性と安全性を考慮し、トークン証券に限って新設したと説明している。

自己資本は40億ウォン(約4億6000万円。1ウォン=0.1148円、2026年9月3日のインターバンク中値ベースで筆者換算)とした。既存の主要な口座管理機関の資本要件は投資仲介業が40億ウォン、投資売買業が500億ウォン、銀行が1000億ウォンで、最も低い投資仲介業と同水準に揃えた。人材要件は口座管理・内部統制の専門人材が各1名、システム専門人材が2名。

小口投資では、2023年12月のサンドボックス向けガイドラインが禁じていた集合化(プーリング)を、同一種類であること、集合化の基準と目的が明確であること、不良資産を含まないこと、個別資産の区分情報を提供することを条件に解禁する。公募時の1人当たり申込限度は、3000万ウォン(約344万円)と発行金額の5%のうち小さい方が標準例として示された。

なぜ重要か

口座管理機関は、日本でいえば振替口座簿を管理する口座管理機関にあたる。この機能を金融会社の外へ開くことは、証券の保管と記録責任の担い手を変える制度変更である。発行体が自ら口座を管理すれば投資家名簿の把握は速くなる一方、その破綻時に顧客資産をどう分別するかという論点が生じる。日本では振替法上、口座管理機関になれる者が限定されており、自社が担ってきた保管機能が発行体側に移りうる領域がどこまで広がるかが、信託銀行や証券会社にとっての関心事になる。

注視点

自己資本40億ウォンは投資仲介業と同水準だが、口座管理は投資家の財産権保護に直結する業務であり、水準の妥当性は立法予告への意見募集で論点になるとみられる。プーリングについてもFSCは、複数国で取引される標準特許を例に挙げ、集合化の基準を満たしても処分の容易性などの追加検討が必要だとしており、対象資産の外縁は確定していない。

進捗段階

規制トラック②。登録要件の数値は示されたが下位法規は未公表である。一方、非金銭信託受益証券の模範規準は、現行の電子証券形態で発行される小口投資証券に対して即時適用される。

用語解説

  • 口座管理機関(계좌관리기관):顧客の証券口座を開設・管理する機関。日本の振替法上の口座管理機関に相当し、証券会社や銀行が担ってきた。韓国はトークン証券に限り、この役割を発行人自身にも開放する。
  • 発行人口座管理機関:発行体が自ら口座管理機関となる韓国の新制度。分散型台帳では記録が複数の参加者によって共同管理され無断削除が困難であることを前提に、金融会社以外にも役割を認めた。
  • 基礎資産の集合化(プーリング):複数の資産をまとめて一つの小口投資証券として発行すること。個別では規模が小さく証券化しにくい資産の商品化を可能にする一方、資産ごとのリスクが見えにくくなるため、韓国はサンドボックスでは禁じていた。
  • 非金銭信託受益証券:不動産や音源など金銭以外の信託可能な財産を信託し、その受益権を分割して発行する証券。韓国の小口投資の主要類型で、日本の受益証券発行信託を用いた不動産セキュリティトークンと構造が近い。
  • 将来売掛債権:将来発生が見込まれる売掛金。発生自体が不確実なため韓国は従来これを小口投資の基礎資産から除いていたが、安定した基礎法律関係があり近い将来の回収が見込まれ、信用補完などの強化された投資家保護措置がある場合に限って認める。

出典

  • 韓国金融委員会「トークン証券政策方向発表-民官合同トークン証券協議体第3回会合開催」(2026年9月4日): https://www.fsc.go.kr/no010101/87650

本記事は公開情報に基づく解説であり、投資助言を目的としたものではありません。

END OF RECORD / VERIFIED 2026-09-04

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