NEWS日本実装③本番稼働(限定領域)2026-10-09

マイナウォレット、アプリ内でJPYCの発行・償還に対応 民間集計では流通残高が12日で8%減

円建てステーブルコインを手に入れ、円に戻すまでの手間が、ウォレットの中で一つ減った。使いやすさの改善と、流通残高の伸び悩みが同時に見えている。

BY OFM Research · 6 MIN READ

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マイナウォレットは10月6日、同社のウォレットアプリとJPYCの発行・償還サービス「JPYC EX」を連携させ、アプリ内で発行の予約から受け取り、償還の送金までを進められるようにしたと発表した。審査と申込みの最終受付は従来どおりJPYCが行う。日本の金融機関にとっての論点は、電子決済手段の入口と出口を、発行体ではないウォレット事業者がどこまで担えるかである。一方、民間の集計サイトによればJPYCの流通残高は9月下旬から約8%減っており、実需の厚みは見極めが要る。

何が起きたか

マイナウォレットは、マイナンバーカードを使った公的個人認証で本人確認を行う、利用者が自ら資産を管理する型のウォレットである。これまで利用者は、JPYC EXに別途ログインして発行や償還を予約し、ウォレットに戻って送金する必要があった。新機能はJPYCのJPYC EX連携APIを使い、アプリ内のブラウザで口座を連携したうえで、発行は予約から受け取りまで再ログインやアドレス入力なしで進められる。償還では、予約した金額が送金画面に自動で入る。利用にはJPYC EXの口座開設、本人確認、出金先口座の登録が要る。ウォレットはパスキーで認証し、ERC-4337に基づくスマートアカウントを使う。JPYCの償還のための送金では、ガス代を同社が負担する。民間の集計サイトJinaCoinによれば、JPYCの流通残高は9月24日の39.539億JPYCから、10月6日15時15分時点で36.369億JPYCへ3.17億JPYC(8.02%)減った。同時点の分散型取引所での価格は、4つのチェーンすべてで1円をわずかに下回った。

なぜ重要か

電子決済手段の普及では、銀行口座の円をステーブルコインに替え、また円に戻す手間が大きな障害になる。今回の連携はこの往復を短くしたが、本人確認と最終受付は発行体のJPYCが担い続ける。ウォレット事業者が利用者の資産を預からず、画面の遷移だけを担う形にとどめた点は、電子決済手段等取引業の登録を要しない範囲で使いやすさを高める設計とみられる。一方、流通残高の減少と1円を下回る取引は、決済や送金での利用がまだ厚くないことを示唆する。後発の円建てステーブルコインにとっても、発行と償還の手軽さに加え、使い道の確保が問われる。

注視点

第一に、JPYCが公式に示す流通額との突き合わせ。民間集計は集計範囲や方法が公式と異なる可能性がある。第二に、決済事業者や自治体との連携を掲げる同社のロードマップの具体化。第三に、JPYC EX連携APIを採用するウォレットの広がりである。

進捗段階

③ 本番稼働(限定領域)(実装系)

実際の利用者と資産を使い、発行と償還の手続きとして反復的に稼働している。対象はマイナウォレットの利用者に限られ、JPYC EXでの手続きを置き換えたのではなく入口を一つ増やした形のため、④ではなく③とした。

用語解説

  • JPYC EX:円建てステーブルコインJPYCを発行・償還するための、JPYCが運営する手続きの窓口。利用者は本人確認を済ませ、銀行振込で円を入れてJPYCを受け取り、JPYCを送って円を出金する。連携APIを使えば、外部のウォレットからこの手続きを呼び出せる。

    • 英:JPYC EX / 用例:Users must open a JPYC EX account before issuing JPYC in the wallet. (利用者は、ウォレットでJPYCを発行する前にJPYC EXの口座を開く必要がある)
  • 電子決済手段:2023年施行の改正資金決済法で定められた、法定通貨と同額で発行され、同額で償還されるデジタルな支払手段。いわゆるステーブルコインの多くがこれに当たり、銀行、資金移動業者、信託会社が発行できる。JPYCは2025年8月に資金移動業者の登録を受けて発行している。

    • 英:electronic payment instrument / 用例:JPYC is issued as an electronic payment instrument by a registered funds transfer provider. (JPYCは、登録を受けた資金移動業者が電子決済手段として発行している)
  • ERC-4337(スマートアカウント):イーサリアムで、ウォレットをプログラム可能な契約として動かすための規格。秘密鍵を直接扱わずに認証したり、手数料を第三者が肩代わりしたりできる。銀行のアプリに近い使い勝手をブロックチェーン上で実現する手段として広がっている。

    • 英:ERC-4337 smart account / 用例:The smart account lets the company pay gas fees for JPYC redemptions. (スマートアカウントにより、会社がJPYCの償還時のガス代を負担できる)
  • 公的個人認証:マイナンバーカードに搭載された電子証明書を使い、オンラインで本人であることを確かめる国の仕組み。民間事業者は主務大臣の認定を受けて利用する。対面や書類の郵送に頼らない本人確認の手段として使われている。

    • 英:public personal authentication(JPKI) / 用例:Users verify their identity by tapping their My Number Card through JPKI. (利用者は、公的個人認証でマイナンバーカードをかざして本人確認を行う)
  • 分散型取引所(DEX):運営会社を介さず、ブロックチェーン上のプログラムで暗号資産同士を交換する取引所。価格は資金の預け入れ状況で決まるため、ステーブルコインが本来の価値からどれだけずれているかを見る手がかりになる。

    • 英:decentralized exchange(DEX) / 用例:JPYC traded slightly below one yen on decentralized exchanges. (JPYCは分散型取引所で1円をわずかに下回って取引された)

出典


本記事は公開情報に基づく解説であり、投資助言を目的としたものではありません。

END OF RECORD / VERIFIED 2026-10-09

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