NEWS日本実装③本番稼働(限定領域)2026-10-01

シティ、トークン化預金サービスを日本で開始 米ドルを24時間365日、7市場の拠点間で即時移転

9月の報道が公式発表で確定し、日本の法人顧客が休日も米ドルを動かせる手段が実際に使えるようになった。先に商用化したのは外資系銀行である。

BY OFM Research · 5 MIN READ

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シティグループは9月28日(米国時間)、トークン化預金を使った法人向け資金移動サービス「Citi Token Services」を日本とアラブ首長国連邦(UAE)に広げたと発表した。日本では米ドルに対応し、利用企業は米国、英国、シンガポールなどの対応拠点の口座との間で、締切時刻や休日に縛られず資金を移せる。対応市場は7つになった。邦銀にとっては、国内のトークン化預金が実証段階にあるなか、法人の外貨資金管理で外資系が先に商用化した点が論点になる。円建ての取引と他行との接続は、今回は含まれていない。

何が起きたか

シティの発表によると、今回の拡大で同サービスの対応市場は、米国、アイルランド、香港、シンガポール、英国、日本、UAEの7つとなった。日本は米ドル、UAEは米ドルとユーロに対応する。サービスはシティが管理する許可型ブロックチェーン上で動き、裏付けは銀行預金そのものである。顧客は新たな口座や暗号資産ウォレットを開く必要がなく、既存の口座とオンラインバンキングから指示を出す。取引処理額は数十億ドル規模とされる。日本・北アジア・オーストラリアのサービス部門を統括するカニカ・タクール氏は、日本との間で米ドル取引をリアルタイムに出し入れできるようになると説明している。日本経済新聞は9月9日、シティが年内にも日本企業向けに同種のサービスを始めると報じており、今回の発表はその公式化にあたる。

なぜ重要か

日本企業の外貨資金管理は、国内の営業時間、海外の現地休日、コルレス銀行(海外送金を中継する銀行)の締切時刻に縛られてきた。そのため企業は、支払いに備えて海外拠点にあらかじめ資金を置く「前置き」を続けてきた。シティ内の拠点間で米ドルが即時に動くなら、この前置き額を減らせる。ただし、これはシティの顧客であることが前提の、1行の中で完結するネットワークである。邦銀から見れば、法人顧客が外貨の資金管理の一部をシティに寄せる動機になりうる。国内では、DCPのトークン化預金を複数の銀行間で移す実証に地方銀行など43行が参加を表明しているが、いずれも実証段階にある。国内の取り組みが本番稼働する前に、比較対象となる商用サービスが先に動き出したことになる。

注視点

円建ての取引にいつ対応するかが次の焦点になる。円を扱う場合は、国内の資金決済法や銀行法上の整理と、日銀当座預金との接続が論点になる。シティ以外の銀行の口座との間で移転できるかも重要で、単独行の閉じたサービスにとどまるか、業界インフラにつながるかがここで分かれる。日本で実際に利用を始めた企業の数や規模は開示されていない。

進捗段階

実装トラック ②(商用サービスとして提供開始。ただし単一銀行内のネットワークで、日本での利用実績は未開示)

用語解説

  • トークン化預金:銀行預金をブロックチェーン上で移転できる形にしたもの。発行する銀行の負債であり、預金保険や銀行規制の枠内にとどまる点でステーブルコインと異なる。預金そのものを置き換えるのではなく、記録と移転の手段を差し替える発想に近い。

    • 英:tokenized deposit / 用例:A tokenized deposit remains a liability of the issuing bank, unlike most stablecoins. (トークン化預金は、多くのステーブルコインと異なり、発行銀行の負債のままである)
  • 許可型ブロックチェーン:参加者を運営者が審査・限定する分散台帳。誰でも参加できる公開型と比べ、本人確認や規制対応を前提とする銀行業務に向く。一方で、参加者を集めなければ使える範囲が広がらない。

    • 英:permissioned blockchain / 用例:The service runs on a permissioned blockchain operated by the bank itself. (このサービスは、銀行自身が運営する許可型ブロックチェーン上で動いている)
  • 締切時刻(カットオフ):その日のうちに処理される送金指示の受付期限。時差と休日が重なると、金曜午後の指示が翌週に着金するといったことが起きる。24時間稼働する台帳では、この制約がなくなる。

    • 英:cut-off time / 用例:Treasurers no longer need to plan around each market's cut-off time and holiday calendar. (財務担当者は、各市場の締切時刻と休日を前提に計画を組む必要がなくなる)
  • 資金の前置き(プリファンディング):支払いに備えて、海外拠点や取引先の口座に前もって資金を置いておくこと。送金が即時にできれば必要な額を減らせ、その分を運用や返済に回せる。

    • 英:pre-funding / 用例:Real-time transfers can reduce the amount of pre-funding held in overseas accounts. (即時送金により、海外口座に置いておく前置き資金を減らせる)

出典


本記事は公開情報に基づく解説であり、投資助言を目的としたものではありません。

END OF RECORD / VERIFIED 2026-10-01

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