NEWS韓国実装⓪合意・表明のみ2026-10-09

韓国LG CNS、銀行向けブロックチェーン基盤「KITL」を発表 Securitize、Circleなど5社と協約

韓国では、銀行がステーブルコインやトークン化証券を自ら扱う日に備え、大手SIerが基盤一式を用意し始めた。海外の発行・流通網との接続まで一体で示した点が目を引く。

BY OFM Research · 5 MIN READ

SHARELB!

韓国のLG CNSは10月6日、金融機関がステーブルコインやトークン化資産を扱うための基盤「KITL(기틀)」を発表し、Circle、Securitize、Canton財団、Chainalysis、Chainlinkの5社と業務協約を結んだ。韓国銀行の「Project Hangang」で7行・約8万人が使った技術を、パブリック型のチェーンへ広げたものである。日本の金融機関にとっては、国内SIerが基盤と海外接続をどこまで束ねるかを比べる材料になる。採用行と商用開始の時期は示されていない。

何が起きたか

KITLは、電子ウォレット、取引処理、手数料の肩代わり、取引履歴の収集の4つの機能をもつ。秘密鍵を保存せず、署名が必要な瞬間にだけ生成して破棄する方式で、機器を増やさずに数千万人規模の顧客へウォレットを発行できるとし、特許も登録済みという。ブロックチェーンの手数料(ガス代)は、銀行やカード会社などのサービス提供者が取り決めた分担に沿って負担できる。世界のパブリック型ブロックチェーンの記録から、その金融機関に関わる取引だけを取り出す機能も備える。イーサリアムに加え、ソラナなどのチェーンを足す場合も既存の基盤をそのまま使えるとしている。協約先のうちSecuritizeとは、金融機関のファンドや債券を韓国の規制に合わせてトークン化する仕組みを共同で開発する。Securitizeの発表によれば、法令と承認を前提に、韓国のトークン化資産を海外での24時間の流通・決済につなぐ道も探る。Chainalysisとは、犯罪に関わる資金の流入を防ぐ取引監視の体制を構築する。

なぜ重要か

銀行がブロックチェーンを使うとき、鍵の管理、手数料の負担、会計との突き合わせが実務の壁になる。KITLはこの3点を基盤側で引き受ける設計で、日本でProgmatや国内SIerが担う役割に近い。違いは、ステーブルコインの発行体、トークン化事業者、取引監視事業者まで、海外の主要事業者を最初から束ねた点にある。韓国のトークン証券制度は2027年2月4日に施行される予定で、LG CNSは制度の開始と同時に金融機関がサービスを始められるよう支援すると述べた。

注視点

第一に、KITLを採用する銀行と最初に扱う資産。第二に、ウォン建てステーブルコインの根拠となるデジタル資産基本法の審議の行方。第三に、Securitizeとの間で、韓国のトークン化資産を海外へ流通させる具体策が示されるかどうかである。

進捗段階

⓪ 合意・表明のみ(実装系)

基盤の発売と5社との協約締結の段階で、採用行も実際の取引も公表されていない。Project Hangangでの実決済は前身となる技術の検証で、KITLそのものの稼働ではない。①に進むには、採用行による検証の開始が要る。

用語解説

  • Project Hangang:韓国銀行が主導する、銀行預金をトークン化した預金トークンで実際の支払いを行う実証。2025年に国内の銀行7行が参加し、利用者がコンビニやスーパーで決済した。中央銀行と民間銀行が役割を分ける次世代の決済基盤を探る試みである。

    • 英:Project Hangang / 用例:KITL extends wallet technology first tested in Project Hangang to public blockchains. (KITLは、Project Hangangで試したウォレット技術をパブリック型のブロックチェーンに広げる)
  • ガス代:ブロックチェーンで取引を処理してもらうために支払う手数料。通常は利用者がそのチェーンの暗号資産で払うため、銀行の顧客にとって分かりにくい。事業者が肩代わりすれば、利用者は暗号資産を持たずに済む。

    • 英:gas fee / 用例:Banks can share the gas fees according to an agreed structure. (銀行は、取り決めた分担に沿ってガス代を負担できる)
  • トークン証券:株式や債券などの証券に当たる権利を、分散台帳に記録して発行・移転するもの。韓国では電子証券法の改正で制度化され、2027年2月の施行が予定されている。日本のセキュリティトークンに当たる。

    • 英:tokenized securities / 用例:Korea's tokenized securities regime is scheduled to take effect in February 2027. (韓国のトークン証券制度は2027年2月に施行される予定である)
  • 取引監視:送金や取引の内容を常時点検し、制裁対象や犯罪に関わる資金の流れを検知・阻止する仕組み。ブロックチェーンでは相手先のアドレスの来歴を分析して行う。銀行がパブリック型のチェーンを使う際の前提条件の一つである。

    • 英:transaction monitoring / 用例:Chainalysis will help build transaction monitoring that meets Korean rules. (Chainalysisは、韓国の規制に合う取引監視の体制づくりを支援する)

出典


本記事は公開情報に基づく解説であり、投資助言を目的としたものではありません。

END OF RECORD / VERIFIED 2026-10-09

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