NEWS米国実装②限定実装(パイロット)2026-10-01

Citi、Coinbaseと組み法人のステーブルコイン受け取りを米国で開始──自らは発行せず、受け取りと換金の経路に入る

大手銀行がステーブルコインに関わる道は、自ら発行することだけではない。Citiが選んだのは、顧客が受け取ったコインを法定通貨に換えて着金させる、決済網の一部を担う形だった。

BY OFM Research · 6 MIN READ

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米Citiと暗号資産交換業者のCoinbaseは2026年9月28日、提携を広げ、法人向けのステーブルコイン決済を米国で始めると発表した。Citiの法人顧客は決済基盤「Spring by Citi」でステーブルコインを受け取り、法定通貨で着金できる。逆方向では、CoinbaseがCitiの仮想口座の仕組みを使い、入金された法定通貨を自動でステーブルコインに換える。日本の銀行にとっては、発行以外の関わり方の具体例となる。対応するコインの種類やチェーン、手数料は公表されていない。

何が起きたか

発表には2つの柱がある。1つ目は、Coinbaseが法人向けに提供する仮想口座である。Citiの「Virtual Account Wallet」を使って動き、利用者は法定通貨を受け取り、保有し、管理できる。入金された法定通貨は自動でステーブルコインに換わる。主な対象は、Coinbaseの決済基盤の上でサービスを作るフィンテック企業や中小企業である。2つ目は、Citiの加盟店向け決済基盤「Spring by Citi」でのステーブルコインの受け取りである。Citiの大企業や機関投資家の顧客は、取引先からステーブルコインで代金を受け取れる。Coinbaseの基盤がコインを自動で法定通貨に換え、Citiがその資金を決済する。サービスはまず米国で始め、今後数か月で機能を追加するとしている。Citiの決済部門の責任者は、従来の決済手段とデジタルの決済手段の両方で動く、相互運用できる次世代の決済基盤を作ることが目標だと述べた。両社は2025年10月に、法定通貨と暗号資産をつなぐ決済基盤での協業を発表しており、今回はその具体化にあたる。

なぜ重要か

この構図では、ステーブルコインの交換はCoinbaseが担い、Citiは法定通貨の側の口座と決済を担う。銀行は顧客との関係と資金の最終的な着金を手放さずに、ステーブルコインの利用を顧客に提供できる。一方で、法定通貨とコインの交換から生まれる収益の機会は、交換業者の側に残る。日本の銀行にとっては、円建てのコインを自ら発行する道とは別に、他社のコインを受け取れる経路を用意するかが論点となる。国内でステーブルコインを仲介するには電子決済手段等取引業の登録が必要で、銀行が加盟店の受け取りを支える場合も、どの主体が登録を持ち、本人確認とマネロン対策を誰が担うかを整理する必要がある。

注視点

第一に、対応するステーブルコインとチェーン、手数料の水準。第二に、米国外に広げる時期。第三に、Citiが自らのトークン化預金サービスとこの経路をどう使い分けるかである。

進捗段階

② 限定実装(パイロット)(実装系)

実際の顧客向けのサービスとして始まるが、地域は米国に限られ、対応するコインや取扱量は公表されていない。どこまで稼働しているかも確認できないため、低いほうの段階とした。③に進むには、継続的な取扱量の開示や対象地域の拡大が必要になる。

用語解説

  • 仮想口座:一つの実際の銀行口座の下に、取引先や用途ごとに多数の番号を割り振る仕組み。入金元をすぐに特定でき、消し込みの手間が減る。今回は、この仕組みに法定通貨とステーブルコインの自動の交換を組み合わせた。

    • 英:virtual account / 用例:Funds arriving in a virtual account are converted into stablecoins automatically. (仮想口座に入った資金は、自動でステーブルコインに換えられる)
  • 加盟店決済(アクワイアリング):店舗や企業が顧客から代金を受け取れるよう、決済の処理と入金を引き受ける業務。クレジットカードでは、カード会社や銀行がこの役割を担う。受け取れる支払い手段を増やすことが、事業者の競争力になる。

    • 英:merchant acquiring / 用例:Citi added stablecoin acceptance to its merchant acquiring platform. (Citiは加盟店決済の基盤に、ステーブルコインの受け取りを加えた)
  • オン/オフランプ:法定通貨とデジタル資産を相互に交換する入口と出口の機能。オンランプは法定通貨からトークンへ、オフランプはトークンから法定通貨への交換を指す。ステーブルコインが実需で使われるかは、この交換の確実さと費用に左右される。

    • 英:on-ramp and off-ramp / 用例:Coinbase provides the off-ramp, and Citi settles the resulting dollars. (Coinbaseがオフランプを担い、Citiが換えたドルを決済する)
  • 電子決済手段等取引業:日本の資金決済法で、ステーブルコインなどの電子決済手段の売買や交換、送付を業として行うための登録。銀行が行う場合も、業務の範囲によって手続きが必要になる。利用者の資産の分別管理や本人確認が義務づけられる。

    • 英:electronic payment instruments service provider / 用例:In Japan, intermediating stablecoins requires registration as an electronic payment instruments service provider. (日本では、ステーブルコインを仲介するには電子決済手段等取引業の登録が必要である)

出典


本記事は公開情報に基づく解説であり、投資助言を目的としたものではありません。

END OF RECORD / VERIFIED 2026-10-01

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