NEWSグローバル実装③本番稼働(限定領域)2026-09-10

英Archax、米ブローカーディーラー認可を取得 英・EU・米の3法域を免許で結ぶ

トークン化証券を国境をまたいで扱うには、法域ごとの免許を積み上げるしかない。英国発の事業者が示した現実解を、免許スタックの実例として読む。

BY OFM Research · 5 MIN READ

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英国・EUで規制を受けるデジタル資産プラットフォーム事業者Archax Groupは2026年9月8日、米子会社Archax Markets LLCが金融取引業規制機構(FINRA)の新規会員申請の承認を受け、SECへのブローカーディーラー登録を完了したと発表した。同社の規制上の地位は英国(FCA)、EU(CNMV)、米国(SEC/FINRA)の3法域に及ぶ。米子会社はトークン化実物資産を含む証券の私募を、米国の機関投資家・適格投資家に提供できる。営業開始は2026年第3四半期中を見込む。

何が起きたか

Archax Marketsは取引・保管・清算の基盤を自ら再構築せず、2025年10月の提携を土台にtZERO SecuritiesおよびtZERO Digital Asset Securitiesとコレスポンデント・クリアリング契約を結んだ。Archaxは「イントロデューシング・ブローカー(取次業者)」として顧客との関係を担い、デジタル資産証券の保管・エスクロー・清算はtZERO側が提供する。対象商品はtZERO Securitiesが運営する代替取引システム(ATS)で売買することもできる。同社は2025年3月にGlobacapの米ブローカーディーラーとATSを取得する計画を公表したが取引は完了せず、Globacapは後にApex Groupに買収された。そのため新規会員申請をやり直す形になった。なお、tZERO側は今回の認可がすべてのトークン化商品を規制上承認するものではなく、とくに登録されていない投資契約に該当するデジタル資産証券は証券投資者保護法の保護対象の定義から外れる可能性があると注意を促している。

なぜ重要か

日本の金融機関がトークン化証券をクロスボーダーで扱う際の免許スタックの実例として読める。オンチェーンで技術的に24時間移転できることと、各法域で合法的に販売・保管・清算できることは別問題であり、後者は結局のところ免許の積み上げでしか解決しない。Archaxは自前で全機能を持たず既存の登録業者の基盤に乗る道を選んだ。これは日本の証券会社が海外のトークン化商品を取り扱う際の構図とも重なる。もう一点、tZEROが付した保護対象の注意書きは実務的に重い。トークン化の有無ではなく原資産が登録証券かどうかで投資者保護の適用範囲が変わるという指摘は、顧客説明の設計に直結する。

注視点

第一に、第3四半期中とされる営業開始が実際に行われるか。第二に、私募・適格投資家向けという制約のもとで、どの程度の商品が実際に持ち込まれるか。欧州発のトークン化商品を米国投資家に届ける経路としてどこまで機能するかは実績を待つ必要がある。第三に、同社が募集する独立の登録外務員がどれだけ集まるかで販売網の広がりが決まる。

用語解説

  • ブローカーディーラー:米国で証券の売買を業として行うために必要な登録区分。SECへの登録に加え、自主規制機関であるFINRAの会員資格が実務上の前提となる。トークン化証券であっても、証券である以上この枠組みの外では扱えない。
  • イントロデューシング・ブローカー(取次業者):顧客との関係と注文の取次を担い、清算・保管は別の業者に委託する形態のブローカー。自前で清算機能を持たないため資本要件が軽く、新規参入の現実的な選択肢になる一方、委託先への依存が生じる。
  • 代替取引システム(ATS):取引所以外で証券の売買を成立させる仕組み。米国ではSECに登録した上でブローカーディーラーが運営する。トークン化証券の流通市場の多くは、取引所ではなくこのATSとして運営されている。
  • 証券投資者保護法(SIPA):ブローカーディーラーが破綻した際に顧客資産を一定額まで保護する米国の制度。ただし保護の対象は同法上の「証券」に限られ、未登録の投資契約に該当するデジタル資産は対象外となる可能性がある。
  • コレスポンデント・クリアリング:清算機能を持たない業者が、清算業者と契約して顧客の取引の決済・保管を委託する仕組み。顧客資産の分別管理や破綻時の取扱いは委託先の枠組みに従うため、委託先の規制上の地位を確認する必要がある。

出典


本記事は公開情報に基づく解説であり、投資助言を目的としたものではありません。

END OF RECORD / VERIFIED 2026-09-10

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