NEWS欧州実装⓪合意・表明のみ2026-09-17

ドイツ銀行、法人・機関投資家向けデジタル資産カストディを年内開始へ 系列が関わるユーロ建てステーブルコインも対象

欧州最大級の銀行が、暗号資産の入口を売買ではなく保管に定めた。対象銘柄に自グループの関わるステーブルコインを含めた点に、銀行が狙う位置取りが表れている。

BY OFM Research · 5 MIN READ

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ドイツ銀行は2026年9月16日、欧州の法人・機関投資家向けにデジタル資産のカストディ(保管)サービスを始める計画を発表した。規制手続きの完了を条件に、2026年中に最初の顧客の受け入れを始める。当初の対象はビットコイン、イーサ、ステーブルコインのUSDC、EURC、EURAUで、トークン化金融商品も今後の計画に含む。日本の銀行・信託銀行にとっては、秘密鍵管理を外部に委ねつつ自行の統制下に置く体制設計が参考になる。開始時期、提供地域、対象資産はいずれも変更がありうるとしている。

何が起きたか

発表によると、サービスは顧客のデジタル資産の保管と第三者への移転を提供し、ドイツ銀行が顧客のウォレットと秘密鍵を管理する。当初の顧客は同行のコーポレート・バンクと投資銀行部門の取引先で、事業法人、資産運用会社、ヘッジファンド、カストディアン、ブローカー、ソブリン機関を想定する。

統制面では、安全な鍵生成、ハードウェアによる鍵保護、職務分離、重要操作の複数人承認、ウォームとコールドの保管環境の分離、冗長構成、管理されたバックアップと復旧を挙げる。技術の一部は外部事業者を使うが、サービス全体は同行のガバナンスと統制の枠内で運営するとしている。

同行は、価格変動、詐欺、サイバー事案、市場参加者や基盤の障害といったリスクを開示し、暗号資産は通常の預金のような預金保険の対象にならないと明記した。コーポレート・バンク共同責任者のゲラルト・ポドブニク氏は、デジタル資産は既存の金融システムを置き換えるものではなく補完するものだと述べた。

なぜ重要か

対象資産のEURAUは、ドイツ銀行が過半を出資する資産運用会社DWSが関わる合弁会社AllUnityのユーロ建てステーブルコインである。銀行グループが、ステーブルコインの発行側と保管側の双方に関与する形がみえてくる。日本では、信託銀行が信託型ステーブルコインの発行に関わり、銀行がトークン化預金を検討している。そうしたなかで、保管業務をどの主体が担い、グループ内の利益相反をどう管理するかは共通の論点になる。また、MiCAのもとでは既存の銀行が当局への届出で暗号資産サービスを提供できるが、ドイツ銀行は開始を規制手続きの完了に条件づけている。免許を持つ銀行でも、暗号資産の保管は既存業務の延長として自動的には始められないことを示している。

注視点

BaFinなどの手続きの完了時期と、最初の顧客受け入れのタイミングが次の焦点である。トークン化金融商品の保管がいつ加わるか、同行が関わるほかのトークン化案件と連携するかも注目される。

進捗段階

実装トラック:⓪(計画発表の段階。規制手続きと顧客受け入れは未了)

用語解説

  • カストディ:顧客の資産を預かって保管・管理する業務。暗号資産では、資産を動かす権限そのものである秘密鍵の管理が中心になる。
  • 秘密鍵:ブロックチェーン上の資産を移転する際の電子署名に使う鍵。失えば資産を動かせず、漏れれば第三者に移転されるため、管理体制が保管業務の質を決める。
  • コールドウォレット:インターネットから切り離した環境で秘密鍵を保管する方式。安全性は高いが即時の送金には向かず、接続したウォーム環境と使い分ける。
  • MiCA:EUの暗号資産市場規則。暗号資産サービス事業者に認可を求める一方、既存の信用機関は当局への事前届出で一部のサービスを提供できる。
  • EURAU:AllUnityが発行するユーロ建てステーブルコイン。AllUnityはDWS、Flow Traders、Galaxyの合弁で、BaFinの電子マネー機関免許を受けている。

出典


本記事は公開情報に基づく解説であり、投資助言を目的としたものではありません。

END OF RECORD / VERIFIED 2026-09-17

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