The Open Standardは2026年9月30日、ドル建てステーブルコイン「Open USD(OUSD)」の稼働を発表した。創設にはCoinbase、Mastercard、Shopify、Stripe、Visaの5社が加わり、発行はStripe傘下のBridgeが担う。準備資産の収益を、供給量と取引量への貢献に応じて参加企業に配分する設計で、日本の発行体や銀行の連合にとっては収益の分け方が論点になる。参加は200社を超えたが、流通残高がどこまで伸びるかはまだ分からない。
何が起きたか
同団体の発表によれば、OUSDはBase、イーサリアム、ソラナ、Tempoの4つのチェーンで発行される。企業は、Coinbase、Mastercard、Stripe、Visaの4社が用意する経路から、1ドル=1OUSDで、手数料なしに発行と償還ができる。Coinbase以外の経路は発表日から、Coinbaseの経路は10月1日から使える。参加企業は、自社が生み出した供給量と取引量に応じて報酬を受け取り、同団体の持分を得る機会もある。参加は6月の構想発表時の140社超から200社超に増えた。報道によれば、新たにUBSやSBIホールディングスが加わり、創設5社は流動性の供給に合計10億ドル(約1,582億円。1ドル=158.16円、三菱UFJ銀行の2026年10月2日の公示仲値による筆者の計算)を拠出する。Ledger Insightsは、参加企業のうち約52社が銀行で、立ち上げ時の時価総額は4億6,800万ドル(約740億円)だったと伝えている。
なぜ重要か
既存の大手ステーブルコインでは、準備資産の金利収益の大半を発行体が受け取る。OUSDは、収益を流通させた側に戻すことで、決済や送金の事業者に、自社の利用者へ広める動機を与えようとしている。日本でも、3メガバンクの共同発行や信託型の円建てステーブルコインで、発行体、信託銀行、取扱事業者の間で収益をどう分けるかはまだ見えていない。米国のカード会社と決済事業者が、収益を分け合う連合を先に組んだことは、国内の陣営づくりの参照点になる。報道どおりSBIホールディングスが参加していれば、国内の金融グループが海外の発行連合に加わる例になる。
注視点
収益配分を武器に、既存の銘柄から利用を奪えるかが第一の焦点である。発行体のBridgeが、GENIUS法の下でどの当局の監督を受けるかも見ておきたい。SBIホールディングスが、国内の事業でOUSDをどう扱うのかも注目される。
進捗段階
実装トラック:①(発行と償還が始まった段階。継続的な決済の流れや、既存の決済手段を置き換える使われ方はまだ確認できない) 規制トラック:対象外
用語解説
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準備資産:ステーブルコインの価値を裏付けるために、発行体が保有する現金や短期国債などの資産。利用者がいつでも1ドルで償還を求められるよう、安全で換金しやすい資産に限られる。日本の電子決済手段でも、発行の形態ごとに裏付けとなる資産の要件が定められている。
- 英:reserve assets / 用例:OUSD reserve assets are held at BlackRock, BNY and Lead Bank. (OUSDの準備資産は、BlackRock、BNY、Lead Bankに置かれている)
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発行と償還(ミントとバーン):法定通貨を払い込んでトークンを新たに作ることと、トークンを返して法定通貨を受け取ることを指す。この2つが手数料なしに1対1で行えることが、価格を1ドルに保つ土台になる。銀行預金でいえば、入金と払い出しにあたる。
- 英:mint and burn / 用例:Businesses can mint and burn OUSD at one dollar each without fees. (企業は、手数料なしに1ドルずつOUSDを発行・償還できる)
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収益配分型ステーブルコイン:準備資産から生まれる収益を、発行体だけでなく流通を担った事業者にも配分するステーブルコイン。決済や送金の事業者に、自社の利用者へ広める動機を与える仕組みである。銀行でいえば、預金の運用益の一部を取次の代理店に還元する考え方に近い。
- 英:revenue-sharing stablecoin / 用例:A revenue-sharing stablecoin returns reserve income to the platforms that distribute it. (収益配分型ステーブルコインは、準備資産の収益を流通させた事業者に戻す)
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流動性の供給:取引所などで、売りと買いがいつでも成立するよう資金やトークンを用意すること。立ち上げ直後のステーブルコインは取引量が少なく、大口の換金で価格がぶれやすい。創設企業が資金を拠出するのは、この初期の不安定さを抑えるためである。
- 英:liquidity provision / 用例:Founding partners committed funds for liquidity provision during the launch period. (創設企業は、立ち上げ期の流動性の供給のために資金を拠出した)
出典
- The Open Standard「OUSD is live.」(2026年9月30日): https://joinopenstandard.com/blog/ousd-is-live
- CoinDesk「New stablecoin Open USD goes live as Coinbase, Mastercard, Stripe and Visa commit $1 billion to liquidity」(2026年9月): https://www.coindesk.com/business/2026/09/24/open-usd-takes-on-tether-circle-with-a-different-stablecoin-model-that-s-building-money
- Ledger Insights「Stripe linked Open USD stablecoin goes live with Visa, Mastercard as backers」(2026年10月1日): https://www.ledgerinsights.com/stripe-linked-open-usd-stablecoin-goes-live-with-visa-mastercard-as-backers/
本記事は公開情報に基づく解説であり、投資助言を目的としたものではありません。