NEWS日本制度③施行・適用開始2026-09-01

金融庁、暗号資産レンディング「IZAKA-YA」運営会社に警告 無登録で交換業

出金停止の訴えが表面化してから約1週間。当局の警告は、海外交換所ではなく高利回りを掲げたレンディングサービスに向けられた。

BY OFM Research · 4 MIN READ

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金融庁は9月1日、暗号資産のレンディング・ウォレットサービス「IZAKA-YA」を運営する香港のIzakaya Limitedに対し、無登録で暗号資産交換業を行っていたとして警告書を発出したと公表した。同庁は公式Xで、事務ガイドラインに基づき警告書を出し、ウェブサイトの無登録業者一覧にも掲載したと述べている。同サービスでは8月下旬から利用者の出金停止の訴えが相次いでいた。公表資料は、同社のどの機能が暗号資産交換業に該当したかを示しておらず、出金遅延の原因や顧客資産の保全状況にも触れていない。

何が起きたか

金融庁は9月1日、公式Xで、事務ガイドラインに基づきIzakaya Limitedへ警告書を発出し、ウェブサイトでも公表したと告知した。一覧への掲載は、資金決済法63条の2に違反して無登録で暗号資産交換業を行っていることが確認できた者を対象とする措置である。報道によれば資料上の所在地は香港・九龍のモンコック、代表者は不明とされ、備考欄に「IZAKA-YA」の運営が明記された。同サービスは2023年12月に開始し、レンディングを中心にウォレット、スワップ、送金の機能を備え、通常の年利最大12%、キャンペーンでは実質年利150%を掲げていた。8月下旬に出金停止の訴えが相次ぎ、JPYCの岡部典孝代表取締役が8月24日に利用者からの相談内容を金融庁へ情報提供している。

なぜ重要か

無登録業者一覧に並んできたのは、Binance、Bybit、KuCoin、MEXC、Bitgetといった大手の海外交換所である。今回はレンディングとウォレットを主とするサービスが同じ枠組みで摘示された。どの機能が交換業に当たるかを当局が明示していない以上、この判断は預り・運用型サービスを扱う事業者すべてに関わる。含意は二つ。ひとつは、暗号資産の貸借を検討する際に登録の要否を「交換所か否か」で切り分ける発想が通用しないこと。もうひとつは一覧の限界で、掲載は警告書発出時点の確認事実にすぎず、掲載されていない事業者が無登録営業を行っている可能性は排除されないと金融庁自身が注記している。顧客デューデリジェンスの網羅的な手段にはならない。

注視点

第一に、警告書は行政処分ではなく注意喚起であり、日本居住者の資産回収を直接もたらすものではない。海外所在で代表者不明の相手方に次の手段が用意されるかが焦点になる。第二に、被害者団体を組成する動きが伝えられており、民事手続の展開が資産保全の実務を左右する。

進捗段階

規制トラック③(既存制度の執行段階)。制度の創設ではなく、資金決済法と事務ガイドラインに基づく既存枠組みの適用である。ただし対象がレンディング型に及んだ点で、適用範囲の線引きが動いたとみられる。

用語解説

  • 暗号資産交換業:資金決済法上の登録業種で、暗号資産の売買・交換、これらの媒介、利用者の金銭や暗号資産の管理などを業として行うことを指す。取引所の運営に限られず、他人の資産を預かって動かす行為が広く含まれるため、レンディングやウォレット提供も態様次第で該当しうる。
  • 無登録業者一覧:金融庁が警告書を発出した無登録事業者の商号・所在地・業務内容を公表する一覧。利用者が登録の有無を確認できるようにするための注意喚起であり、掲載は摘発や資産保全を意味しない。現在の営業状況を示すものではない旨も明記されている。
  • 事務ガイドライン:法令の解釈と監督上の着眼点を金融庁が示した内部の行政指針。法令そのものではないが、警告書の発出手続や監督対応の根拠として実務上機能しており、事業者はこれを読まないと自社の業務が登録対象かを判断できない。
  • 暗号資産レンディング:利用者が暗号資産を事業者に貸し出し、対価として利息相当を受け取る仕組み。銀行預金と異なり預金保険の対象外で、貸出先の信用リスクと事業者の分別管理の実効性が保護の水準を決める。高い利回りの提示は、その裏側にある運用先の開示と対で評価する必要がある。

出典


本記事は公開情報に基づく解説であり、投資助言を目的としたものではありません。

END OF RECORD / VERIFIED 2026-09-01

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