Rippleと英運用会社のBrevan Howardは10月6日、Ripple PrimeがBrevan Howardのファンドにマルチアセットのプライムブローカレッジ、清算、ファイナンスを提供すると発表した。Brevan Howardの運用資産は約350億ドル(約5兆5,286億円)で、Ripple PrimeはRippleが2025年に買収したHidden Roadが母体である。国内の運用会社や証券会社にとっては、取引先の選択肢と相手方リスクの見方が変わる。オンチェーン決済の範囲は非開示である。
何が起きたか
発表によれば、Brevan Howardは複数の資産クラスと商品にわたるプライムサービスを、Ripple Primeの単一の基盤で受けられるようになる。両社は、伝統市場とデジタル市場の両方を対象とするとしている。Brevan Howardのアラン・マクグロアーティ・グループCOOは、Rippleの基盤によって運用チームの事務の負担が減り、資本効率が高まると期待を示した。Brevan Howardの関連ファンドは、2025年にRippleが実施した5億ドルの戦略的資金調達にも参加している。同社は世界のマクロ戦略とデジタル資産を専門とし、東京を含む各地に拠点を置き、約1,000人の人員を抱える。Ripple Primeについては、格付け会社KBRAが2026年に「BBB」を付与し、事業の拡大途上にあると指摘したと報じられている。Rippleは、決済、カストディ、プライムブローカレッジ、資金管理の各事業を、85を超えるライセンスのもとで展開しているとしている。
なぜ重要か
プライムブローカレッジは、ヘッジファンドの売買の清算、資金や証券の貸し付け、担保の管理をまとめて引き受ける業務で、長く大手投資銀行が中心を担ってきた。今回の提携は、暗号資産企業の傘下にある非銀行の業者が、伝統資産を含めてこの業務を大手顧客から受託した例である。国内の運用会社や年金がヘッジファンドに投資する際には、運用先が使うプライムブローカーの信用力と、破綻時の資産の分別状況を確認することになる。非銀行系の業者が加われば、この確認の対象が広がる。国内の証券会社にとっては、暗号資産と伝統資産の担保を一体で管理する需要に、どこまで応えるかが問われる。日本の金融機関が直接競合する場面は限られるが、海外拠点を持つ大手証券のプライム業務には競争の圧力になる。
注視点
提供範囲のうち、どの資産の取引をオンチェーンで決済するのか、RLUSDを担保や決済に使うのかは開示されていない。ほかの大手運用会社が追随するかどうか、Ripple Primeの資金調達力と格付けが、受託の拡大に見合って高まるかが焦点になる。
進捗段階
対象外(既存のプライムブローカレッジ業務の取引関係。オンチェーンで決済する範囲は開示されていない)
用語解説
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プライムブローカレッジ:ヘッジファンドなどに対し、売買の執行・清算、資金や証券の貸し付け、担保管理、保管をまとめて提供する業務。顧客は複数の証券会社と個別に取引するより、資金と担保を効率よく使える。提供者が破綻すると顧客資産が拘束されるおそれがあるため、信用力と分別管理が重視される。
- 英:prime brokerage / 用例:The hedge fund moved part of its prime brokerage to a non-bank provider. (そのヘッジファンドは、プライムブローカレッジの一部を非銀行の業者に移した)
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非銀行系プライムブローカー:銀行グループに属さずにプライムブローカレッジを提供する業者。預金を持たないため、資金の調達は借入れや投資家からの出資に頼る。銀行系に比べて機動的な一方、市場の混乱時に資金繰りが細りやすい点が評価の分かれ目になる。
- 英:non-bank prime broker / 用例:A non-bank prime broker must secure credit lines to fund client margin loans. (非銀行系プライムブローカーは、顧客への証拠金融資のために借入枠を確保する必要がある)
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クロスマージン:複数の資産や取引の損益とリスクを相殺して、必要な証拠金を計算する仕組み。伝統資産と暗号資産の取引を同じ業者にまとめると、相殺できる範囲が広がり、差し入れる担保を減らせる。Brevan Howardが資本効率の向上を挙げた背景にあると考えられる。
- 英:cross-margining / 用例:Cross-margining across asset classes can reduce the collateral a fund must post. (資産クラスをまたいだクロスマージンにより、ファンドが差し入れる担保を減らせる)
出典
- Ripple「Blockchain Solutions Provider Ripple and Global Alternative Investment Manager Brevan Howard Deepen Relationship」(2026年10月6日): https://ripple.com/ripple-press/ripple-and-brevan-howard-deepen-relationship/
- The Block「Brevan Howard to use Ripple Prime for multi-asset brokerage, clearing and financing」(2026年10月6日): https://www.theblock.co/news/business/2026-10-06-ripple-prime-brevan-howard-prime-brokerage-clearing-financing-417801
※円換算は筆者計算。1ドル=157.96円(三菱UFJ銀行、2026年10月6日公示仲値)。
本記事は公開情報に基づく解説であり、投資助言を目的としたものではありません。