NEWS米国制度①案の公表・意見募集2026-09-07

OCC、ステーブルコイン発行者の申請様式で意見募集。外国発行者には財務長官の同等性判断が前提

申請書に何を書かせるかは、当局が何を審査するかの宣言でもある。想定される申請者は50社、1件あたりの作成負担は125時間と見積もられた。

BY OFM Research · 5 MIN READ

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米通貨監督庁(OCC)は、GENIUS法に基づく決済用ステーブルコインの発行許可申請と外国発行者の登録申請に用いる様式について意見募集を行っている。官報掲載は2026年7月27日、締切は9月25日で、想定申請者数は50件、年間の総作成負担は6250時間、1件あたり125時間と見積もられた(1件あたりは筆者計算)。外国発行者の登録には、当該国の規制体制がGENIUS法と同等であるとの財務長官の判断が前提となる。日本の電子決済手段の枠組みの評価が焦点になる。

何が起きたか

OCCは2026年3月2日にGENIUS法の実施規則案を公表しており、今回の意見募集は、その規則案が定める申請手続きで実際に用いる様式を対象とする。許可された決済用ステーブルコイン発行者の審査項目は、申請者の財務状況と資源、役員・取締役のインサイダー取引・横領・サイバー犯罪・資金洗浄・テロ資金供与・金融詐欺に係る有罪歴の有無、役員・取締役・主要株主の能力と経験と誠実性および法令遵守の履歴、そして償還方針が規則案12 CFR 15.12の基準を満たすかどうかの四つである。申請書には事業概要、詳細な事業計画、実施予定業務とその許容性、準備金方針、償還方針、リスク管理方針と体制、重要な虚偽記載や記載漏れがない旨の証明を含める。役員・取締役・主要株主は個別に経歴・財務報告書の提出を求められる。外国発行者の登録では、財務長官による同等性判断に加え、米国の金融安定へのリスクと不正金融リスクが審査される。

なぜ重要か

日本の資金決済法は電子決済手段として円建てステーブルコインの制度を先行して整備してきたが、米国市場でのドル建て発行や、日本の発行体が発行するトークンを米国内で流通させる場面では、GENIUS法18条に基づく財務長官の同等性判断という別の関門が立つ。この判断は個社の申請ではなく制度全体の評価であり、当局間の対話に依存する。国内の発行体・信託銀行・資金移動業者は、自社の申請準備より先に、日本の枠組みがどう評価されるかを注視する必要がある。また、審査項目に役員の有罪歴と法令遵守履歴が明示されている点は、発行体の人的構成そのものが審査対象になることを意味する。

注視点

第一に、今回の60日間の意見募集の後、OCCは30日間の第2次意見募集を実施する予定で、様式の確定はその後になる。第二に、3月の規則案の最終規則がいつ公布されるかで、GENIUS法の施行日そのものが動く。同法の施行日は成立から18か月後と主要規制当局の最終規則公布から120日後のいずれか早い方と定められている。第三に、財務長官による同等性判断の対象国と時期は、現時点で公表されていない。

進捗段階

規制トラック②(規則案の実施に向けた手続整備。最終規則と施行日は未確定)

用語解説

  • 書類作成事務法(Paperwork Reduction Act):米国の連邦機関が国民や事業者に情報提出を求める際、事前に行政管理予算局の承認を得ることを義務づける法律。承認申請の過程で様式案と負担見積もりが公開されるため、規則の実務的な重さを早い段階で読み取る手がかりになる。
  • 許可された決済用ステーブルコイン発行者(PPSI):GENIUS法の下で米国内において決済用ステーブルコインを発行できる主体。銀行の子会社、連邦適格発行者、州適格発行者の三類型があり、いずれにも該当しない者の発行は原則として禁止される。
  • 外国発行者の登録:米国外で設立された発行者が、自らのステーブルコインを米国内で提供・販売するために必要な手続き。財務長官が当該国の規制体制を同等と判断していることが条件となる。
  • 同等性判断:ある国の規制・監督体制が自国の水準と実質的に同じ効果を持つかを当局が評価し、その結果に応じて相互のアクセスを認める仕組み。金融規制では欧州のMiFIDやAIFMDでも用いられており、個社ではなく制度を対象とする点に特徴がある。
  • 償還方針:ステーブルコインの保有者が額面での払い戻しを求めたときに、どの条件でいつまでに応じるかを定めた社内規程。裏付け資産の構成と並んで、価値の安定を実質的に支える中核部分にあたる。

出典


本記事は公開情報に基づく解説であり、投資助言を目的としたものではありません。

END OF RECORD / VERIFIED 2026-09-07

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