NEWS欧州制度⓪検討・研究2026-10-05

ESMA、MiCA見直しで欧州委員会に提言──DeFiの「入口」を新たな規制業務に、ステーキングと貸借にも要件を

分散型の金融をどこから規制するか。欧州の証券監督当局が示した答えは、プロトコルそのものではなく、利用者をプロトコルにつなぐ仲介の部分に線を引くというものだった。

BY OFM Research · 6 MIN READ

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ESMAは2026年9月30日、EUの暗号資産市場規則(MiCA)の見直しを巡る欧州委員会の意見募集に回答し、規則の改正を提言した。DeFiのプロトコルへのアクセスを提供する仲介を新たな規制業務とすること、ステーキングや暗号資産の貸借に要件を設けること、詐欺的な業者の遮断や資産凍結の権限を強めることが柱である。DeFiやDEXへの規制の検討を始めた日本の当局と金融機関にとって、線の引き方を比べる材料となる。提言は欧州委員会への意見にとどまり、改正案の内容と時期は委員会が決める。

何が起きたか

ESMAの発表によると、提言は大きく4つの分野に分かれる。1つ目は投資家保護で、インフルエンサーによる宣伝を含む広告の規律を強め、ステーキング、貸付、借入のサービスに、費用やリスク、報酬、担保、損失の可能性を事前に示させる。2つ目は監督の強化で、詐欺的なプラットフォームを特定して遮断する力や、相場操縦やテロ資金に関わる暗号資産を凍結する力を求めた。認可を持たずにEUの投資家を勧誘する域外業者への権限も強める。3つ目はDeFiとトークンの分類である。分散の度合いを判断する基準を明確にしたうえで、DeFiのプロトコルへのアクセスを提供する仲介を新たな規制業務とする。報道によれば、対象には技術的なインターフェースや取引の回送が含まれ、オープンソースの開発や許可の要らない基盤そのものとは区別される。トークンの分類ではESMAに拘束力のある意見を出す権限を求めた。4つ目は負担の軽減で、ホワイトペーパーの届け出の簡素化や重複する認可の整理を挙げた。ESMAは、トークン化証券とオンチェーン決済の枠組みを整える必要にも触れている。

なぜ重要か

DeFiの規制で各国が悩むのは、管理者がいないプロトコルに誰の責任を問うかである。ESMAの案は、利用者が実際に触れる画面や注文の回送を担う事業者に責任を置く。日本の金融庁もDeFiとDEXの規制の検討に入っており、同じ問いに答える必要がある。国内の証券会社や交換業者がDeFiへの接続を顧客に提供する場合、EUの線引きに近づくなら、どの機能が登録の対象になるかを事前に整理しておく必要がある。

注視点

第一に、欧州委員会がMiCAの改正案にESMAの提言をどこまで取り込むか。第二に、欧州の証券業界が求める、トークン化証券を既存の金融商品規制の側に残す方向との整合。第三に、金融庁の検討会でDeFiの仲介がどう定義されるかである。

進捗段階

⓪ 検討・提言(規制系)

監督当局による意見の段階で、法令の改正案はまだない。事業者に新たな義務は生じていない。

用語解説

  • MiCA:EUの暗号資産市場規則。暗号資産の発行、交換業者などのサービス、ステーブルコインの発行体を一つの法律で規律し、加盟国の一つで認可を得れば域内で事業を行える。2024年から段階的に適用され、見直しの議論が始まっている。

    • 英:Markets in Crypto-Assets Regulation (MiCA) / 用例:ESMA wants the MiCA review to cover services that give users access to DeFi protocols. (ESMAは、MiCAの見直しでDeFiプロトコルへのアクセスを提供するサービスも扱うよう求めている)
  • DeFi:銀行や交換業者を介さず、スマートコントラクトで貸借や交換を行う金融サービス。運営者が特定しにくく、誰に規制上の責任を負わせるかが各国の課題になっている。

    • 英:decentralised finance (DeFi) / 用例:Regulating the access layer is one way to supervise decentralised finance without a central operator. (アクセスの層を規制することは、中心となる運営者がいないDeFiを監督する一つの方法である)
  • ステーキング:ブロックチェーンの合意形成に参加するため、暗号資産を一定期間預け入れ、報酬を受け取る仕組み。事業者が利用者に代わって行うサービスでは、資産の預かりや報酬の配分のリスクを誰が負うかが問題になる。

    • 英:staking / 用例:Staking providers would have to disclose risks, rewards and possible losses before clients commit. (ステーキング事業者は、顧客が預ける前にリスク、報酬、損失の可能性を示す必要が出てくる)
  • ホワイトペーパー:暗号資産の発行者がトークンの仕組みやリスクを説明する文書。MiCAでは監督当局への届け出と公表が求められる。有価証券の目論見書に近い役割を担う。

    • 英:white paper / 用例:ESMA suggested simplifying white paper notifications to reduce duplication. (ESMAは重複を減らすため、ホワイトペーパーの届け出の簡素化を提案した)

出典


本記事は公開情報に基づく解説であり、投資助言を目的としたものではありません。

END OF RECORD / VERIFIED 2026-10-05

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